もう1つは、“世界の流れ”に沿った端末の投入。
HTC製のEMONSTER Liteは「HTC Touch」をベースにしたタッチパネル搭載のスマートフォン。タッチパネル液晶と新たなユーザーインタフェース「TouchFLO」、OSにWindows Mobile 6 Professionalを搭載し、EMONSTERのバリエーションモデルという位置付けでフルキーボード(QWERTYキーボード)をダイヤルキーに代えたコンパクトモデルとして展開する。
「音声がメインのサービスはそろそろ終わり。もはや端末に備わるアプリケーションに1つの過ぎない機能になっている。日本の携帯は音声のハンドセットで無理にブロードバンドサービスを使う、ワールドワイドではかなり異常な市場。イー・モバイルはこのグローバル市場の中に日本の携帯を持っていけるようにしたいと考えている。今回は、このグローバル市場に長けるメーカーが開発した“世界の流れ”に沿った端末を投入する」(千本氏)
世界の流れに沿った端末、これがスマートフォンだという考えだ。
「中国がハイテクの先進国家になるのは明らか。イー・モバイルは日本の携帯会社であるが、登壇者は私以外全員中国系の方。歴史の潮目が変わっている──私はこう思う」(千本氏)。
中国の通信機器大手 HUAWEIはイー・モバイル向けとして、端末だけでなくHSDPA対応基地局などの無線インフラも担うネットワークサプライヤーとして展開する。
「HUAWEIは、世界最大のネットワークサプライヤー Ericssonにも迫るほど成長している。世界ナンバーワンのサプライヤーになる時期も遠くはないと思う」(千本氏)
千本氏は同日に発表されたAppleの「iPhone」にも「iPhoneの独壇場の時代は終わる」と言及した。
この理由に、iPhoneの端末的な魅力は確かに認めるとするもののの、EMONSTER Liteを投入するHTCをはじめとする世界の強力なベンダーがタッチパネル端末を次々に投入していくであろうこと、そして、ベンダーと通信料金収入を分け合うレベニューシェアによるビジネスモデルがオペレータにとって共存しがたく、ほとんど利益がないためだという。
「今後のモバイル業界で生存していけるモデルなのかはかなり疑問だ」(千本氏)。
音声サービスも含めてモバイルブロードバンドを軸に展開するイー・モバイル。現在、下り最大7.2MbpsのHSDPAサービスを展開するが、上り速度も高速なHSUPAを含めた通信の高速化も画策する。
「現状の施設のまま、下り40Mbpsから80Mbpsまで行けると考えている。100Mbps以上の速度は、現状の周波数帯でサービス展開するのは不可能。新しい周波数帯の割り振りとともに展開を考える必要がある」(ガン氏)
「数年の範囲では、世界の主流はHSPA。既存施設のままソフトウェアのアップグレードで展開するのが最も効率的で、一番現実的。それからLTEに行く。こちらはもう少し先の話ですが」(千本氏)
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