このほか、電子コミックや青空文庫データの閲覧も縦向き画面で見ると快適だ。通常の横向き画面は、横方向の解像度に余裕があるので見開きで2ページ分表示できるが、表示サイズそのものは小さくなる。それならば1ページずつでも、ちょうどよいサイズで表示できるほうがいい──という考えである。
さて、狭い画面を想定したケータイ向けの電子書籍データだとコマごとに表示するといった工夫を設ける電子書籍もあるが、PC向けの電子書籍はページ単位か見開き単位がほとんど。特に“コミック”ものは文字の視認性が全然違う。縦向きで持ちやすいという点は、こういったものを楽しむ際に便利なのである。
さて、これらを視聴するためのビューアーは、タップ操作以外にスペースキーでもページ送りできることが多い。筆者がよく利用する「eBookJapan」(関連リンク参照)や青空文庫ビューアー「Aozora Viewer」(ページ送りを1度クリックすると、後はスペースキーで読み進められる)などがそうだ。
ここにもD4のよいところがあった。少しだけディスプレイをスライドしてキーボードの下段だけを露出させると、スペースキーによるページ送りが行えるようになる。まるで電子書籍専用端末であるかのように、立ったままはもちろん、寝転んで操作する時なども、片手で読み進められるのがすばらしく快適なのだ。
というわけで、D4をねっとり愛した数カ月間で、Firefox用アドオンの「Foxmarks」が実用レベルになり、「Google Browser Sync」に依存していた筆者がようやくメインのブラウザをFirefoxに移行できたとか、FoxmarksでIEのブックマークも同期できるようになったならメインブラウザはIE7か8でいいんじゃねとしばし血迷ってみたりとか、Gmailがオフラインでも使えるようになり、やはり普通のWindowsが動くって素晴らしいと再認識してみたりとか、さらにはVAIO type Pにプリインストールされていた「x-Radar」がうらやましかったので、D4+「ちず丸 for WILLCOM」で簡易GPS代わりにしてみる……なども試したが、WILLCOM D4そのものに依存することでもないので省略することにした。
2008年7月11日、あのiPhone 3Gと同じ日に発売されたWILLCOM D4は、発売直後はいろいろ“だめっぽい”ところがあって評価を下げたが、それがあったとしても筆者の利用スタイルとニーズにはかなり合致してくれた。もっとも、LOOX UやVAIO type Pでもいいといえばいいのだが、メインのノートPCと、機能の制限がどうしても壁になっていたWindows Mobile端末の間を埋める、片手で持てて使えるモバイル機器を望んでいたのだ。値下げされるなどの要因で、一度見限ってしまった人にも再評価してもらえる機会が増えればといいなと思うが……これはどうだろうかね、無理かな。
ともあれ、よくも悪くもWILLCOM D4はPC。ひと通りのハードウェアチェックを終え、安定運用期に入ると、PCであるだけにハードウェアに固有した話題が出にくいということも改めて痛感したのであった。この先ものんびりと付き合っていくつもりなので、Windows 7が出たり、何らかの形で次世代PHSの「XGP(WILLCOM CORE)」の対応が果たされた時には、またWILLCOM D4の話を引っ張り出してみたいと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.