成田空港と関西国際空港。2つの国際空港へのアクセス鉄道では、ドコモ品質の安定感が実感できた。では、新幹線ではどうだろうか。
現在、JR東海の東海道新幹線「N700系」では、車内でのWi-Fi接続サービスが提供されている。しかし、それ以外の新幹線路線ではWi-Fi接続サービスが用意されていない。そこで今回は“新大阪から西”のJR西日本 山陽新幹線区間(新大阪〜博多)でBF-01Bを使用し、ベンチマークテストを行ってみた。
さて、その結果は……。まずは「かなり厳しかった」と言わざるを得ない。というのも、山陽新幹線はトンネルが非常に多く、ここでは圏外が多発したからだ。トンネルを出れば再びインターネットにつながるのだが、トンネルが続く地域では再接続する前にまたトンネルに入る、といった繰り返しで、ベンチマークテストを行うことが非常に難しかった。
しかし、ここで補足しなければならないことがある。実は今回、山陽新幹線でベンチマークテストをしたのは2010年の12月上旬だったのだが、その後の12月22日に山陽新幹線のトンネルでエリア改善工事が実施されている。筆者のテスト時は工事前だったので、トンネルでの圏外が多発してしまったのだ。そのため現在では、かなり状況が改善されている可能性が高い。
そのような中で、成功したテストで平均値をみると、新大阪から岡山の区間の平均が下り0.95Mbps、上り0.12Mbps。岡山から博多区間の平均が下り1.6Mbps、上り0.8Mbpsだった。全般的に“トンネル地帯にさえ入らなければ、走行中でも下り1〜2Mbpsのスピードが出る”という傾向だった。岡山−博多間の方が平均値が高いのは、九州に入ってからトンネルが減ったからである。
さて、出張テストの最後は冬の北海道である。札幌と新千歳空港を結ぶ千歳線エアポート快速で、BF-01Bのベンチマークテストを実施した。
その結果は、平均で下り2Mbps、上り1.1Mbpsというもの。トンネルが多く苦しかった山陽新幹線とは一転して、都市部から郊外を抜ける千歳線エアポート快速内でのデータ通信は快適だった。ルート上には、線路の両脇が雪山に囲まれるような場所もあったが、そこでも圏外になることはなく、安定して通信ができた。北海道ではドコモのエリア品質の高さが強い訴求力になっていると聞くが、それが納得できる実力だ。地方・郊外のデータ通信インフラに強いドコモ、というのは間違いないところだろう。
今回は時間と出張先が限られていたため、全国津々浦々でテストができたわけではない。しかし、ここまでを見てもらえば分かるとおり、ドコモが誇るFOMAのインフラ品質は国内キャリアの中でも随一であり、BF-01Bなどドコモのモバイルデータ通信端末には“どこでも使える”という安心感がある。しかもドコモは、郊外でも高速データ通信を実現する「FOMA HIGH-SPEED」を主力にエリア整備しているため、地方郊外や山間部に行っても、実効速度で1.5Mbps以上のスピードが出ることが多い。
昨年末に開始したドコモのLTEサービス「Xi」でも、Xiエリア外では現行のFOMAエリアを使うため、“最先端の高速データ通信サービスでありながら、エリアの心配がいらない”という安心感を実現している。
「どこでもつながるエリアの広さ」と「高速移動中にもしっかりと使える」こと、そして「実効速度の安定的な速さ」を重視するなら、ドコモのモバイルWi-Fiルーターは前向きに検討する価値があると言えるだろう。
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