iPad Wi-Fi版をモバイルWi-Fiルーターで外に持ち出す――「BF-01B」編(1/2 ページ)

» 2010年10月04日 08時30分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 今年のモバイル業界におけるヒット商品の1つが「モバイルWi-Fiルーター」である。これは3Gの通信機能とバッテリーを内蔵し、いつでもどこでも、複数のPCやデジタル機器をWi-Fi経由でインターネットにつなげるというもの。イー・モバイルの「Pocket Wi-Fi」の登場以降、その汎用性と手軽さ、そして“PC以外のWi-Fi通信対応機器”が増えたことで需要が増加。従来のUSB接続型データモデルに代わり、新市場を作りながら成長している。それに伴い、モバイルWi-Fiルーターの新製品が各社から矢継ぎ早に発売されたのも記憶に新しいところだ。

 かくいう筆者も、モバイルWi-Fiルーターのヘビーユーザー。今はドコモの「BF-01B」(※)を愛用し、ノートPCからスマートフォン、タブレット端末、ゲーム機まで、いろいろなものをつないで利用している。

 モバイルWi-FiルーターとPC以外のデジタル機器の組み合わせは、何が便利で、どのような可能性があるのか。また、その中でもBF-01Bを使うことは、どのようなメリットがあるのか。それらを考えみたい。

※BF-01Bは、6月24日から発売されていたバッファローの「ポータブルWi-Fi DWR-PG」をドコモブランド商品として9月25日から発売したもの。筆者はポータブルWi-Fiをいち早く購入して愛用しているが、本稿では現行商品である「BF-01B」として紹介する

iPad Wi-Fi版+BF-01Bの魅力とは?

Photo ドコモブランドのモバイルWi-Fiルーター「BF-01B」

 数あるWi-Fi対応のモバイル端末の中でも、いま最も注目されているのはAppleの「iPad」だろう。iPhone譲りのiOSを搭載し、9.7インチのマルチタッチディスプレイを備えるiPadは、タブレット型マルチメディア端末という新たな市場を創出。今も多くの人を魅了している。周知のとおりiPadには、3Gデータ通信機能を内蔵する「Wi-Fi+3G」版とWi-Fi機能のみ搭載する「Wi-Fi」版の2つがある。

 筆者はiPadを購入するならWi-Fi+3G版をお勧めしているが、iPadとBF-01Bの組み合わせもまた、「ベストパートナー」といってもいい使い勝手を実現している。

 その最大の理由は、バッテリー持続時間にある。iPadのバッテリー持続時間はこの手のモバイル端末としては破格なほど長く、Wi-Fi版で約10時間、Wi-Fi+3G版で約9時間だ。このバッテリー容量の大きさとAppleの省電力制御の巧みさもあり、朝持ち出してから夜に帰宅するまで、ほとんどバッテリーの残りを気にする必要はない。一方で、一般的なモバイルWi-Fiルーターはバッテリー駆動時間が4時間前後。スタンバイ時間も含めた実稼働の場合はもうすこし長いが、案外バッテリーの持ちが悪いというケースも少なくない。となると、どうしても“iPadより先にモバイルWi-Fiルーターのバッテリーが切れる”という憂き目にあってしまうのだ。

 しかし、BF-01Bはスペック上の最大連続通信時間は6時間。スタンバイ(省電力)モードの制御もうまく、1日の中で間欠的に使うような利用方法ならば、iPad同様に朝に家を出てから夜に帰宅するまでバッテリーが持つ。ロングバッテリーライフが売りのiPadと組み合わせても、十分にそのパートナーが務まるのだ。ただし、ここで1つだけ注意が必要な点がある。それはiPadのメールやアプリでプッシュ機能を使っていると、iPadはインターネットに常時接続しようとするため、BF-01Bがスタンバイモードに入らず省電力機能が生かしきれない。それでも6時間程度はバッテリーが持つが、iPadに合わせてBF-01Bを運用するのならば、プッシュ機能はオフにしておこう。

PhotoPhoto BF-01BでWi-Fi接続中のiPad。アプリのダウンロードやアップデートでも、容量を気にせずに利用できる

Wi-Fi利用時のみの「機能制限」が回避できる

 バッテリーの問題さえなくなれば、BF-01Bを使ったiPad利用は「快適」の一言につきる。

 まずWi-Fiを使って通信をするメリットとして、3G通信を利用する際に設けられている“機能制限”がないことが挙げられる。これはiPadやiPhoneが過度な負荷をキャリアのネットワークにかけないように設定されているものだ。例えば、App Storeでは20Mバイトを超えるアプリはダウンロードできず、iTunes Storeは3G利用時には音楽コンテンツを買うことすらできない。YouTubeは低画質モードでしか再生できず、一部のアプリでは3Gだとデータの更新ができないものもある(逆に3Gでないと使えない機能がある場合もあるが)。しかし、これらもBF-01BのWi-Fi接続経由だと、実際はドコモのFOMA(3G)回線を使っているにもかかわらず、まったく問題なく利用できる。

PhotoPhotoPhoto iPadやiPhoneは「3G通信時は使えない」という機能制限サービスやアプリがある。「iTunes Store」や「App Storeの大容量アプリ」「ビューン」などはその典型例。しかしBF-01B経由での3G接続は、iPadからは“Wi-Fi接続”と認識されるので、これらの機能制限が回避できる

 iPadやiPhoneは3G通信モードでの利用制限が他社製品よりも厳しく、Wi-Fi経由やPC接続での利用を前提にしている部分がある。そのため最終的にはドコモの3G回線を使うのであっても、“Wi-Fi接続として認識される”BF-01Bでの利用は、iPadのフル機能をいつでもどこでも使えるという点で大きなメリットがあるのだ。

PhotoPhotoPhoto 通常は3Gモードで利用できないiTunes Storeも、BF-01B経由ならばモバイル環境で使える。いつでもどこでも音楽・映像が買えるのはうれしいところ。産経新聞HDなど大容量データをダウンロードするコンテンツもサクサク動く
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