これはPCなのかケータイなのか、それとも──「WILLCOM D4」が開拓しようとする新市場(2/2 ページ)

» 2008年04月15日 11時43分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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PCなのかケータイなのか、どちらでもないのか

 WILLCOM D4はPCなのか、ケータイなのか。

 PCとしてみると、Windows Vistaが載り、一般的なWindows PCで使えるWindowsアプリやWebツール、コンテンツ、周辺機器なども同じように利用できる仕様だ。また、ホーム/ビジネス利用時はクレードルへ設置して有線LANやキーボード・マウス、外部ディスプレイなどと接続できることから、Windows Mobile搭載のスマートフォンでは使えない、あるいは一応使えるが実用に耐えない、Saasアプリなどによるビジネス用途の利用にも向く。

 外部ディスプレイ接続時の最大解像度は1360×768ピクセル(1677万色)とやや狭いのが難点の1つかと思われ、メモリは1Gバイト固定とするので、よくある“普通のPC”のように使う場合のパフォーマンスがどうかという点なども気になるが、“普通のPC”として使える資質は持っている。また、WILLCOM D4はWindows Vista Home PremiumとOffice Personal 2007をバンドルする。これらを含めた“PC”の価格として考えても、なかなか安価と考えられる。

photophoto PC用の周辺機器も同じように使える。アイ・オー・データ機器やサンワサプライなどの周辺機器メーカーから、USB型GPSレシーバーやUSBホストコネクタ(USB miniAメス−USB Aメス変換)、Bluetoothキーボード、Bluetoothヘッドセット/ハンドセット、ICカードリーダー、光学ドライブ、車載キット、PLCアダプタなど、WILLCOM D4対応(動作確認済み)周辺機器も多数発売される
photo 広いサービスエリアと公衆無線LAN、自宅やオフィスの有線LAN回線など、その時に最も高速なネットワークを利用できるFMCに近い環境を提供できることを強みとする

 ケータイとしてはどうか。WILLCOM D4専用の小型Bluetoothハンドセットを別売りオプションとして用意するとともに、WILLCOM D4本体のみでもイヤフォンマイクを使って通話可能。ウィルコムのEメールや同社がW-ZERO3シリーズ向けに展開する公式Webコンテンツも同様に利用できるようにする予定だという。PHS音声着信は休止・スリープ状態を除く、W-SIMユーザーとして登録したユーザーアカウントでWindowsにログインしている場合に使用でき、電源オフ時以外はメールを自動受信できるようだ。

 ちなみに、購入手段もウィルコム端末を購入する場合と同じ「W-VALUE SELECT」が利用できる。頭金は少し多めに必要だが、データ定額制の「新つなぎ放題」と実質分割金の合計を月額5980円とする価格設定は、同価格帯のイー・モバイルの料金プラン「データプラン」や「ケータイプラン」を意識したとも思える、絶妙な価格帯と言える。

 通信速度は最大204kbpsと確かにイー・モバイルより劣るが、全国99.4%の広いカバーエリアと「マイクロセルネットワークにより、カタログスペックに対する実速度が落ちにくい」(喜久川氏)こと、そして公衆無線LANや有線LANなどを併用することで、その時に最も高速なネットワークを利用できるFMCに近い環境を提供することなどを強みとする。また、2009年に開始する予定の次世代PHSにより(現在の新つなぎ放題と同じ価格で展開するとは少々考えにくいが)約1年後に、より高速なモバイル接続環境を入手できることも想定できる。

 ただ、これを“ケータイとして買う”ことは、2008年現在は少し考えにくい。ケータイとWindows Mobile搭載スマートフォンの市場規模に明らかな差があるように、普通の人がケータイとして使うデバイスではない。

 このように、WILLCOM D4はPCかケータイかと区別するのは難しい製品だ。どちらでもあり、どちらでもない。だからこそウィルコムら4社は“Ultra Mobile”と、新しいカテゴリとして提案するのだろう。

 果たしてこのUltra Mobileが、近未来に誰もが持つ通信端末の姿なのだろうか。このカテゴリの製品を望む層は現状、まだ狭い市場かもしれない。しかし、PCやケータイに対して「こうなるといいのに」と思うことを実現できる実力を秘めているのは確かではある。

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