―― Netflixとして、容量を心配せずに見られるデータ容量はどのくらいと考えているか。
グレッグ氏 本当であれば(T-Mobile USのプランのような)「無制限」が理想ではある。
今回のauのプランで設定した「25GB」については、現時点におけるベストな容量だと思う。これなら、標準的な画質で約100時間見られる。
―― ネット上で「25GBでは容量が(全然)足りない」という声が挙がっている。動画のコーデック(圧縮技術)面を中心に、もう少し詳しく話しておいた方が良いのではないか。
グレッグ氏 動画配信には3つの「てこ」がある。まず4K、HDR、高画質・高品質といった「技術」、適切かつより少ないビットレート(1秒あたりのデータ量)で動画を配信する「コーデックの効率性」、そして「データプラン」というてこだ。
最近では技術面で新しい動画フォーマットへの対応に力をいれているが、それと並んでコーデック効率の改善にもかなり注力している。特にアニメでは、150kbpsのビットレートで満足の行くSD(標準解像度)画質の動画を配信できるようになった。
auのプランを作るに当たって「どれくらいの月間容量が適切か?」という検討をする際に、(SD動画の平均ビットレートである)450kbpsで配信すると想定し、月間100時間(1日平均3時間程度)の動画を容量を気にせず楽しめるという観点から「25GB」を設定した。
もしもこれで足りないようであれば、(KDDIと相談して)より大きな容量のプランも検討したいと思う。
―― 「SD画質で150kbps」という話もあったが、モバイル通信経由で見ている人たちはどれくらいのビットレートで動画見ているのか。
グレッグ氏 モバイルネットワークの質にもよるが、日本のようにしっかりとしたインフラが整っていれば、余裕をもって数百kbpsで配信できる。インフラが整ってない国では、ビットレートは少し落ちてしまうと思う。
先ほど450kbpsで計算したと話をしたが、大抵のユーザーにとってはこれだけのビットレートが出れば(モバイルストリーミングとしては)十分であると考える。
―― スマホで「4K」や「HDR(高ダイナミックレンジ)」への対応が進んでいる。御社としてそこを狙ったプロモーション、あるいは端末メーカーと連携した取り組みをする予定はあるか。
グレッグ氏 最高のコンテンツを、最高の画質・音質、最適なフォーマットでユーザーに届けるのが私たちの仕事。
さまざまな形の視聴デバイスに向けたライブラリー(作品群)を作り、最高の作品を作ることを、ユーザーとパートナーの双方に約束している。
―― テレビではチャンネルを回して、これというものがなければ「Netflixを見よう」ということになると思うが、モバイルだと「アプリを起動する」といった(テレビにはない)壁がいくつかあると思う。また、Netflixは魅力的なコンテンツがたくさんあるものの、初めてに触れる人にとっては(自分に合う)コンテンツを探すのが大変だと思う。
アプリを起動させる動機付けや、コンテンツを選びやすくする工夫をどのようにしていくのか。
グレッグ氏 2つの事柄(アプリの起動とコンテンツ探し)に対しては、ある意味で同じ答えを見いだせると思っている。
「壁」をなるべく低くする努力はしていて、アプリはなるべくすばやく起動できるように取り組んでいる。起動後の時間も、その多少に関わらず、次に見る、あるいは見たいと思えるような体験の提供につなげたい。
―― 4月にiOS版のモバイルアプリが刷新されて、コンテンツのプレビューを見られるようになった。
この機能は先ほどの話にあった「アプリを立ち上げたい」「立ち上げた後に楽しみたい」というモチベーションにつながると思うのだが、ユーザーの動向に影響はあったか。
グレッグ氏 プレビュー機能は、テストフェーズでポジティブな反応があったので本採用に至った。
ご質問にあった通り、この機能はアプリを起動するモチベーションにつながり、そこから先の(動画を見ようという)楽しい体験につながると考えている。
例えば映画を見に行くときも、オンラインで予告編を見てからというケースもある。プレビュー機能は、そのような機能をアプリに盛り込もうという観点から始まった取り組みでもある。「時間あるから何を見ようか?」という時の選択にも役立つと考えている。
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