急増“スマホの操作が分からない”の声 ドコモが「遠隔サポート」で対応強化

» 2012年01月24日 18時53分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 利用者の端末画面が専用アプリを通じてコールセンタースタッフのPCにも映しだされる

 NTTドコモは1月24日、スマートフォンやタブレットの操作方法を遠隔でサポートするサービス「スマートフォンあんしん遠隔サポート」を発表した。コールセンタースタッフが、端末の操作に行き詰まったユーザーの端末画面を遠隔で確認し、操作方法を案内するもの。リモートデスクトップサービスなどを提供する韓RSUPPORTの技術を採用し、専用のフリーダイヤルとアプリを利用して実現した。

 2月下旬〜3月に発売する「MEDIAS ES N-05D」から対応を順次開始する。価格は月額420円で、「ケータイ補償お届けサービス」とセットで契約した場合は126円となる。5月31日まではキャンペーンとして無料で利用できる。

急増するスマートフォンの問い合わせ

photo ドコモ マーケティング部 ロイヤリティプログラム担当部長 三嶋俊一郎氏

 今や携帯電話のラインアップはスマートフォンが主流となり、ITに関心の高いユーザーに限らず、幅広い層がスマートフォンを利用しはじめている。それに伴い増えているのが、スマートフォンの使い方に関する問い合わせだ。ドコモ マーケティング部 ロイヤリティプログラム担当部長の三嶋俊一郎氏によれば、携帯電話の操作に関するコールセンターへの問い合わせは、2011年6月に14万件だったのが12月には25万件と、半年で約1.8倍にふくれあがった。

 スマートフォンは従来型の携帯と違い「パソコンの性格も持ちあわせている」(三嶋氏)ため、不慣れなユーザーが操作に行き詰まるケースが多い。こうした問題に対しドコモはこれまでコールセンターの増強などで対応してきたが、より顧客満足度を高めるために新サービスに乗り出す。


photo サービス概要

photo 利用の流れ

 利用の手順はこうだ。まず、操作に行き詰まった利用者が専用のフリーダイヤルに電話をかける。すると、コールセンターのスタッフが応対を開始し、遠隔サポート用アプリを利用するためのパスワード(6ケタの暗証番号)をユーザーに伝える。利用者がアプリを起動し、パスワードを入力すると、コールセンターに利用者の端末画面が送られる。スタッフはその画面を見ながら、操作方法を案内していく。

 スタッフが端末画面に記入した矢印や囲みなどのマーカーが利用者の端末にも表示されるなど、口頭では難しい視覚的なコミュニケーションが可能になり、電話対応よりも「高いレベルのアフターサービス」が提供できるという。なお、コールセンターが対応するのは原則的に端末の基本的な機能の案内で、ドコモ以外が提供するアプリなどのサポートは対象外となる。


photo PC側でスタッフが赤い囲みを画面に入れると端末側にも表示され、どこを操作すればいいのかひとめで分かる

 専用フリーダイヤルは固定電話からの利用を主に想定しているが、スマートフォン自体からの電話ももちろん可能で、ハンズフリー機能を使ってコールセンターと通話しながら操作案内を受けるといったこともできる。

RSUPPORTの技術を活用 過去の端末への対応は「検討中」

 リモートデスクトップサービスを提供する韓RSUPPORTの技術にドコモ向けのカスタマイズを施してサービスを実現した。対応端末以外が接続できないようにした専用サーバを介し、利用のたびに発行されるワンタイムパスワードを使って端末とコールセンターのPCとを連携させる。通信はSSLでセキュリティを高めた。

 コールセンターのスタッフは主に操作方法の指示を行うが、システム的には端末の操作も可能で、ユーザーの要望によっては操作を代行することもあるという。画面が共有されるため、端末に表示される個人情報はスタッフも閲覧することになる。そのため、利用前にはユーザーがこれに同意することが必要だ。とはいえ、画面を見せたくないシーンで画面共有を一時的に停止する機能も備わっており、例えば「電話帳の操作の場面ではスタッフと画面を共有しない」といったことが可能となっている。

 RSUPPORTの技術を採用した理由は、データの圧縮により「パケット利用量を抑えられるため」(三嶋氏)という。なお、コールセンターへの電話は無料だが通信料はユーザー負担となる。ただ、スマートフォンは定額制での利用がほとんどのため、問題にならないとの認識だ。

 対応端末はMEDIAS EN N-05Dを皮切りに、新端末で順次対応させていく。過去のモデルに関しては「OSの修正が必要になる」ため、対応を検討中だ。

今後はアフターサービスとのパッケージ化も視野に

photo サービスの条件など

 新サービスは、2014年3月末までに500万契約の獲得を目指す。従来から提供するケータイ補償お届けサービス(紛失・水没時などの端末手配サービス)とセットでユーザーに強く訴求していく考えで、セット契約による割引を用意した。なお、新サービスの利用には、無料の会員制サービス「ドコモプレミアクラブ」への加入が必要となる。

 スマートフォンの一般化に向けた施策としては、KDDIがウイルス対策やアプリ取り放題サービスなどをまとめて提供する「auスマートパス」を月額390円で提供することを発表。他社が安価なパッケージ型サポートを打ち出すなか、報道陣からは「この料金体系でやっていけるのか」という質問もあった。三嶋氏は「今後は、さまざまなアフターサポートを組み合わせて提供することもあり得る」と、サービスのパッケージ化の可能性に触れた。「セキュリティやアプリ施策といったものとの組み合わせも検討している。料金に関しても、状況を見ながら考えていきたい」(三嶋氏)

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