CEATEC JAPAN 2009のNTTドコモブースでは、目の動きでモバイル端末の簡単な操作を実現する電極付きのイヤフォンを見ることができる。
両耳に装着したイヤフォンの電極で目の動きを読み取り、「右を見たら音楽を再生」「左を2回みたら前の曲」といった具合に、目の動きに操作を割り当てられる。こうした視線インタフェース技術は、以前から「ヘッドホン型視線検出インタフェース」として発表していたが、「ヘッドホン型では、両耳をすっぽり覆い、電極のためにジェルも使う必要があり、日常用途としては現実的でなかった。今回は、イヤフォンとして違和感なく使えるサイズで、ジェルも使わずに、どこまでの操作ができるかという試み」(説明員)
説明員によれば、人間の眼球はプラスとマイナスに帯電しており、角膜と網膜の間に電位差があるという。目が動くことで目の回りや頭部全体の電気状態が変化し、それを読み取ることで視線を検出している。
それぞれのイヤフォンには電極が3つずつ取り付けられている。「顔の表情が変わることで、電極の接触が悪くなることもある。3つつけることで、安定して信号を測定できるようにした」(説明員)という。
サイズをコンパクトにしたために、ヘッドフォン型に比べて細かな目の動きを検出することは難しくなった。今回のイヤフォンでは、眼球の左右の動きのみを検出しており、上下の動きは読み取っていない。デモでは「目をぐるりと回す」といったジェスチャーも利用していたが、これは左右の動きの変化から検出しているという。
実用化の時期などは決定していない。今後の課題は、耳の形状の個人差に対応することだ。「耳の形状は指紋のように個性があり、現状のイヤフォンでは全ての人の生体信号を検出することができない。耳型をとって個々にカスタマイズするのがベストだが、それでは高価すぎる。例えば電極にバネを付けるなどの工夫で、誰にでもフィットするものにしたい」(説明員)
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