ぐるなびは8月29日、おサイフケータイを利用した飲食店用スタンプ・クーポンサービス「ぐるなびタッチ」を発表した。9月3日からスタートし、2007年度中に全国1万店で利用できるようになる見込み。
店舗に設置した専用リーダー/ライターに、おサイフケータイをかざすことで利用できる。対応端末は、NTTドコモ(FOMA 902i/702i以降)、au、ソフトバンクモバイルのおサイフケータイ。ユーザーは無料で利用できる。
ぐるなびタッチの最大の特徴は、店舗側もユーザー側も、操作が簡単で準備がほとんど不要な点にある。店舗側は、ぐるなびが用意したぐるなびタッチ端末を店舗に設置し、電源コンセントを差し込むだけで利用できる。ユーザーは、ぐるなびタッチの端末におサイフケータイをかざすだけだ。
ぐるなびでは同サービスを「ユーザーのおサイフケータイをスタンプカードにするサービス」と説明しているが、実はおサイフケータイの中にスタンプカードやクーポン情報の実体があるわけではない。
ぐるなびタッチの端末には三者間通信に対応したFeliCaリーダー/ライターが埋め込まれており、ユーザーがおサイフケータイをかざすと、3キャリア共通の標準機能※である「Web to機能」を使って、店舗IDを埋め込んだURLを携帯電話に送る(参照記事1/記事2)。ユーザーはそのURLにアクセスすると、“このIDを持った店舗に来店した”という情報を持った状態で携帯用のぐるなびサイトにアクセスできるという仕掛けだ。
クーポン情報やスタンプ情報はすべて、携帯電話の中ではなく、サーバ上に置かれている。いちいち携帯でぐるなびタッチのサーバにアクセスする手間が必要な半面、アプリのダウンロードが不要で、かつキャリアを問わない仕組みになっている。
ぐるなびは日本全国の飲食店のサイトをまとめた、グルメ情報総合ポータルを運営している企業だ。ユーザーはPCや携帯からぐるなびにアクセスし、行きたい店を検索したり、店舗の基本情報やメニュー、割引クーポン(一部)などの情報を得ることができる。
ぐるなびタッチは、ぐるなびを補強するサービスいう位置づけになっている。これまでぐるなびはPCや携帯サイトでクーポン情報を配信していたが、ぐるなびタッチは、リアルの店舗でクーポンなどの情報を配布することを目的としている。
従来、ぐるなびの利用者はぐるなびのWebサイトの利用者であり、実際に店舗に来た顧客を、その店舗のリピーターにするためのアクションが取れなかったと、ぐるなび社長の久保征一郎氏は説明する。「従来の『サイトを見て来ました』という以外の、新しい(利用者の)行動を喚起したかった。実際に店舗に来た人をキャッチし、次の来店に結びつける方法はないだろうかとずっと悩んでいた」(久保氏)
ぐるなびが説明する、ぐるなびタッチを導入する店舗のメリットは「リピーター客の獲得」「店舗会員の増加」「マーケティング情報を取得可能」「複合的なサービス展開が容易になる」などだ。また、追って開始予定のスタンプサービスは「既存スタンプカードから変えるのも簡単で、新規スタンプサービスを開始するより準備の手間がかからない」と説明する。また、ぐるなび自身が各種キャンペーン特典(似顔絵プレゼント、スロット、おみくじなど)を提供するので、店舗側の負担が少なくて済むという。
ユーザー側のメリットとしては「カードが増えるのと違い、財布がかさばらない」「カードと違い、使いたい時に持っていないケースが少ない」「携帯をなくしたり、機種変更しても使える」「アプリのダウンロードが不要で、かざすだけで利用できる」「無料で利用できる」などを挙げていた。
こういったサービスを投入する背景としては、3G携帯電話が普及し、パケット代定額制を利用している人が増えていることに加え、おサイフケータイが普及してきたことが大きいという。FeliCaを搭載した携帯電話は4月に3キャリア合計で3000万台を突破し、現在携帯電話3台に1台はおサイフケータイといえる状況だからだ。
上に書いたように、ぐるなびタッチは携帯電話の中に、直接クーポン情報などを送るサービスではなく、実際には各種データはサーバ上にある。店舗IDとひも付けたURLを携帯に読ませるだけであれば、FeliCaではなく例えばQRコードなどを使うという選択肢もあるが、「もちろんQRコードも検討した。しかし、カメラを起動してQRコードを撮影して読み込んで……という手順は煩雑だし、できない人もいる。“おサイフケータイでタッチする”という操作感は、テストしてみても非常によく、おサイフケータイで行こうと決めた」(久保氏)
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