「お待たせしました」──かくしてW53CAは“EXILIMケータイ”になった:荻窪圭が聞く「EXILIMケータイ W53CA」(1/2 ページ)

» 2007年08月03日 23時31分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 ケータイのカメラ性能の高さに定評があるカシオ計算機が、ついに2007年夏モデルとして、同社のデジタルカメラブランド“EXILIM”の名を冠した携帯をリリースした。それが「EXILIMケータイ W53CA」だ。カシオ計算機製の端末としては、久々にカメラ機能を重視したモデルである。

PhotoPhoto EXILIMケータイ W53CAのボディカラーはEXILIMのテーマカラーでもある赤、黒、白の3色展開。左からフレアレッド、ベールブラック、アイリスホワイト

 EXILIMケータイはどのくらい“EXILIM”なのか。EXILIMと名のるからには、従来の携帯向けカメラとは一線を画した性能が求められたと予想されるが、どれはどうやって実現したのか。

 そのあたりを、W53CAの商品企画を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 事業統括グループ 企画チーム リーダーの本間敦氏、カメラの画質を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 ハード設計グループの山本真也氏、さらにEXILIMの名にふさわしいデザインに仕上げたカシオ計算機 開発本部 デザインセンター 第四デザイン室の花房紀人氏と同室長の井戸透記氏に聞いた。

PhotoPhotoPhotoPhoto 左からカシオ計算機 開発本部 デザインセンター 第四デザイン室の花房紀人氏と同室長の井戸透記氏、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 ハード設計グループの山本真也氏、事業統括グループ 企画チーム リーダーの本間敦氏

EXILIMとは“ウェアラブル”であること

Photo 左が「EXILIMケータイ W53CA」で右が「EXILIM EX-Z1200」。“同じDNA”を持つカメラである

 EXILIMは、カシオ計算機のコンパクトデジタルカメラのラインアップに付けられたブランド名だ。かつて同社のデジカメにはQVシリーズとEXILIMシリーズという2つのラインがあったが、現在は人気のEXILIMシリーズに統合されている。ちなみに2006年から2007年にかけてのコンパクトデジカメ売れ筋トップ3はキヤノン、松下電器産業、カシオ計算機の3社の製品で、デジカメ界ではEXILIMといえばトップクラスのブランドだ。

 今のEXILIMは、ズームレンズを搭載した本格的デジカメだが、2002年に登場した初代EXILIM「EX-S1」は、光学ズームがない代わりに、カードサイズで非常に薄くて軽く、すぐ使えるという新しいコンセプトの製品だった。

 EXILIMを貫く共通コンセプトは「いつでも身につけていられて、誰でもきれいな写真が撮れること。いわば“いつでもどこでもスタイリッシュ”です」と本間氏は説明する。当然EXILIMケータイと名のるW53CAの目指すところも、そこになる。単に画素数を上げてカメラのスペックを高くしただけではなく、EXILIMの共通コンセプトを理解したケータイなのである。

PhotoPhoto 左がEXILIMケータイ W53CAのカメラモードのユーザーインタフェース、右がEXILIM EX-Z1200のユーザーインタフェース。メニューの操作性などもデジカメと可能な限り共通化している

 W53CAに受け継がれたEXILIMの精神は3つある。1つはEXILIMの名にふさわしい画質。もう1つは“電源を入れたらすぐ撮れる”こと。そしてもう1つは薄くてスタイリッシュであることだ。

5メガピクセルのCMOSセンサーを載せるための努力

 この画質の高さ、使い勝手のよさ、薄さの中でも一番気になるのは、やはりW53CAがEXILIMと名のるにふさわしい画質を実現できているか、という点だろう。

 カシオ端末は、「W31CA」で3MピクセルCCDを採用したものの、ここ数モデルは2MピクセルのCMOS採用機が続いていた。それが、W53CAでは一気に5Mピクセルに高解像度化した。

Photo カシオ計算機製のケータイに搭載されたカメラユニット

 画質のチューニングなど、絵作りの部分を担当した山本氏は「次はカメラ機能に力を入れたモデルを開発すると決まったタイミングが、以前から開発を進めていたCMOSセンサーの製品化フェーズとうまい具合に一致したことも、5Mピクセル化を実現できた大きなポイントです。次世代カメラの研究をしていく中で、センサーのサイズが従来よりワンサイズ小さい2ミクロンセルのモジュールが使えるというメドがたったからです」と当時を振り返った。

 ちなみにこのCMOSセンサーは、デジカメのスペックでいうと2.8分の1(1/2.8)インチサイズである。デジカメは現在2.5分の1(1/2.5)インチで700万画素クラスが主流なので、それに匹敵するサイズだ。

 画素数が増えると解像度は高くなるが、その分デメリットも生じる。センサーのサイズをそのままに解像度を高めると、画素の1つ1つが小さくなるため、光を受ける面積が小さくなり、センサーの感度が落ちてしまうのだ。だがこの点は「センサーメーカーと一緒に開発当初から取り組み、従来の2Mピクセルクラスのカメラと同等の感度レベルで5Mピクセルを達成できるようになった」(山本氏)ことで無事クリアした。

高画質な写真のための「EXILIMエンジン for Mobile」

 さらに、画素数が増えるとその分高速な画像処理も必要になり、オートフォーカス(AF)はより高い精度が要求される。そのため専用の画像処理エンジン「EXILIMエンジン for Mobile」を開発した。

 山本氏によると、W53CAのカメラ機能のために新開発したEXILIMエンジン for Mobileは「今までよりワンランクもツーランクも上の信号処理」を行っているという。実はAFのステップ数が増やされ、従来の機種にはなかった処理も採用して精度と速度を上げている。

 またカメラの開発には、さまざまな条件下で写真を撮影し、画質を評価して、調整を加え、また撮影して評価をするというテストが欠かせないが、それも「今までの機種とは比べものにならないほどたくさん撮ってます」と山本氏。

 「画質面では肌色や空や緑などの記憶色補正を行っています。今年は梅雨入りが遅れたので、その分晴れた日の撮影ができて助かりました(笑)」(山本氏)

 画質をチューニングする際には、“本家”であるEXILIMの開発チームにも、画質評価などで協力してもらったという。余談だが、実はカシオ製端末の開発部隊には、当初からカシオでデジカメを開発していた人たちが関わっていたそうだ。デザインを担当した井戸氏や花房氏だけでなく、古くからQVシリーズ、そしてEXILIMシリーズのカシオデジカメのDNAはケータイの開発チームにも受け継がれていたのである。

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