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» 2007年10月10日 20時05分 公開

CEATEC JAPAN 2007:FMBC、NGN、ウルトラ3G――KDDIが考える未来のネットワークとは (1/2)

「いつでも、どこでも必要な情報にアクセスできる」――。こんな世界を目指して、通信キャリアが次世代ネットワークの構築を急いでいる。こうした中、KDDIは“ウルトラ3G”の実現に向け、なにを重要視しているのか。同社の伊藤副社長が、ネット社会のトレンドを交えながら説明した。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo KDDIの伊藤泰彦副社長。今後、携帯にどんな使い方が求められるかを考えるのに、「ドラマ『24』のジャック・バウワーの姿が参考になった」と話すなど、身近な出来事を織り交ぜながら講演を進めた。「ジャックは、ケータイに地図を送ってくれとかデータを送ってくれとか、携帯で話しながらいろいろな処理を全部する。“こういった動きを世の中が求めているんだろうな”と、なかなかためになる」(伊藤氏)

 通信業界が大きな転機を迎えようとしている。いつでもどこでも必要な情報にすばやくアクセスしたいというニーズは増える一方で、PCやケータイ、家電などに分散している情報やコンテンツを一元化し、場所やデバイスを選ばずアクセスしたいという要求も高まっている。

 現在のネットワークインフラではニーズの多様化や複雑化への対応が難しいことから、通信各社が次世代ネットワーク(NGN)の構築を急いでいる。オールIP化したコアネットワークにさまざまな次世代通信やサービス、アプリをつなぎ込み、多様化するサービスを効率よく提供することを目指している。

 こうした流れを受けてKDDIが打ち出したのが、FMBC(Fixed Mobile and Broadcast Convergence、固定と移動、通信の融合)に基づく「ウルトラ3G」構想。携帯電話や無線LAN、モバイルWiMAXなどの無線通信と有線のADSL、FTTHを統合したネットワークを構築し、ユーザーの場所や利用シーンに合った最適な通信手段を提供するというものだ(記事1記事2記事3参照)。

 CEATEC JAPAN 2007の講演に登場したKDDIの伊藤泰彦副社長が、“今、通信業界でどんな変化が起こっているか”を起点に、今後のネットワークやサービスの融合イメージや、そこで重要となる技術について説明した。

ネット利用に変化、FMBCは必然

 IT化が進む中、ネットの利用はどんどん変化しており、それに伴ってライフスタイルやビジネススタイルが変わりつつあることを実感していると伊藤氏は話す。

 大きな変化の1つ目の例としてあげるのが検索だ。検索エンジンが発達したことで情報を探す手間が省けるようになり、必要な情報にアクセスしやすくなったのは大きいと伊藤氏。KDDIでもau携帯の検索にグーグルを導入しており、これが一般/公式サイト両方のページビュー増加につながるとともに、検索連動型広告による新たな収入をもたらすなど効果を上げている。

 2つ目はケータイ動画視聴の増加。ある時期から動画のトラフィックが急増し、増加傾向にあるという。今後は帯域が限られる中、どんな方法で快適な動画視聴環境を提供するのか、キャリアの力量が問われる部分だ。

 そして3つ目は、ソーシャルネットワークの普及だ。PC向けサービスが人気を博したことから、2007年にはモバイル対応が進んで利用者層が拡大。PC発のmixiやGREEに加え、携帯のみで展開するモバゲータウンが会員数を大きく伸ばすなど、携帯の新たなコンテンツとして注目を集めている。「最近の若い人は、SNSでリアルタイムで通信しながら、ものごとを進めるようになっていることが分かってきた」(伊藤氏)。

Photo 携帯サービスのトレンドは検索(左)、動画(中)、SNS(右)

 ほかにも3Dの仮想空間でコミュニケーションできる「Second Life」が注目を集めるなど、ネットを使った新たなトレンドが次々と登場。ビジネス面でも「Webページを立ち上げれば、世界中のどこからでも商売を始められる」など、インターネットが参入障壁をいっきになくしたことが変化をもたらしたという。「これで、ロングテールモデルの妥当性が証明されたのではないかと思う」(伊藤氏)。

 さらに、デバイス面でもアップルが「iPhone」をリリースするなど、新しい動きが起き始めている。「実際、使ってみると直感的に操作でき、デザインもいい。PC連携もうまくできている。iPhoneの登場を機に、ヒューマンインタフェースの重要性が再認識され、スマートフォンが見直されるのではないか」(伊藤氏)。こうしたデバイスが動画の利用をさらに増加させ、さらに太い回線(iPhoneは3Gには非対応)を利用すれば面白いことができるのではないかと予測する。

 伊藤氏は、こうしたトレンドを支えるためにブロードバンド化が進んでおり、その結果、固定通信/移動通信/放送の境界は消滅すると説明。FMBCはこの流れに沿ったもので、“ここをいかに速くするか”が、各企業の競争の基本になるのではないかと見る。

 また、ネットワークが生活の必需品となる中では、ますます携帯電話のゲートウェイ化やエージェント化が進み、ネットワークにはさらなる信頼性と利便性、安全性が求められると指摘。もう1度インフラを見直そうというのが現在の状況で、その結果として出てきたNGNや次世代インターネット、FMBCは必然の流れだとした。


 KDDIはFMBCに取り組み始めており、モバイル(M)と固定(F)の融合については、PC/携帯向け音楽配信サービス「LISMO」や、固定と携帯の料金をまとめて請求する「KDDIまとめて請求」を提供するなど、順調に進んでいるという。

 ブロードキャスト(B)とモバイル(M)の融合は、ワンセグケータイの投入を皮切りに今後注力する分野。ワンセグは今では、au携帯のラインアップにほぼ標準で搭載されるようになり、“キャンパス内でローカル放送局のように使う”という応用例が出始めるなど、用途が広がっている。また2012年の周波数帯の再編成に向けて、携帯電話向け放送技術「MediaFLO」の導入を検討。メディアフロー企画を設立し、キャリア自ら放送サービスを提供する計画だ。「ワンセグ放送は一般の放送、メディアフローは例えばスカパー!のような位置づけで、MediaFLOでは新しいチャンネルを増やせる。そこでさまざまな試みができるので、KDDIのFMBC戦略にとって非常に重要だ」(伊藤氏)

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