前編の掲載からだいぶ間が空いてしまったが、引き続きNTTぷららの「ぷららモバイルLTE 定額無制限プラン」と、U-NEXTの「U-mobile データ専用 LTE使い放題」の、2つの通信量無制限データサービスの比較を行っていく。
計測条件などは前編と同じく、U-mobileとNTTぷららのSIMは「Xperia Z1 SO-01F」、参考で比較したドコモ契約(mopera U)のSIMは「Ascend G6」で使用した。測定には「RBB SPEED TEST」アプリを使った。また計測時期が2014年11月中旬であるため、現在は通信環境が変わっている可能性が高いことをご了承いただきたい。
前回は夜間の都内主要駅中心とかなり厳しめの条件での計測だったので、次は高速通信が期待できる早朝、深夜帯の住宅地で検証した。実施日は11月11日〜13日。神奈川県川崎市内にある筆者の自宅なのだが、ドコモLTEのバンド3もつかめる場所であり、時間帯を除いても好条件の計測環境だ。ドコモ契約のSIMなら、バンド3をつかんだときなら屋内でも下り100Mbpsを超える計測結果を出すこともある。
ここではグラフを時系列で1つにまとめてある。さすがにトラフィックに余裕のある時間帯なので、ぷららは下り平均で4Mbpsを超え、U-mobileも3.9Mbpsと拮抗して速かったし、バラツキが少なかった。このくらい下り速度が出ていると体感的にはほぼ問題ないレベルだ。それでもドコモ契約は平均で下り33Mbpsと圧倒的な速さを見せたが、体感差はほとんど感じなかった。
上りは特に速度制限を設けていないU-mobileが平均15.8Mbpsで、ドコモ契約の平均19.39Mbpsにかなり迫る速さを見せた。ぷららは3Mbpsという速度制限がある関係で平均5.39Mbpsとスコア的には見劣りするが、最低でも3.73Mbpsと、本来の制限値を超える速さを示した。
PINGもMVNOの2社は拮抗(きっこう)しており、平均値でみるとドコモ契約もほぼ同等というスコアになった。Webアクセスなどで体感差が少なかったのは、このPINGの差異が小さかった点も影響しているだろう。ぷららは前回の主要駅での夜間の計測ではPINGの大きさが気になったが、トラフィックに余裕がある状況であれば影響は小さいようだ。
次に通勤時間帯の乗換駅での計測を行った。実施日は11月11日〜13日。筆者の都合で神奈川県内だが、溝の口、武蔵小杉駅、川崎の3つの乗換駅に、乗降量の違いの影響を見るという意味もあって乗換駅ではない保土ヶ谷駅を加えた。こちらも通信環境という意味ではかなり厳しい条件になる。なお、筆者がメモを誤って消してしまった関係で、2回分はドコモ契約での計測結果が欠けている点はおわび申し上げたい。
ここでも下り速度はMVNO2社が近い数値を出している。平均ではU-mobileが上回ったが、体感的には差はない。上り速度はここでもU-mobileが上回ったが、深夜・早朝の住宅地と比較するとその差は縮まっている。ドコモ契約はMVNO2社に対してここでも大きな差を付けた。
傾向を見ていくと、MVNO2社は夜間の方がかなり厳しい感じだ。夜の方が駅単位で見ると乗降量はばらけていると思うが、いわゆるプライムタイムなので自宅利用も増え、ヘビートラフィックを発生させるユーザーも多いからではと推測される。筆者も朝よりは夜の時間帯の方が移動中でもなんとなくネット上の動画などを見てしまうことが多い。
夜の時間帯はぷららは下り平均が1Mbpsを超えることがなく、スマートフォン利用ならともかくPCからのインターネット利用ではかなり苦しそうだ。U-mobileも大幅に速いというわけではないが、下りはおおむね1Mbpsをキープできている。
朝の時間帯の下りはMVNO2社が勝ったり負けたりになっているが、2社ともにおおむね1Mbps以上の通信速度は確保できている。メール送信やニュースのチェック、SNS利用程度であれば必要十分な速度だろうし、筆者の体感としてもこの点は同様だった。少なくとも下りに関してはドコモ契約の方が高速で、ドコモ網とMVNO間の接続が通信速度のボトルネックになっていることは間違いないだろう。
PINGはここでもぷららが極端に高くなる傾向が見られた。逆にU-Mobileは平均でドコモ契約を上回る(低い)という結果になった。正直、体感での違いはほとんど感じられなかったので、ぷららは3Mbpsという速度制限が何らかの形で影響を与えているのかもしれない。
通信速度計測の最後はランチタイムのほぼ定点計測だ。11月11日〜13日に行い、11と12日が12時30分ごろ、13日のみが13時30分ごろ。横浜市保土ヶ谷区内のビジネスビル内にあるファミリーレストラン内での計測だ。
ランチタイムの通信速度もMVNO2社にはかなり厳しい結果になった。トラフィックの多い時間帯ではあるが、ドコモ契約は3日とも下り20Mbpsを余裕で超えているのに対して、ぷららが平均でなんとか下り1Mbpsを超える程度で、U-mobileは平均0.83Mbpsまで落ち込んだ。もちろんネット動画でも見なければ実用レベルの下り速度ではあるが、ドコモ契約とのギャップがあまりに大きい。上り速度はぷららも本来の制限速度である3Mbpsを平均でも超え、U-mobileは平均9Mbpsを超えている。MVNO2社はドコモ網と接続する帯域の下り側が飽和した状態といえる。
PINGはここでもぷららが目に見えて大きく、U-mobileがドコモ契約より優秀ということになった。ドコモのXiは上り速度が他キャリアに比較して遅いことが多く、きっちりQoSが働いているといわれているが、これもその影響かも知れない。ここでもぷららが体感の割にPING値が高いが、帯域制御の方式がRBB SPEED TESTとの相性が悪い可能性もありそうだ。
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