チーム機能以外で最も関心したのは「睡眠記録」だ。これはUPのセンサーを利用して浅い眠りと深い眠りを“見える化”するもの。スマホでも同様の機能を持ったアプリもあるが、枕元など体から離れた場所に置くため、計測結果にムラが出てしまう。また何より、アプリを起動して一晩中計測するため、バッテリー消耗が大きいというデメリットも目立っている。対してUPは手首に巻くリストバンドのため、身体から離れない。また10日間の連続使用が可能なので、バッテリーを気にする必要もない。
睡眠時間を計測するにはリストバンドのボタンを長押して、睡眠モードに切り替える必要がある。バンドの三日月マークが光ったのを確認したら、あとは眠るだけ。朝、目が覚めてからスマートフォンと同期すると、「浅い眠り」「深い眠り」「睡眠時間」「横になってから眠るまでの時間」「床で起きていた時間」が表示される。設定では目標睡眠時間を設定でき、それに応じた目標到達度を見ることも可能だ。
また、起床時間を設定しておくことで、起床時間に近く、眠りが浅い時を見計らってUP自身がバイブレーション機能で起こしてくれる機能もある。決まった時間にのみ鳴動する目覚まし機能とは違い、快適な目覚めを目標としている「スマートスリープウィンドウ」を利用することで起床時間の違う家族に迷惑をかけることなく、また気持ち良い目覚めができる。筆者はこの機能だけでもUPは買いかもしれないと思った。
非常に良い製品であるが、気になる面も少なからず存在する。まずはキャップの存在。リストバンドの一端であるキャップを外してスマートフォンとの同期や充電に利用するのだが、どうもこのキャップは無くしそう。できればプラッグがにゅっと飛び出すような収納式のギミックが欲しかった。
また、食事の記録であるが、面倒くさがりの筆者にはどうも馴染めなかった。というのも、「みそしる」と入力すると候補に「おしるこ」や「かにみそ」が出てくる始末だ。欧米では「みそしる」だろうが「おしるこ」だろうが些細な違いであろうが、日本では大きく違う。また、あらかじめ登録されている食品ならまだしも、適当に作った野菜炒めのカロリーを入力するといった行為はどう考えてもめんどくさい。
この辺は日本国内の食品メーカーに協力してもらい、もっと簡単にカロリー計算できるようなシステムにして欲しいところである。なお、頑張って登録した食品は記録として残るので、2カ月ほど頑張って登録を続けていけばかなり楽になるのではないだろうか。
ここまで高性能であれば、できれば体重管理の項目も欲しかったと思う。せっかく歩数と消費カロリーの記録、運動の管理ができるだけに、体重の管理ができないのはとてももったいない。筆者も体重計とスマートフォンのアプリを利用し、Wi-Fi経由で同期しているのだが、さらにUPが加わればさらにモチベーションもあがることだろう。追加機能としてアプリに組み込まれることに期待したい。
UPの販売価格は1万3800円で、歩数計としてはやや割高に感じる製品だ。だが、歩数計だけでなく睡眠記録機能と、浅い眠りの時に優しく起こしてくれるバイブ機能であり、これは「買い!」だと思う。
イヤフォンジャックを利用しての同期方法はシンプルである上に確実であるし、記録するアプリもアカウント毎の管理ということで、同じアカウントを入れてしまえば複数台で同じ記録を管理させることもできる。これは常に複数台のスマートフォンを持つ筆者のような人間にはとても頼もしい機能である。
記事内でも書いたが、紛失しそうなキャップや体重管理も欲しいという要望はあるものの、スマートフォンのバッテリーを気にせず、歩数と睡眠を一つの機器で計測してくれ、しかも防水で省電力というのはとても頼もしいと感じた。
今までにない活動記録グッズであることには間違いないので、健康管理やダイエットへの頼もしい味方になるだろう。
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