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» 2007年07月13日 23時59分 公開

法人契約の携帯電話は「コスト」ではなく「投資」──KDDI 湯浅英雄氏ワイヤレスジャパン2007 キーパーソンインタビュー(1/2 ページ)

番号ポータビリティ以降、コンシューマー市場では順調に契約数を伸ばしているKDDI。では法人市場ではどうなのだろうか。KDDI モバイルソリューション事業本部 事業本部長 執行役員の湯浅英雄氏に話を聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 昨年10月の番号ポータビリティ制度開始以降、好調に契約数を伸ばすKDDI。その成長の主な要因はauブランドのコンシューマー市場での強さだが、一方で、同社は昨年「Business au!」という名称で法人市場へのアプローチも強めていった。

 携帯電話市場全体で個人契約市場が飽和する中、“音楽とデザイン”でコンシューマー市場での勢力を伸ばしたKDDIが、法人市場をどう戦うのか。 KDDI モバイルソリューション事業本部 事業本部長 執行役員の湯浅英雄氏に話を聞いた。

Photo KDDI モバイルソリューション事業本部 事業本部長 執行役員の湯浅英雄氏

法人市場は着実に1500万契約規模まで成長

ITmedia 昨年から法人市場は非常に注目される分野になっていますが、KDDIとしてこの市場の現況をどのように見ていますか。

湯浅英雄氏(以下敬称略) 法人向け市場の規模は各キャリアとも公開していませんが、各種調査のデータを鑑みますと、現在の契約数規模はモジュール(契約)を含めて1000万台を超えたところだと見ています。携帯の契約総数から見た比率は、10%強というところですね。

 市場全体の展望で言いますと、純増市場は昨年並みか、もしかしたら縮退していく可能性がある。しかし、その中で法人市場は安定的に伸びていくでしょう。

ITmedia 爆発的に伸びる、というわけではないのですね。

湯浅 10年先は分かりませんけれど、今後5年くらいのスパンで見ると、安定的成長だと見ています。端末、通信モジュール、データ通信カードで毎年100万契約くらいずつ純増していくのではないかと考えています。ですから、最低限の見積もりでも5年後に1500万契約規模にはなる。モジュールの分野には、もっと大きなブレイク要因も考えられますが、低く見ても現状の1.5倍くらいにはなると思います。

ITmedia もう1つ注目なのが、法人市場のニーズです。

湯浅 まず端末市場の伸びで大きな要因になるのが、個人情報保護法の影響によるセキュリティニーズですね。これが追い風になり、現在個人契約の携帯電話を業務でお使いの方々が、法人契約に切り替えると考えています。我々は2年前に携帯電話内容のリモート消去機能などを用意した「ビジネス便利パック」という商品を投入しましたが、こういったセキュリティサービスは今や“あって当然”のものになっています。逆に言えば、セキュリティ機能が充実していなければ、いくら料金が安くても話になりません。

 我々としては、セキュリティが基本ニーズとして存在した上で、生産性向上や業務支援をするソリューションが法人契約で重要になると考えています。その好例はヤマト運輸さんの事例ですが、携帯電話を単なる“電話”としてだけでなく、配達業務の支援システムとしてご利用いただいています。このように法人契約の携帯電話は、“情報のハブ”になっていくと考えています。

ITmedia ヤマト運輸の事例を代表に、KDDIのソリューションで注目なのはBluetoothを使って携帯電話と業務用機器を連携させるものが多いことですね。

湯浅 そうです。それも“情報のハブ”を構成するポイントになっています。我々はこの3年間、さまざまな業種・業態向けに携帯電話ソリューションを構築してきましたので、そのノウハウの蓄積と組み合わせにより、今では法人ソリューションのニーズに柔軟に対応できるようになっています。

ITmedia 現在、特に注力している技術やサービスはありますか。

湯浅 無線LANですね。これは大きくブレイクすると見ています。KDDIでは1000台以上の規模になる法人向け携帯電話に(構内に専用基地局を設置する)「OFFICE WISE」というオフィス内通話定額サービスを提供していますが、1000台以下の導入では無線LANが有力だと見ています。我々の商品では「OFFICE FREEDOM」という商品になりますが、こちらが中堅・小規模な法人向けサービスとして今後の主力になります。

マイクロソフト協業、SaaS型サービスの狙い

ITmedia これは法人市場全体として言えるのかもしれませんが、KDDIとしても法人市場へのアプローチは、まず「セキュリティ」を基本に、そこから「音声サービス」につなげていくという形ですか。

湯浅 そこで社内・社外どちらでも“同じ法人契約の携帯電話を使う”という土壌ができます。つまり、これが「インフラ」になる。

 どうして、このような取り組みを一生懸命やっているかと言いますと、6月27日にマイクロソフトと共同発表した「SaaS型サービス」があります(6月27日の記事参照)

ITmedia 社員の利用環境を整えることで、「セキュリティと通話」のベーシックな土台に、データソリューションという質的な向上を建てていくわけですね。

湯浅 これまでですと、モバイルソリューションのアプリケーションは個別に作る形だったわけですが、今後はそれを組み合わせで自由に使う時代がくると考えています。これは今後マイクロソフトと取り組んでいくわけですが、固定環境と携帯のどちらでも使える環境を作り、その上でSaaSを乗せていきます。これが今年の大きな目標ですね。

ITmedia 先日の発表は包括提携についてだったわけですが、SaaS型サービスの市場投入も年内にはあるのでしょうか。

湯浅 実際の市場投入は来年の3〜4月頃になりますが、今年10月にはサービス概要のご説明ができると思います。

ITmedia 個人市場でもSaaSは注目されていますが、法人市場にも可能性を感じていらっしゃる、ということですか。

湯浅 これまでの法人向けソリューションは個別にアプリケーションを構築するものでしたが、これだと導入企業側の負担も大きいものでしたから。組み合わせで、企業の方々が負担を少なくできるような形がいいのかな、と思っています。

 またSaaSですと端末側に持つ機能が少なくなりますから、セキュリティ面でも優れています。

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