グーグルは12月16日、スマートフォン・PC・テレビのマルチスクリーン利用者が対象の行動分析調査の結果を発表。同社のマーケットインサイト統括部長小林伸一郎氏が登壇し、ユーザーの傾向を説明した。
今回の調査方式は、インテージのシングルソースパネル「i-SSP」を使用したもの。インテージの各パネリストのPC・スマートフォンに行動ログを記録するアプリをインストールさせ、どんなオンラインサービスをどの時間帯にどれだけ使用しているのかを分析した。また、テレビの横に音声データを録音する機器を設置し、あとから暗号化してどの番組をどれだけ視聴したかを割り出している。ほかにも、情報に対する意識や、購買行動や情報行動についても事前に聞き取りを行っている。調査対象は、関東在住のスマートフォン・PC・テレビを所持した約500人。2013年6月1日〜30日のメディア行動を調査している。
本調査を実施・発表する狙いや目的について、井上氏は「まず、前提として個人が所有するデジタルデバイスの多様化という背景がある。マーケティングの方法論も変わっていき、広告主も弊社の広告をどう使っていけばいいのか知りたいと思っている。消費者の現状を知り、明らかにしたいと意識している」と説明した。「特定のテレビ番組視聴中にツイートが増えたりすると“テレビのソーシャル化”などと言われるが、本当にそうなのか。どういう人たちが積極的につぶやき、どういう人たちがそういう現象と距離を置いているのかを知りたいと思い、今回は5つのグループに分類した」と続ける。
その結果、「今回は5つのグループにきれいに分かれた」という。井上氏は「これまでさまざまな調査をしてきたが、驚いたことがある。それは、もはや性別・年齢などのデモグラフィック(属性)分析は通用しなくなってきているということ。情報に対する考え方、性格、社会的役割などの複合的な要素が入り交じっている。これからは消費者のメディア接触、情報行動に合ったクリエイティブ/メディアプランニングをしていかないといけない」と話す。
今回グーグルによって分類された5つのグループとその特徴的行動は以下の通り。最も割合の多かった「ヒマツブシ貴族」について、井上氏は「楽しみのためにデバイスを利用している人たちで、人の目をすごく気にしている特徴がある。いわゆるLINEで“既読スルー”ができないような人たち」と説明する。
(1)キマジメ大食らい(全体の22%)
(2)ハラハチブ自由人(全体の15%)
(3)ヒマツブシ貴族(全体の30%)
(4)探索ナルシスト(全体の22%)
(5)社交的ハンター(全体の12%)
最後に井上氏は、テレビを視聴しながらのオンライン行動についての分析結果について、2013年のサッカーW杯アジア最終予選日本対オーストラリア戦を事例に説明した。W杯を視聴しながらほかのデバイスも使っていたのは、「探索ナルシスト」が74%と最も多く、「社交的ハンター」が73%とそれに続いた。
また、「検索行動とメール・SNSでの行動はそれぞれ“あるタイミング”でピークになった」と井上氏。「相手チームのナイスプレーなど、オーストラリアが何かしたときは検索行動が、日本選手がゴールを決めるなど、日本に何かがあったときはその気持ちをシェアしたくてメール・SNSを使う人が多くなることが分かった。今後はこうした分析をより詳しく行い、テレビと連動したオンライン行動についても分析していきたい」と語った。
「今回の調査で、テレビとスマートフォン・PCは単純にトレードオフの関係にあるわけではないことが分かった。デバイス環境の変化で、生活者の行動もまた変わっていく。今後はタブレットを扱った調査も行っていくかもしれない」(井上氏)
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