国内100GBプランが“サンキュッパ”――夢のセカイルーター「GWiFi」の現実に迫る5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(2/3 ページ)

» 2017年08月31日 05時00分 公開
[島田純ITmedia]

速度は快適でも「品質」が不安

 GWiFiの通信速度は快適です。しかし通信「品質」に目を向けると、少なくない課題が見えてきます。

 まず、セカイルーター全般の大きな特徴でもある「ネットワークの自動切り替え」についてです。元来、GWiFiは「日本国内ではNTTドコモまたはソフトバンクの通信回線を切り替える」ことをウリとしていました。どちらかのネットワークの電波が弱くなったり、通信品質が悪化したりしても極端に品質を落とすことなくデータ通信が利用できる――と、されていました。

 しかし、実際にサービスを利用するとソフトバンクのネットワークにしか接続しません。ドコモのネットワークに切り替わることが全くないのです。

 この点について、筆者は「ソフトバンクのネットワークで問題ないと端末側が判断した結果である」と思っていましたが、実際にはGWiFiのシステム不具合が原因でドコモ回線への切り替えができないことが判明し、発売から約1週間が経過してからBroadLineのWebサイトで公表されました。

 8月30日現在も、つながるネットワークは「ドコモダケ」ならぬ「ソフトバンクダケ」状態となっていて、復旧のめどについても具体的な言及はされていません。ドコモとソフトバンクのネットワークを切り替えながら使えることに期待してG3000を買ったユーザーとしては、システム復旧を待つしかない状況です。

お詫び 発売から約1週間後届いた、ネットワーク切り替えに関するシステム障害の告知文。8月30日現在もこの問題は解決していない

 また、BroadLineはこの障害告知と同時に、接続中の回線提供者(キャリア)によっては特定のアプリ・サービスや通信プロトコルを利用した時にデータ量規制が行われることがあることも明らかにしました≫。

 筆者が利用した限り、この制限によって致命的に使い勝手が悪いと感じることは今のところありません。しかし、G3000を購入した他のユーザからの報告によると、「YouTube」などの動画視聴サービスで通信速度が制限されることがあるようです。そのユーザーは国内で使っていることから、状況証拠的にソフトバンクに接続していると、動画視聴時に速度が制限されることがあるということになります。

 ただし、筆者の環境ではYouTubeや「Amazonビデオ」が全く視聴できなくなったり、著しく画質が悪くなったりといった現象は確認できていません。この点については、より詳しい制限の内容が明らかになることに期待したいと思います。

YouTubeの再生画面 接続中のキャリアによっては、特定アプリや特定プロトコルを利用すると通信制限がかかる場合がある。これはBroadLine側でかけている制限ではないという(写真はイメージ)

 さらにこの障害とは別に、8月18日午前10時頃から国内でのデータ通信が不安定になったり全く通信できなくなったりすることがある障害が発生していることが明らかになりました。この障害は当初ユーザー向けにメールで通知されましたが、後に公式サイトにも掲載されました。先の障害と同様に、8月30日現在も回復の見通しは掲載されていません。

 この障害に起因するのかどうかは分かりませんが、筆者もG3000でデータ通信が突然できなくなるトラブルが発生することがあります。その挙動はさまざまで、端末ディスプレイ上に「データ接続不可」という旨の表示が出ることもあれば、ディスプレイ上は何ら問題がなくてもデータ通信できないこともあります。

 筆者が試した限りにおいては、このトラブルは、新幹線など「高速な交通手段で移動中」という条件で発生しているようです。モバイル通信のエリアは問題ない(圏内である)のにG3000では接続が非常に不安定になる、ということがあったのです。

国内データ通信が不安定になる可能性があるという告知 BroadLineのWebサイトにも掲載された、国内でのデータ通信が不安定になったり全く通信できなくなったりすることがある旨を記したメール。現在はWebサイトにも掲載されている

 接続トラブルが発生した場合、一般的な対処方法の1つとして「とりあえず端末を再起動」が思い浮かびますが、ここにも若干問題があります。G3000は電源を入れてからデータ通信ができる状態になるまで、2分程度かかるのです。データ通信が復旧するのかどうかが明確でないのに再起動することになると、案外ストレスがたまってしまうものです。

 G3000が周波数帯的に対応している「SoftBank 4G LTE(FDD-LTE)」エリアは、広がり的な意味で「WiMAX 2+」よりも高速移動に強いはずなのですが、G3000で使う限りはそうは行かないのが現状です。

 これらの問題については、今後の改善を強く願いたいところです。

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