セカイカメラ2.0はモバイルARのスキヤキになれるか(1/2 ページ)

» 2009年12月02日 22時08分 公開
[松尾公也,ITmedia]

 昨年のTechCrunch50で世界に名をとどろかせたセカイカメラ。iPhone向けの無料アプリが公開されたのがこの9月24日だ。ラブプラス姉ヶ崎寧々のタグテロ、わずか4日間での10万ダウンロード達成など世間を賑わせた。しかし、それは日本だけの地域限定デビュー。世界はまだ本当のセカイカメラを知らない。

 AR(拡張現実)技術を使ったアプリでは、Android向けにWIKITUDEやLayarが先行。AppleのAPIが緩和されたことによりようやくリリースできたセカイカメラiPhone版のリリース時には、AndroidアプリもこぞってiPhoneにも対応した。現在は数十もの「AR系」アプリがApp Storeを賑わせている。

 Android版だけだったときはさして話題になっていなかったARだが、iPhoneアプリの登場により認知度は非常に高まっている。デスクトップPCとWebカメラを使ったさまざまなAR広告・キャンペーンがでてきたいま、iPhone、AndroidのモバイルARアプリは今、最も注目されているジャンルだ。

 しかし、そこで代表的アプリとして取り上げられているのは、セカイカメラではない。モバイルARを紹介するときには、WIKITUDE、Layar、そしてjunaioが「先進的な機能を持つARアプリ」としてピックアップされている。「日本でしか手に入らないスグレモノiPhoneアプリ」としてセカイカメラが取り上げられることはあるが、せいぜいその程度だ。

 今回のセカイカメラ2.0は、世界進出を果たす目的で開発されたもの。後発であることを選択した頓知・(とんちどっと)はどのようなセカイ戦略を取ろうとしているのか。12月2日に行われたセカイカメラ発表会から探っていきたい。

なぜスキヤキなのか

画像 頓知・の井口尊仁CEO

 セカイカメラにとって初めてのメジャーバージョンアップになる2.0には「sukiyaki」というコードネームが付けられている。Twitterのハッシュタグも#sukiyakiが指定されている。なぜか?

 それにはちゃんと意味がある。セカイカメラのうたい文句である「Look up, not down」。これは言い換えると「上を向いて歩こう」。故坂本九の名曲であり、米国チャートでナンバーワンとなった唯一の日本の楽曲である。その英語タイトルが「Sukiyaki」だったのは説明するまでもないだろう。

 そしてApple Store銀座で行われた発表イベント名は「セカイカメラsukiyaki 2009東京」。イントロではいきなり「上を向いて歩こう」が流れ、頓知・の井口尊仁CEOが登壇した。

 バージョン2.0になり、Twitter対応のほかソーシャルARとしてのさまざまな機能が追加され、楽天トラベル、ゼンリン・データコムなどパートナーの数も増えたことを説明した井口CEOが続けて触れたのは「世界展開」について。いよいよ日本市場だけでなく、海外のApp Storeでもリリースする。

 「7 77がマジックナンバー」と井口氏。既にリリースしている日本語に加え、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、韓国語、スペイン語がサポートされ、合計7カ国語対応。App Storeの全対応国である77カ国でバージョン2.0がリリースされる。これが「7 77」の意味するところだ。

 海外では既に導入事例もある。仏Bouygues Telecomはパリで最大級の科学博物館へのセカイカメラ導入でシステムインテグレータ(SIer)として参加。この博物館でのセカイカメラ利用は12月末に終了予定だったが、好評のため延長となった。これ以外にも各所から問い合わせが来ているという。

 今回発表されたものの中でAR技術的に重要なのが、クウジットのPlaceEngineマルチフロア測位技術だ。ビルやマンションで異なるフロアを推定する技術で、屋内で正確に測位するには必須となる機能。これがセカイカメラで使えるようになった。海外の法人向けソリューションでも使われるはずだ。同社の末吉隆彦社長は「クウジットは現在8人と少数なので、現地のSIerと連携していく」と説明している。実際、フランスではBouygues TelecomがSIerとなってPlaceEngineの設置を行った。

 頓知・には、既に海外から引き合いが多数舞い込んでいる。「手応えがあるのは北米、韓国、フランスからはものすごく熱い期待をヒシヒシと感じている」と井口CEOは話す。

 海外展開でひとつ疑問だったのは、駅や銀行、店舗、ビルなどのランドマークとなるPOI(Point of Interest)をどうするかという問題。これについて井口氏に尋ねたところ、「MicrosoftのBingを使う」との回答だった。

セカイのライバルたち

 次に既に世界デビューを果たしているライバルアプリをいくつかピックアップして、新しいセカイカメラと比較してみよう。

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