さりげない防水を実現するための“魔法”とは?――「P-10A」開発陣に聞く「P-10A」

» 2009年07月17日 00時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 左から、機構設計を担当した友部真治氏、電気設計担当の井川恵一氏、プロジェクトマネージャーの福岡栄春氏、商品企画の笠原亮一氏、ソフト担当の市川英哉氏

 NTTドコモのパナソニック モバイルコミュニケーションズ製端末「P-10A」は、ディスプレイが縦と横の両方に開くWオープンスタイルを採用しながら、IPX5/IPX7準拠の防水性能を備えたモデルだ。水回りでも横オープンによるワンセグ視聴などを安心して楽しめる同端末のこだわりを、開発陣に聞いた。


防水で「Wオープンスタイル」は大丈夫?

photo P-10A

 “P”の防水ケータイとしては、2008年6月にソフトバンクモバイルから折りたたみ型端末の「823P」が発売されている。同モデルで培った防水技術はもちろんP-10Aにも継承されているのだが、縦方向と横方向それぞれにヒンジを備えるWオープンスタイルでは、新しい防水設計のアプローチも必要だったようだ。

 機構設計を担当した友部真治氏によれば、最も苦労したのはヒンジ部の防水設計だったという。横オープンのためのヒンジ部には、信号線が防水チューブにくるまれて通っているのだが、「出っ張りのない、従来通りのコンパクトなヒンジにするために、線を通す穴も小さく設計している」(友部氏)。


photo この横オープンヒンジの内部に、防水チューブに守られた配線が通っている

 信号線に加えて防水チューブを通すとなれば、通常なら配線を通す穴は大きくなってしまうはず。信号線を細くするなどの方法が想像できるが、線を細くすると今度は工場で不具合が多くなるなど、ハンドリングが難しくなる。そのために「別の魔法で解決した」(友部氏)という。

 その魔法とは、“インカメラを非搭載にする”ことだった。先代モデル「P-03A」では、ディスプレイ面に有効約33万画素のカメラを備えていたが、P-10Aではそれが省かれている。これにより、信号線の体積をある程度減らすことができた。

 さらにスピーカーにも新しい工夫が凝らされている。「新開発の防水スピーカーを採用し、スピーカーの中まで浸水しても大丈夫なようになっている」(電気設計担当の井川恵一氏)のだ。スピーカー部は通常、防水膜を張ることで浸水を防ぐが、「音のビビリなどの原因になる」(友部氏)こともあるため、今回は振動板そのものがぬれても大丈夫なスピーカーを採用したという。

スペック以外の要素にこだわりを

 P-10Aは20代の女性をメインターゲットに据えたモデル。「そうした若い女性が、スペック以外のポイントで端末を選んでいると想定し、端末を開発した」と、商品企画を担当した笠原亮一氏は語る。そんな“スペック以外のポイント”の1つが、カラフルな有機ELサブディスプレイだ。時刻表示の文字色は全8パターン、着信イルミネーションは43パターンと豊富にカスタマイズでき、数字ごとに色を割り振ることで「時刻を見る度に色が変わる」ようなパターンも用意した。

photo 数字ごとに異なる色が表示される
photo ごん太くんはマチキャラにもなる

 また、内蔵キャラクターにはNHK教育テレビで放送されていた「できるかな」のゴン太くんをはじめとする、なつかしいキャラクターを採用。PansonWorksのアレンジによるファニーフェイスが憎めない、「おーい!はに丸」のはに丸とひんべえ、「にこにこぷん」のじゃじゃまる、ぴっころ、ぽろりなどが、画面を楽しく彩る。「20代〜30代前半の方にとっては、“懐かしさ×かわいさ”でとても魅力的なキャラクターに仕上がっているのでは」(笠原氏)

 防水性能によってキッチンなどの水回りでも安心して端末を利用できるようになったP-10Aには、料理レシピアプリやキッチンタイマーの機能も持たせた。さらに、端末のボディデザインも、水滴のようなキーの盛り上がりや、ボトルをイメージしたふくらみのあるサブディスプレイなどで、端末の個性をさりげなくアピールしているという。

 最後にそんなP-10Aのこだわりの中でも「デザイナーがどうしてもこだわった」(友部氏)というポイントを教えてもらった。「実は、サブディスプレイの色をボディカラーごとに微妙に変えている」(笠原氏)のだという。蒸着処理で端末カラーに合わせた色に仕上げたというサブディスプレイ――非常に微妙な色の違いだが、店頭などで端末を手に取った際に、見比べてみてほしい。


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