視覚・聴覚・操作――GoogleがスマホVR「Daydream」で重視していること

» 2017年05月09日 21時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 米Googleは、Androidプラットフォーム向けにVR技術「Daydream」を展開している。ハイスペックPCを使うVR技術が多い中、あえてモバイル向けに注力しているのは、より多くの人に使ってもらうことに焦点を当てているからである。

 VRは「仮想現実」の略。「仮想」であるとはいえ、「現実」に即した体験を提供できなければユーザーの満足は得られない。

 果たして、Daydreamではどのような工夫をして「現実」を提供しているのだろうか。5月8日に行われた開発者向けイベント「Unite 2017 Tokyo」において、同社のアレックス・リー氏がDaydreamで重要視している3つの「感覚」について解説した。

アレックス・リー氏 GoogleでDaydreamとTangoのPublishing Producerを務めるアレックス・リー氏

視覚:動きに対する遅延を「20ミリ秒」以内に抑える

 現実世界の物事はタイムラグなく目に映る。しかし、VRでは各種センサーが動きを検出し、それを画面に反映するまでにどうしてもタイムラグが発生する。現実世界のように「0ミリ秒」の反応はどうしても不可能なのだ。だからといってアクションに対するタイムラグが秒単位で発生してしまっては、「いるはずのない場所にあたかもいるかのような」VR体験は実現できない。

 Googleが行った実験では、「20ミリ秒(0.02秒)」以内の遅延に収めることができれば人間の脳は「現実」として理解できるという結果が出たという。Android端末が「Daydream-ready」認証を取得する条件として定められた「20ミリ秒以内に反応すること」は、この実験結果から導き出されたものだ。

0秒での反応が理想だが…… 現実世界の物事は「0ミリ秒」の遅延で視覚に反映されるが、VRでは不可能
20ミリ秒以内なら許容範囲 Googleの実験によって、人間の脳は20ミリ秒以内の遅延なら「現実世界の出来事」として許容できることが判明。それがDaydream Readyの基準となった

 「20ミリ秒以内に反応すること」という条件を乗り越えるため、Daydream Ready端末では「低残像ディスプレイ」「高性能プロセッサ」「高品質・低遅延センサー」を搭載している。また、Android 7.x(Nougat)においてソフトウェアレベルでも最適化を行っている。そのため、Daydream-readyのスマホでも、機種によってはOSバージョンアップをしないとDaydreamは使えないので注意が必要だ。

ハードウェアの工夫 Daydream Ready対応端末は「低残像ディスプレイ」「高性能プロセッサ」「高品質・低遅延センサー」を搭載している。初対応を果たしたのは、Googleが自社ブランドで販売しているスマホ「Pixel」と「Pixel XL」だ
ソフトウェアの工夫 Android 7.xではOSレベルでVR対応を施している

聴覚:現実感を高めるのは「リアル絵」よりも「ラフ絵+音声」

 VRにおける没入感をより高めるためには、音声が果たす役割が大きい。

 リー氏によると、「たくさんのポリゴンで精巧に描写した木」だけを見せるよりも、「少ないポリゴンで描写したラフな木」に音声を加えて見せた方がより「現実」としての認識度が高まるという。「限られたリソースの中で(VRソフトを)開発するのであれば、オーディオを充実させることは1つの解決策」(リー氏)なのだ。

精巧な絵よりも音声を 精巧な木(左)を描くよりも、ラフでも没入感を高める音声を加えた方がVRにおける「現実感」は高まるという

 ただし、単に音声を加えれば良いというものではない。描写する場所に応じた「没入感を高める音声(immersive audio)」を組み合わせる必要がある。Googleでは部屋の大きさなどの条件を設定するだけで没入感を高める音声を作る機能を開発者向けのSDKに盛り込んでいるという。

場に応じた音声は重要 やみくもに音声を入れるのではなく、設定環境に合わせた「没入感を高める音声」を入れる必要がある

操作:専用コントローラーで「振る」「回す」「ひねる」操作に対応

 Daydreamの世界では、頭や体の動きに合わせて景色や音声が変わる。しかし、その世界に「反応」をもたらすには、手足の動きも何らかの形で端末に伝達する必要もある。

 そこで登場するのがBluetooth接続の専用コントローラーだ。このコントローラーにはモーションセンサーが仕込まれており、振ったり回したりひねったりする操作にも対応している。これにより、VRアプリにより「現実味」を持たせられるという。

専用コントローラー Daydream専用のコントローラーは9軸モーションセンサーを搭載している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月26日 更新
  1. 年会費9万9000円の価値はある? 最上位クレカ「Olive Infinite」と「Visa Infinite」の違いと持つべき人 (2026年06月25日)
  2. ドコモから「arrows Alpha2」登場 新素材とフルフラットパネルを採用、水中撮影にも対応 (2026年06月25日)
  3. スマホの短期解約、最長1年の「継続利用」容認で抑制へ 「お試し割」は統合 総務省が取りまとめ (2026年06月25日)
  4. 「海外からの迷惑電話が解消した」との声も NTTタウンページの「詐欺対策」アプリ、累計100万ダウンロード突破 (2026年06月25日)
  5. ソニー「aibo」の国内販売終了 なぜ、人に愛される存在になったのか (2026年06月25日)
  6. 折りたたみiPhoneに近いサイズ感? 「HUAWEI Pura X Max」実機レビュー 横長“パスポート型”が合理的な理由 (2026年06月24日)
  7. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
  8. 「ソフトバンクの株価なぜ低迷」「料金値上げの影響」「PayPayに次ぐ新事業は?」 株主総会での質疑応答 (2026年06月24日)
  9. KDDIのISP向けメールシステムで不正アクセス BIGLOBEや@niftyなどで情報漏えいの恐れ (2026年06月23日)
  10. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー