新ドコモ宣言、第2幕へ――ドコモの山田社長、「究極のケータイ」目指す成長戦略を発表

» 2008年10月31日 23時15分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo NTTドコモ代表取締役社長の山田隆持氏

 4月の新ドコモ宣言から半年――。顧客満足度重視の戦略へと舵を切ったドコモの施策は、着実にその成果を上げている。番号ポータビリティ(MNP)の導入以降、低迷していた純増数は復活基調で推移し、解約率も低減。新たな割引プランや販売方法の導入も収益の改善につながっている。

 NTTドコモの山田隆持社長は、こうして迎えた2009年3月期中間決算を「ビジネスモデルの転換が進んで数値に表れた順調な決算」と振り返り、新ドコモ宣言を次のフェーズに進める戦略を明らかにした。

Photo 2009年3月期中間決算の概況。第2四半期の純増シェアは26%となり、上期の解約率は0.51%と低い水準で推移

Photo 新割引サービスの契約率は5割を超え、新販売モデルのバリュープランは契約率が9割以上で推移。ARPUは音声ARPUの低迷で前年同期比10.5%減となったが、パケットARPUは前年同期比9%増と好調だった

量的成長から質的成長へ――戦略の柱は“コア事業の強化”と“新規事業の創出”

 「量的には成熟期だが、質的には伸びる余地がある。これを事業機会としてとらえ、“変革とチャレンジ”で進む方向性を明らかにする」――。こう話す山田社長は、ドコモの2010年の目標として顧客満足度NO.1の獲得、2012年の目標として営業利益9000億円を掲げ、達成に向けた取り組り組みを説明した。

 収益拡大と持続的成長に向けた戦略は、“コア事業の強化”と“新規事業の創出”の2本柱を軸としており、コア事業の強化ポイントとして挙げるのは(1)動画サービスの普及と定額制の促進によるパケットARPUの向上(2)ムーバからFOMAへの巻き取り強化(3)2台目市場の開拓に向けた、スマートフォンやデータカードの普及・拡大(4)法人事業の拡大(5)クレジット事業の強化 だ。

Photo 持続的成長に向けた取り組み(左)と、動画サービスの展開イメージ(右)

 動画サービスは今後、通信インフラの向上に伴う需要の増加が見込めることから、サービス開発や投資を積極的に行う考え。動画サービスの拡充がパケット定額の加入者増につながることから、“ケータイならでは”の付加価値があるサービスの提供を目指す。

 具体的には、利用者の好みやニーズにあったパーソナル型の動画サービスを提供するとし、具体例として動画による道案内や観光案内、遠隔救急医療などを紹介。こうしたサービスの実現に向け、出資や提携でコンテンツプロバイダとの関係を深める。ドコモは、動画サービスの拡充をパケット定額加入者の増加につなげ、2011年度の総合ARPU下げ止まりを狙う。

 また、ムーバについては「2008年度中に、いつサービスをやめるかを決める予定」(山田氏)とし、FOMAへの巻き取りを強化する。優遇施策については「バリューコースで購入していただき、特割的なものを付けて安く買っていただけるようにする」(同)ような施策を検討しているという。

新規事業の創出に向けた3つの取り組み

 新規事業の創出に向けた取り組みでは、「3つの大きなチャレンジをする」と山田氏。1つは“サービスのパーソナル化”だ。これは、携帯電話が持つ“リアルタイム性、個人認証、位置情報”という3つの特徴を生かしたサービスを実現するもので、多様化するユーザーニーズによりマッチした情報提供を目指す。

 「今までの○○できるケータイから、○○してくれるケータイへと、機能のパーソナル化に取り組む。“アラジンと魔法のランプ”のようなことをケータイでできないかと考えている」(山田氏)

 ドコモはすでに、秋冬モデルで携帯電話にエージェント機能を搭載することを明らかにしており、今後は画面デザインや検索機能のカスタマイズ化、各種データをネットで預かり、携帯やPCから閲覧可能にするポータルサービスの拡充などの施策でさらなるパーソナル化を図る考えだ。

 2つめとして挙げるのは、“ソーシャルサポートサービス”の推進。これは、モバイルと他業種との連携が深まる中での取り組みの1つで、環境、医療、金融、教育、防犯など、モバイルの貢献度が高い事業分野向けのプラットフォーム構築に乗り出す。

 山田氏がサービスの具体例として挙げるのが、医療分野の健康管理サポートだ。例えば、携帯電話の機能を生かした病気予防やメタボ対策サービスを提供する場合、新たなソーシャルプラットフォーム(情報流通基盤)があれば、それを通じてデータベースにアクセスし、医師からのアドバイスを返すようなサービスの提供が容易になるという。

 現状でも「さまざまな、小さなかたまりの動きはできているが、それをまとめるものがない」と山田氏は指摘し、ソーシャルサポートサービスを推進することで、企業や団体が抱える課題を解決できるとした。

Photo 2つめの取り組みとして挙げるのは“ソーシャルサポートサービス”の推進。モバイルが他の事業領域との関係性を深める中、新たな領域での価値創造に向けた取り組みとして注力する

 3つめの取り組みは“融合サービスの提供”。今後は移動網や固定網、放送網、ホームネットワークの連携が進むことから、こうしたネットワークをシームレスに利用できる環境を用意する。また、情報家電や自動車などとモバイルを連携させ、利用者のニーズに合わせたサービスを提供する考えだ。

Photo 融合サービスの事業イメージ
Photo 端末開発はオープンプラットフォームの導入で、共通化・オープン化を推進。ドコモの独自仕様はオペレーターパックとして提供する(左)。ネットワークはLTEの導入による高速・大容量・低遅延を生かした端末とネットワークのコラボレーションサービスも開発するとし(右)、その一例としてiPhone向けサービスで知られる「セカイカメラ」的な「直感検索」を挙げた

Photo 新たな価値創造に向けた基盤研究では、「何百万規模の人(携帯電話)がどう動いているかを把握し、それを環境の良い街作りや道路、商店街のあり方に生かせるような研究も行っている(左)。国際ビジネスは、国際ローミング収入の拡大を目指すとともに、海外の日系法人企業に向けたソリューション提供を促進する

 今は新たな販売モデルや割引プランの導入が、収益の改善につながっているが、今後は「押し上げ効果が減少に向かう」と山田氏。新たな取り組みを通じて携帯電話市場を活性化させ、それをドコモの次の成長につなげたいとした。

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