ウィルコムのMIDは“世界最速で”発売──インテル「Centrino Atom」発表会

» 2008年04月02日 19時14分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏

 インテルは4月2日、モバイルインターネットデバイス(MID)やネット対応低価格デバイス向けの省電力プロセッサ「Atom」(開発コード名:Silverthorne)と、その対応チップセットなどを含む「Centrino Atom」プラットフォームの発表会を開催した。

 AtomプロセッサやCentrino Atomプラットフォームの詳細はPC USERの記事に譲るが、Atomはインテルアーキテクチャ(IA)と互換性のある高い処理能力を持ちながら、非常に消費電力が低く、「ポケットに入るサイズで、PCと同等のインターネット体験ができる」(インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏)端末を開発できるのが特徴だ。

 Centrino Atomプラットフォームでは、無線の技術については厳格な規定を設けておらず、無線LANはもちろんのこと、3G(HSDPAやHSUPA)、3.9G(LTE/Super 3G)、モバイルWiMAX、次世代PHSなどを活用し、ワイヤレスにインターネットに接続できる手軽なデバイスの登場が期待されている。サイズは「小さくていつでも身につけていられるような、ポケットにはいるくらいの大きさ」(吉田氏)がMIDの要件だという。

PhotoPhotoPhoto PCと同等の“フル・インターネット”が利用できるのがMIDの最大の利点。ARMベースのチップではブラウザのプラグインなどが動作しない場合も多いのがスマートフォンの弱点であり、Atomはその問題をクリアする。Centrino Atomプラットフォームは、CPUとチップセット(システムコントローラーハブ)の2チップで構成される。無線によるネットワーク接続の方式には規定はなく、無線LAN、3G、WiMAXなどを利用する機器が現在開発中だという

 このAtomの発表会では、日本市場でMIDを普及させるのに欠かせない通信事業者がゲストとして登壇し、AtomプロセッサやCentrino Atomプラットフォームへの期待を話した。

Photo インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏(左)と、発表会でAtomプロセッサーとCentrino Atomプラットフォームへの期待を話したウィルコムの喜久川氏、ドコモの青山氏、UQコミュニケーションズの片岡氏。

モバイルブロードバンドの新しい活用法を創出してほしい──ドコモ 青山氏

Photo NTTドコモ プロダクト&サービス本部 ユビキタスサービス部長の青山幸二氏

 最初に登場したNTTドコモ プロダクト&サービス本部 ユビキタスサービス部長の青山幸二氏は、ユーザーのリッチコンテンツに対するニーズが高まったことを受け、2006年8月から下り最大3.6Mbpsでの高速通信が可能なHSDPAサービスをスタートし、2008年3月末で人口カバー率が約96%に達したことや、2007年10月にはPC向けの「定額データプラン」の提供を始めたこと、PCメーカーと協業してHSDPA通信モジュールを内蔵したノートPCを開発したことなどを紹介。ドコモが「安心して高速なデータ通信が使える環境を提供できるよう努力してきた」(青山氏)ことをアピールした。4月1日には、HSDPAの通信速度を一部地域で7.2Mbpsに向上させたほか、スーパー3G(LTE)などの次世代の技術も早期に実現すべく積極的に活動中だという。

 MIDの登場は、「いつでもどこでも快適にインターネットが楽しめる環境が実現できるすばらしい機会」だと青山氏。MIDはモバイルブロードバンドの技術を有効に活用できるデバイスであり、「今までになかったような、新しい活用方法も創出してほしい」と新たなサービスや機器の登場に期待を示した。

Atomの性能を最大限発揮できる技術として頑張る──UQ 片岡氏

Photo UQコミュニケーションズ 取締役執行役員副社長の片岡浩一氏

 KDDIやインテル、JR東日本などが出資し、2.5GHz帯を活用してモバイルWiMAXサービスを展開する計画の事業会社、UQコミュニケーションズからは、取締役執行役員副社長の片岡浩一氏が登壇した。「WiMAXで新たなブロードバンド接続環境を築き上げたい」と話した片岡氏は、1つでも多くのデバイスにモバイルWiMAXを搭載してもらえるよう頑張っていく決意を示した。

 「Atomは新たなモバイルデバイスの創出に大きな役割を果たす。MIDの発展に貢献することは間違いない」とAtomを称賛した片岡氏。同氏は、モバイルWiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズとしても、Atomの性能を最大限発揮できるワイヤレスブロードバンド技術として、機器への標準搭載が進むよう頑張っていきたい」と話した。

世界最速のタイミングでAtom搭載機を発売する──ウィルコム 喜久川氏

Photo ウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏

 すでにAtomを搭載したシャープ製デバイスの開発を表明しているウィルコムの代表取締役社長、喜久川政樹氏は、2007年の5月ころ、インテルの吉田社長と「世界最速のタイミングでAtom搭載デバイスを発売することで合意した」というエピソードを披露した。

 ウィルコムは、日本で初めて定額のワイヤレスデータ通信サービス「AIR-EDGE」(サービス開始当初はDDIポケットの「AirH"」)を提供した実績を持つ、データ通信市場では老舗の事業者だ。喜久川氏は「現在公衆無線LANサービスのアクセスポイントは1万5000くらいあるそうだが、ウィルコムはその10倍を超える16万の基地局がある。人口カバー率も99%と幅広い地域で利用できる。2009年には次世代PHSのサービスも始まる」と自信を見せた。

 気になるウィルコム版のAtom搭載デバイスについては、「近々にみなさんにご紹介できると思う」と喜久川氏。「私が“近々に”というと、みなさんには“いったいいつなんだ!”としかられるかもしれないが、今回は本当に“近々”だ。次世代PHSと有線ネットワークを融合したような新サービスなども考えているので、期待してほしい」(喜久川氏)

 すでにコンセプトモデルも発表されているウィルコムのAtom搭載機は、間もなく登場するようだ。

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