KDDIと沖縄セルラー電話は、2018年夏から「auフラットプラン25 Netflixパック」を提供する。このプランは「auフラットプラン20」をベースに、月間5GBの追加データ容量と「Netflix(ベーシックプラン)」「ビデオパス」を月額1000円でバンドル(付帯)したような組み立てとなっている。
一方、Netflixは2015年にソフトバンクと提携し、現在も継続している。
内容は異なるとはいえ、国内の2キャリアと提携することになるNetflix。今後、日本市場でどのように戦っていくのだろうか。au発表会に合わせて来日したプロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏に、報道関係者6人が話を聞いた。
―― 今の日本市場の状況をどう認識しているか。
携帯電話事業者とのパートナーシップはすごく重要なものであると思う。日本での事業展開において、KDDIとの提携はどのような意味を持つのか。
グレッグ氏 (日本の皆さんが)どのようなコンテンツを見たいのか学習して、それに見合ったものを取りそろえたことで、(ユーザー数増加という)成長を実感している。
今回の(KDDIとの)取り組みの素晴らしい点は、新規ユーザーがシンプルに(Netflixへと)アクセスできる点にある。KDDI(のプラン)とのバンドルはデータプランもセットになっているので、(プランを契約すれば)Netflixのコンテンツをすぐに見られる。
このコンビネーションは、(Netflixへと)よりアクセスしやすくなる点でよりメリットが大きい。
―― ということは、auユーザーがこのプランでNetflixに加入する場合、(Web経由で申し込める)オープンなNetflixと手続きに違いがあるのか。
グレッグ氏 Netflixとしては、通常の加入手続きもより簡単になるように取り組んでいるが、今回の取り組みではさらに効率良く迅速にNetflixサービスを開始できるようになっている。具体的には、カード情報などを入力しなくて済む。
―― 日本のNetflixには「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3プランがある。その中で、auのバンドルプランは標準でベーシックが付帯することになる。現状で3つのプランの(加入者に占める)比率はどのくらいか。
グレッグ氏 具体的な数字は出せないが、割合としてはおおむね均等になっている。ユーザーがニーズに応じて選んでいるのだと思う。
T-Mobile USのバンドルプラン(後述)と同様に、auのバンドルプランもベーシックプランを標準で付けて、必要に応じて追加料金でスタンダードやプレミアムも契約できる形を取った。現状と同様に、ニーズに応じて(Netflixプランの選択は)ばらけていくのではないかと考えている。
―― Netflixは、米国でT-Mobile USとバンドルプランを提供している(参考リンク)。海外でキャリアと組んで成功した事例があれば教えてほしい。
グレッグ氏 通信事業者と提携してバンドルプランを提供する取り組みは、米国外では今回が初めてとなる。(バンドルプランは)素晴らしい取り組みだと今後は、世界中で取り組んでいきたいと考えている。
―― T-Mobile USとの連携で学んだことは。
グレッグ氏 いろいろな提携を通して、さまざまな事を学んでいる。
特に、ユーザーにとって「より楽な形(契約形態)とはどういうものなのか?」ということを学べたことは大きい。これを実現できれば、Netflixのユーザー数は増え、作品に触れる機会も多くなる。このことを、T-Mobile USとの提携で改めて実感した。
一方で、私たちは通信事業者をパートナーとして支えることも学んだ。T-Mobile USは他の通信事業者との差別化において「Un-carrier(従来の通信事業者の枠を超えること)」を掲げている(参考リンク)。そのパートナーとして私たちが参加することで、Un-carrierのスタンスを(より強固に)示すことができる。
(バンドルプランによって)Netflix会員とパートナー(提携企業)の両方をサポートできている、ということになる。
―― T-Mobile USのバンドルプランは、データ容量が実質無制限となっている。ここで聞くことではないかもしれないが、Netflixも含めて「タダ」にしてもやっていけるのはなぜなのか。
(筆者注:T-Mobile USのバンドルプラン「T-Mobile One」では、月間50GBまで“優先的に”高速データ通信ができる。これを超過すると混雑時に速度が落ちるものの、そうでなければ高速データ通信を行える)
グレッグ氏 通信事業者やISP(ネットプロバイダー)には核となるサービスがある中で、それに付加価値を与えるべく新たなサービスを提供することで、競合他社との競争を戦うと同時に、より高額なプランに興味を持ってもらえるように考えていると思う。
新サービスを始めるにはコストもかかるが、技術は日々進歩していて、より多くのデータ通信量をより安価に提供できるようになってきている。(それを生かして)T-Mobile USは「大容量を低価格で」ということをてこに、Netflixを含む付帯サービスを合わせて提供している。最終的なコストは(他社と)大差ないのではないかとも思う。
私たちの想像する未来は、「何かが当たり前」になる世界。例えば昔はEメールが送受信できるだけでも、携帯電話の「付加価値」となった。ユーザーに提供する付加価値はどんどん増えていき、それが生活に溶け込んでいく――そういう未来が待っている。
今後は、モバイル通信のプランに動画サービスが含まれている、ということも当たり前になるのだと思う。
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