「Change the way you see the world(世界の見方が変わる)」というメッセージを打ち出した、Huaweiの新モデル。既報の通り、Huaweiは英ロンドンで、新スマートフォン「HUAWEI P9」と「HUAWEI P9 Plus」を発表した。
Huaweiは2013年から年に1回、ロンドンで「P」シリーズを発表しており、「ベストなデザインとカメラ」という2軸で強化を続けてきた。「P6」ではスリムなデザインとセルフィーニーズに応えるインカメラを強化、「P7」ではガラスボディーに暗所でも撮影できる新しいイメージングセンサーを搭載、「P8」ではフルメタルボディーに4色(RGBW)のイメージングセンサーを搭載した。
そして今回のP9シリーズでは、ライカとのパートナーシップにより、「LEICA」のブランドを冠するスマートフォン向けカメラの開発に成功。P9/P9 Plusに搭載されている1200万画素のデュアルカメラは、Huaweiとライカが共同開発したもので、「スマートフォンのカメラが新しいレベルに達した」と、Huaweiコンシューマー ビジネスグループのCEO、リチャード・ユウ氏は胸を張る。
Huaweiがこれまでスマートフォンのカメラで注力してきたことは、鮮明に、美しく撮影することだった。では次のレベルに何を求めるべきなのか? と考えたときにたどり着いた答が「芸術的な写真を撮ること」だという。リチャード氏は「スマートフォンのカメラはレンズサイズの制約があり、光の少ない環境下できれいに撮るのは難しいが、(P9/P9 Plusでは)難しい環境下でもきれいに撮れるよう、革新的なカメラ技術を盛り込んだ。ベストな画質を保証する」と自信を見せる。
発表会にはライカのCEO、オリバー・カルトナー氏も登壇し、ライカカメラが培ってきた強みや、Huaweiと協業できる喜びを語った。
「Huaweiと協業できることは素晴らしい機会だ。われわれはHuaweiと写真撮影について同じビジョンを共有しており、画質の向上に尽力してきた。ライカのカメラには、(写真の)構造、奥行き、自然な表現で、紛れもない特徴を持っている。ディテールの描画にも注力してきた。P9/P9 Plusはファーストクラスのコミュニケーションデバイスで、妥協なきクオリティを目指した。P9/P9 Plusで新しいカメラ体験ができる」(カルトナー氏)
1つのカメラに6枚のレンズ(計12枚)を入れており、「この小さなボディーにこれだけのレンズを入れることは非常に難しかった」とリチャード氏は苦労を話す。センサーはソニーの新製品を採用し、画素サイズは「HUAWEI P8」の1.12マイクロメートル、「iPhone 6s」の1.22マイクロメートルよりも大きな1.25マイクロメートルを実現。P8から24%のサイズアップを果たし、薄暗い環境でもノイズを抑え、より明るく撮影できるようになった。
さらに、RGBセンサーとモノクロセンサーを組み合わせることで、より鮮やかに、かつディテールも精緻に描画できるようになった。リチャード氏は日没の写真を例に挙げ、「ハイダイナミックレンジ、ハイコントラストな写真を撮れる」と強調した。
Huaweiはスマートフォンの発表会ではGalaxyとiPhoneの最新モデルを比較することが多いが、今回はP9とGalaxy S7・iPhone 6sをさまざまな部分で比較。写真の明るさについては、P9/P9 PlusがGalaxy S7と比べて90%、iPhone 6sと比べて270%明るいそうで、リチャード氏は実際の作例を元に紹介した。
従来のスマートフォンのカメラでは、薄暗い場所でピントを合わせるのは難しかったが、P9/P9 Plusではここも改善。レーザー光線を当てて被写体との距離を測定する「レーザーAF」、画像のコントラストが大きなところを探してピントを合わせる「コントラストAF」と、奥行き検知の合わせ技により、フォーカスの精度や速度が向上。至近距離、背景に光がある・薄暗い・被写体が複雑な環境でも、素早く正確にピントを合わせられるという。P9/P9 Plusのプロセッサ「Kirin 955」の中に画像処理プロセッサ(ISP)を内蔵しており、これが高速AFを可能にしている。
リチャード氏は、大口径レンズを採用したことで、プロフェッショナルなボケ味のある写真を撮れることも特徴に挙げる。背景をボカして人物を強調した写真を簡単に撮れるほか、2つのカメラが検知した奥行き情報をもとに、後から特定の被写体に対してボケ味を調整したりできる。
「人間が見たそのままの写真を残せる」というライカカメラの特徴はP9/P9 Plusにも受け継がれており、日没などの景色も、作例を出しながら、まるで人間の目で見たそのままの自然な様子を記録できることを紹介した。
色味の派手さを変更できる「スタンダード」「ビビッド」「スムース」という3種類のモードも用意した。例えばカラフルな写真を残したければビビッドモードで撮影し、落ち着いた色合いにしたければスムースを使うのがいいだろう。リチャード氏は、それぞれのモードで撮影した3枚の作例を紹介した。
白と黒のみで表現するモノクロ撮影も、プロが撮ったような深みのある一枚を撮れるという。リチャード氏は、太陽光が差している中を人々が歩いている写真を例に挙げ、モノクロながらも(太陽の)光を感じられる一枚に仕上がっていることを説明した。
カメラ撮影のUI(ユーザーインタフェース)は、極力シンプルになるよう工夫した。カメラを起動してシャッターを押せば、ライカ品質の写真を手軽に撮影できるが、上にフリックするとISO感度、シャッタースピード、露出、AF、ホワイトバランスを調節できる項目が現れる。右にフリックすると、モノクロ、ビューティー、HDR、夜間撮影などのモードが現れ、左にフリックすると、解像度やカメラグリッドなどの設定が現れる。専用のシャッターキーは備えていないが、ボリュームキーにシャッター操作を割り当てることはできる。
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