以前、この連載でクラウドSIMを活用して世界中で使えるルーター(以下「セカイルーター」)をご紹介したことを覚えているでしょうか。
国内で購入できるセカイルーターとして、7月21日からBroadLineのモバイルWi-Fiルーター「GWiFi G3000」(以下「G3000」)が販売されています。国内法人が一般個人もターゲットとするセカイルーターを発売するのはこれが初めてです。
「世界約100カ国対応」をうたい、国内利用用のプランも用意しているGWiFi。実際の使い勝手はどうなのでしょうか。見ていこうと思います。
まずは、G3000の端末スペックをチェックします。
対応周波数(W-CDMA) | Band 1/2/4/5/8 |
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対応周波数(LTE) | B1/2/3/4/5/7/8/17/19/28A |
無線LAN(Wi-Fi) | IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz帯) |
モバイル通信速度(理論値) | 下り最大:150Mbps/上り最大:50Mbps |
バッテリー容量 | 2800mAh |
同時接続台数 | 最大5台 |
インターフェイス | Micro USB |
サイズ | 100(幅)×70(高さ)×15(奥行き)mm |
重量 | 約150g |
端末スペックだけを見ると、「よくある平均的なモバイルWi-Fiルーター」です。しかし、G3000は物理的なSIMカードを差し替えずに、接続ネットワークを変更できる「クラウドSIM」を採用し、国内・海外向けのデータプランをそれぞれ必要に応じて購入して使えることが大きな特徴です。「端末」よりも「サービス」にこそ特色があるのです。
そのサービスですが、冒頭に書いた通り世界約100カ国でデータ通信を使うことができます。海外でのデータ通信料金は国によって異なり、300MBプランが1日580〜980円、500MBプランが680〜1280円(共に税込)となっており、国内大手キャリアの提供する海外データローミング料金の一般的な上限金額である1日2980円(非課税)と比べると割安です。その上、使わない月は月額基本料金が発生しないため、おトクです。
ただし、ここでいう「1日」は日本時間が基準です。そのため、日本時間の夜遅くに利用し始めると短時間でも2日分の利用料金が発生してしまい、結果的に料金が割高となることも考えられます。海外向けのデータプランを利用する際は、日本時間を意識して利用する必要があります。
大手キャリアでも、au(KDDI・沖縄セルラー電話)の「世界データ定額」やNTTドコモの「海外1dayパケ」のように、比較的安価かつ時間計算が「利用開始時点から24時間」と分かりやすいローミングサービスが出てきました。渡航先や滞在する時間によってはGWiFiよりも大手キャリアのローミングサービスの方が安上がりというケースもあります。
「利用開始から24時間」といったより分かりやすい料金になれば、GWiFiの海外データサービスの使い勝手は間違いなく向上するでしょう。
やや辛口にいえば、「世界約100か国に対応」「海外データ通信が1日580円から」という特徴だけでは、既にある他のセカイルーターと比べて「遜色」ありません。
しかし、GWiFiには他のセカイルーターにない特色があります。日本国内でのデータ通信プランに「通信量100GB・30日間で3980円(税込)」というプランがあるのです。他の容量プランと比べると、その「おトク度」は段違いです。
このプランを初めて見た時、筆者は「大手キャリアと比べて混雑時に速度の出にくいMVNO回線が使っているのでは?」と思い込んだのですが、GWiFiではNTTドコモまたはソフトバンクの通信回線をMVNOを経由せずに利用しているそうです。
このため、MVNO回線で課題となる「平日昼」あるいは「平日夕方(帰宅ラッシュ時)」といったトラフィック増加のタイミングでの通信速度低下は今のところ発生しておらず、通信速度“は”快適です。
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