P905iで妥協した“ほんの数ミリ”──「P906i」の進化の過程はここから始まった開発陣に聞く「P906i」(2/4 ページ)

» 2008年06月18日 20時43分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

ワンセグは「iTV」なみに進化

photo フレーム補間技術やコントラスト補正技術、“モバイルPEAKSプロセッサー”とともに映像補正技術は映像機能に特化した「P905iTV」なみの性能に向上した

 パナソニックのテレビブランドを冠する「VIERAケータイ」は、映像表現も徹底追求“しなければならない”。

 P906iは、P905iをベースに映像機能を強化した「P905iTV」とほぼ同等のワンセグ性能が与えられた。

 まずはディスプレイサイズ。P905iより0.1インチ大きい、3.1インチのフルワイドVGA液晶を採用した。P905iTVの3.5インチには及ばないが、P905iとほぼ同じボディサイズにも関わらず大型化されたのがポイントの1つだ。

 「パネルそのものも、よりコントラスト性能のよいものを採用しています。映像だけでなく、例えば待受やメニュー画面、そして写真データの表示性能もP905iより進化しています」(プロジェクトマネージャーの片山氏 以下、片山氏)

 次はフレーム補間技術「モバイルWスピード」。15fps(毎秒15フレーム)のワンセグ映像を倍の30fpsで表示し、カクカクしないなめらかな映像を表示できるものだ。フレーム補間は2008年夏のワンセグ携帯で採用例が増えた流行機能だが、P905iTVが携帯で初めて備えたこの機能はP906iへしっかり継承された。

 同じく「モバイルWコントラストAI」もP905iTVから継承し、コントラストはP905iの2000:1から最大4000:1に向上。ワンセグ映像は、P905iより大画面でなめらか、かつ階調豊かに表示できる性能を標準で備えた。

 「P905iTVの映像技術はP906iにすべて入っています」(松尾氏)

 「また、後から出る機種ということで、画質も同等かそれ以上に仕上がった自信があります。技術そのものは同じですが、フレーム補間や映像補正のチューニングも進んでいますから」(片山氏)

photo 2種類のアンテナで受信した信号を合成する「合成ダイバーシティアンテナ」で、ホイップアンテナなしでもP905iと同等の受信性能を実現し、かつスマートなデザインを実現した。ワンセグアンテナの内蔵化は、今後のワンセグ携帯に当たり前の機能になっていくと予想されるが、“P”端末はこの夏モデルでいち早く標準装備とした

 最後にワンセグアンテナも内蔵。2種類のアンテナと2つのチューナーによる合成ダイバーシティ技術を盛り込んだ。

 ワンセグ携帯の多くはテレビ信号を受信するためのホイップアンテナを備える。前機種のP905iも同じ方法で、ワンセグはこのホイップアンテナを伸ばして視聴するスタイルだった。P906のスマートなボディデザインの実現はこのアンテナを内蔵型とした効果も大きい。

 ワンセグアンテナは、ボディ内のフレーム周囲とマイク付近の2カ所に設置する。この2つのアンテナとチューナーで受信した信号を合成して受信感度を上げる仕組みだ。受信感度はアンテナを伸ばしたP905iとほぼ同等の性能を実現する。

 「感度性能は当然確保しながら、ワンセグ視聴スタイルも格好よく──テレビを見るのにアンテナを伸ばすのは“儀式”としてはいいですが、少し面倒ではないですか?」(大平氏)

 通信用アンテナの内蔵化が当たり前になったように、今後、ワンセグアンテナも内蔵化が進むと予想される。パナソニック携帯は今後、「P705i」に採用した完全内蔵型を進める考えで、P906iも含めた2008年夏の新機種すべてでワンセグアンテナの内蔵化を他社に先駆けて実現した。

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