震災後、ドコモは何をした? 通信を支えるネットワークオペレーションセンターの仕組み24時間365日体制で監視

» 2014年01月27日 15時33分 公開
[村上万純,ITmedia]

 NTTドコモは1月24日、東京・品川にあるネットワークオペレーションセンター(以下、NWOPC)を報道陣向けに公開し、同社執行役員サービス運営部長の丸山洋次氏がNWOCPの取り組みについて語った。

合計約26万の装置を24時間365日で監視

photo NTTドコモ執行役員サービス運営部長の丸山洋次氏

 ドコモのネットワークは、全国に約18万ある基地局や制御装置などの「アクセス系」、約2000あるパケット交換機などの「ノード系」、その2つをつなぐIPルータ網などの「リンク系」(約7万8000)とあわせて合計約26万装置から構成されている。その7割はアクセス系だという。

 それらを東京・品川(東日本統括)と大阪・南港(西日本統括)の2カ所にあるNWOPCが24時間365日体制で監視・管理している。品川は200人、大阪は100人のスタッフを抱えており、「品川の方が難しい作業を求められたり、装置数も多いため、人員が多い」と丸山氏は説明する。

 ネットワークに異常があるとNWOPCにリアルタイムで通知が届く。「99%は遠隔操作で対処できる」(丸山氏)が、それ以外の場合は現地にスタッフを派遣してトラブルに対処するという。コンサートやコミックマーケットなど通信が混雑しそうなイベントではNWOPCで通信規制をかけて、ネットワーク全体の安定を図っている。


photophoto 計約26万の装置がある(写真=左)。東京と大阪の2拠点にネットワークオペレーションセンターを設置(写真=右)

新システム「ORTEGA」で、よりスムーズな運用が可能に

 丸山氏が新しい監視システムとして紹介したのが「ORTEGA(オルテガ、OpeRation Twin Equipment Guardian Agent system)」だ。このシステムの特徴は、“両現用”。すなわち、両方のNWOPCが稼働しているため、有事に片方のセンターが被災しても、もう片方で瞬時に代行ができる体制になっている。

photo 新たな監視システム「ORTEGA(オルテガ)」

ネットワークの信頼性向上のため、装置の故障にもしっかり対応

 ネットワークの信頼性向上に関する取り組みも、アクセス、ノード、リンクそれぞれの場合について説明があった。ドコモでは800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯と複数の周波数帯を使ってエリアを構築しており、アクセス系装置の場合は異なる周波数の基地局を重ね合わせている(オーバーレイ)。これにより、1つの基地局や無線制御装置が故障しても、別の基地局や制御装置でそれをカバーし、ユーザーへの影響を小さくするようにしている。

photo 異なる周波数の基地局を重ね合わせてエリアをカバーする

 パケット交換機や音声交換機などのノード系装置は、複数の装置を1つのグループとみなす「Pool化」を行い、処理を分散させている。従来は1つの交換機が故障すると、それに付随する装置のサービスも停止していた。しかし、「Pool化によってほかの交換機を代行させることができ、問題なくサービスを継続利用できるようになった」と丸山氏は話す。故障した交換機はグループから切り離し(孤立化)、修理が済むとPoolに戻す。

photo ノード系装置は分散処理で対処

 また、全国にある装置を結ぶ通信経路を複数確保(多経路化)することで、伝送路の増強も図った。丸山氏は北日本を例に、太平洋沿岸のルートと日本海沿岸のルート2つを用意していることを述べた。しかし、2011年3月に起きた東日本大震災で設備の故障により太平洋側のルートが使用できなかったため、新たに中央ルートを整備。多重化を進め、既存のルート上で装置が故障しても残りのルートで正常な通信を継続できるようになった。

photo 伝送路を複数用意し、有事に備える

震災後、災害対策を強化

 「東日本大震災を機に災害対策を拡充してきた」という丸山氏。これまでも震災関連の取り組みについて説明を行ってきたドコモだが、「一連の対策は2012年2月までに完了した」という。

 震災を受けて丸山氏が課題として挙げたのは「広域な被災エリアへの対処」「電力の確保」「破壊された伝送路への対処」「孤立した個人への情報伝達」の4つ。それぞれに対してドコモが行っている対策は「重要エリアへの大ゾーン基地局の設置」「重要エリアにおける基地局の無電化、バッテリーの24時間化」「衛星通信の活用」「伝送路を無線で実現する、小型で軽量なマイクロエントランスの活用」となっている。

photophoto 防災関係者向けの大ゾーン基地局(写真=左)。「電力の確保は重要な課題」と丸山氏は言う(写真=右)

 ここで言う重要エリアは、都道府県庁や市町区村役場などを指す。大ゾーン基地局は防災機関や自衛隊などの防災関連の担当者を対象にしたもので、半径7キロのエリアをカバーする。1000人〜2000人の利用者を想定しており、一般ユーザー向けのものではないという。電力の確保も重要エリアが中心だ。また、「伝送路が切れたとき、初動して役立つのはやはり衛星システム」(丸山氏)と言うように、衛星システムの活用はこれからも行っていくという。車載型移動基地局も19台を用意しているが、車が入れない場所向けには小型で軽量なマイクロエントランスを用意。リュックで装置をかついで人が現場に歩いていき、通信網を確保する。

photophoto 衛星システムも活用している(写真=左)。車が入れない場所は、マイクロエントランスを人力で運搬する(写真=右)

 気象庁の「緊急地震速報」や「津波警報」などを通知する「エリアメール」は、全国約89%の自治体から配信されており、東海エリアでは利用率が高いという。ほかにも、「無機質なメールではなく、音声を届けたい」というニーズに対応した「災害用音声お届けサービス」の提供、災害時に復旧状態を地図上で確認できる「復旧エリアマップ」の機能拡充にも取り組んできた。丸山氏は、「最近は、ゲリラ豪雨や夏の落雷、冬の雪害などで基地局が故障することも多い」と話す。

6輪番制で全国の基地局を監視

 プレス向けに公開されたNWOPC室内では、大画面に全国の基地局の状況がリアルタイムで通知されていた。赤・紫は故障している基地局、青は輻輳、黄は規制中など、各色が基地局の状況を示しているという。「約18人が1チームとなり、6輪番制で全国の基地局を24時間帯制で監視している」とドコモ担当者は説明する。ユーザーの「安心・安全を守る」ことを使命に掲げるドコモは、これからも積極的に災害対策を進める姿勢を示した。

photo ネットワークオペレーションセンター室内

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