第7回 マルチタッチにこだわった、ポケットの中のロック魂――「Pocket Guitar」松村太郎のiPhone生活:ミュージック

» 2008年10月03日 10時00分 公開
[松村太郎,ITmedia]

 幕張メッセで開催されているCEATEC JAPAN 2008では、KDDIの「YAMAHA Mobile Orchestra(YMO)」がひときわ派手なステージを展開していた。ケータイを楽器に見立ててセッションする様子は、個人化が進むライフスタイルの中で、個人化を推し進めたケータイが取り持つ場を共有したコミュニケーションの姿を魅せてくれるようで温かい。

 もしもケータイで楽器演奏をしたかったら、iPhoneのアプリを探してみるといい。実にたくさんの楽器アプリ、音系のアプリが見つかるはずだ。その中でも比較的早い時期に登場し、YouTubeなどでも世界的に話題になったのが、このギターアプリ「Pocket Guitar」だ。価格は115円。バージョン1.1では、容量は約3.5Mバイトある。

 このアプリの作者はケービーエムジェーのCTO、笠谷真也氏。2007年6月の、米国での「iPhone」発売をうらやましく眺め、2007年9月に発売された「iPod touch」をすぐに購入し、iPhoneに搭載されているはずの地図やメールなどのアプリがないことに失望したそうだ(ちなみに後のアップグレードにより、現在はiPod touchにもiPhoneと同じアプリが搭載されている)。

 「とにかく、マルチタッチを生かしたアプリを作りたかった。現在ではiPhoneのSafariでJavaScriptを使えばマルチタッチを活用できるが、当初搭載されていなかったGoogle Mapアプリを再現するウェブサイトをiPod touch向けに作りました」(笠谷氏)

 そしてSDK公開やApp Storeなどがアナウンスされた2008年1月のWWDC以降、ネイティブのアプリを開発できるようなってから、電子楽器の開発を目指したそうだ。

 「もともと電子楽器好き。せっかくiPhoneで開発するなら、マルチタッチの楽器が作りたかった。電子楽器だとテルミンや鍵盤系などが作りやすいが、これはシングルタッチでも実現可能。マルチタッチでしか実現し得ないギターを作ることにしました。エアギターも流行っていたし、実際に音が出るといいな、と」(笠谷氏)

 さて、Pocket Guitarを起動すると、画面には見慣れたギターの6弦とフレットが4つ出てくる。背景も木目のテクスチャがそれらしい。もう見たとおり、弦をはじいたりタップしたりすれば、ギターをすぐにかき鳴らすことができる。非常にシンプルに見えるこのアプリだが、ギターを再現する点では非常に凝った作りになっている。

 まず、ギターの種類。ギターはエレアコ、エレキ、クラシック、ミュートの4種類。そのほかに4弦のエレキベース、同じく4弦のウクレレまで収録している。おおよそ、バンドで使いそうな弦楽器はこのアプリだけでOKだ。さすがに12弦ギターは収録していないけれども。ちゃんと上のフレットにもスクロールできるため、ソロをかっこよく決めることも出来る。そしてもちろん複数の箇所を押さえてならすコード演奏も出来るのは、マルチタッチを搭載するiPhoneならではだ。

 さらにディストーション、ディレイ、コーラスの3種類のエフェクトを2つ通すことも出来る。それぞれディストーションの場合はゲインとレベル、ディレイならタイムとフィードバックとレベル、コーラスでは、レベル、ディレイ、デプス、そしてスピードが調整できる。エフェクターのセットもシミュレートしてくれるのだ。この機能の充実ぶりはすばらしい。

 「マルチタッチは、最初にタッチしたポイントを認識しますが、面は認識してくれません。そこで、6弦すべてを押さえる場合、例えばFコードを押さえるときには、6弦にタッチしてから1弦までスライドさせることで、セーハを実現できます」(笠谷氏)

 とにかくマルチタッチを使いこなすことにこだわってギターを再現したPocket Guitarは、アプリ公開後も世界中で人気だ。試しにYouTubeで「Pocket Guitar」と検索すると、熱のこもったプレイがたくさん見つかる。ぜひあなたも技を磨いて、プレイを披露してみてほしい。

PhotoPhoto アプリを立ち上げると6本の弦とフレットがディスプレイに表示される。4弦のエレキベースやウクレレも選べる
PhotoPhoto 設定でディストーションやディレイ、コーラスといったエフェクトを2つまでかけることが可能。それぞれのエフェクトを細かくセッティングすることもできる

プロフィール:松村太郎

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東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。


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