海外メーカーの携帯電話を1500台以上所有する筆者のコレクションから、過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。今回は台湾のBenQが音楽プレーヤーとしての利用を考えたスクエアデザインの端末「Z2」をご紹介します。
128×128ピクセルの正方形なディスプレイの下に十字キーを備えたBenQ Z2は、音楽プレーヤーとしての利用を第一に考えた携帯電話です。内蔵ストレージは60MBで、miniSDドで拡張も可能でした。2005年当時、既に音楽プレーヤーとしてメジャーな製品だったiPodがGBクラスのストレージを搭載していたことを考えると勝負になりませんが、高圧縮された音楽データをPCから転送して使う程度の用途なら十分だったのでしょう。
正方形のデザインは独特のUI(ユーザーインタフェース)を搭載しています。まずテンキーはディスプレイの右側に配置され、しかも2列表示。電話をかけるときは使いにくそうですが、再生する音楽を選択するなどの操作はしやすそうです。そもそも、このZ2を買うユーザーは電話よりも音楽機能を重視したでしょうから。ストラップホールもあり、Z2を首からぶら下げて使うことも可能です。
背面には1300万画素のカメラを搭載します。コンパクトな本体ながら片手でデジタルカメラのようにして握れば手軽に写真撮影ができそうです。自撮り用にカメラの横にミラーが付いているのは、当時の流行でした。そのカメラの横には、この本体にしては大きいスピーカーを搭載。ただし音楽を聴くならヘッドフォンを使った方が良いでしょう。6種類のイコライザーや3Dサラウンドに対応するなど、音楽再生機能は結構がんばっていました。
そして楽しい機能として、本体カバーの着せ替えが可能です。色違いのカバーだけではなく、デザインが異なるものも提供されていました。オリジナルの白いボディーの裏にプリクラのシールを張って自分専用にカスタマイズする、なんてこともできたのかも。持つこと、使うことが楽しくなる携帯電話だったのです。
BenQはもともとMP3プレーヤーの製造も手掛けていましたから、携帯電話にプレーヤー機能を搭載するのもお手の物だったはず。また、その経験から音楽プレーヤーとして使いやすいUIや本体形状を優先し、携帯電話には見えない大胆なデザインの採用に踏み切ったのでしょう。これほど優れたデザインの端末が一部の国でしか販売されなかったのは非常に残念です。
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