インタビュー
» 2018年06月29日 18時30分 公開

日本のRCSは「世界最先端」――GSMA事務局長に聞く日本と世界の携帯電話市場(3/4 ページ)

[井上翔,ITmedia]

日本は「興味深い」通信環境を持つ 生かすも殺すも「総務省」次第?

―― 先ほど「できる限り頻繁に来日したい」という話をしていました。グランリドさんから見て、日本の通信環境は海外と比べていかがでしょうか。

グランリド氏 日本は通信環境の面でチャレンジングな国だと思っています。

 デジタル環境を整備するには、それにかなった法環境も整備しなくてはなりません。それがあって初めて、イノベーションが生まれ、投資も行われます。2020年までの予測値ですが、5G関連の投資は全世界で5000億ドル(約55兆円)に達すると言われています。その観点では、規制当局が目的に見合った法規制をしていかなくてはなりません。

 日本は非常にスキルの高いキャリアが3社いて、日々しのぎを削っています。そこに4社目として楽天モバイルネットワークが入ってくるということで、非常に興味深い状況だと思います。

 いずれにしても、(通信環境の充実は)規制当局の対応次第だと思っています。

―― 日本における規制当局である総務省に対して、何か注文があればぜひお聞かせください。

グランリド氏 (通信分野において)スキルフルな人材がそろっている総務省に意見を申し上げるのは出過ぎたことではあります。

 それでも申し上げるのであれば、例えばIoT(モノのインターネット)時代においてはいろいろなデバイスが通信を介してつながるようになるので、それに対する優遇税制を設ける必要があると考えています。

 約20年前、ドコモの「iモード」端末のiモードボタンを見て、私は世界の通信業界が大きく変わると確信しました。日本は、アウトオブボックスな(独創性のある)ものを製品に落とし込んで世に送り出してきた国です。

 日本がまた新たな革新を起こすことを期待しています。

グランリド氏 筆者の質問に答えるグランリド事務局長

端末市場は「運」次第?

―― 端末や通信機器(インフラ)の市場動向を見ていると、日本は世界的な波から遅れているような気もします。その点についてはどう感じますか。

グランリド氏 「遅れている」とはどのような意味でしょうか。

―― 事業撤退や事業統合などで日本の端末メーカーが減少し、インフラも中国メーカーの成長が著しく、通信における日本の存在感が薄れているような気がしていて。

グランリド氏 先ほども言いましたが、日本のキャリアは技術面で世界の最先端を行っています。

 私は海外でもいろいろな所に出向きますが、「日本のキャリアさんと良い関係を築いてます」という旨の話を良く聞きます。少なくともキャリアという面では日本の存在感が薄れていることはありません。

 一方で、端末メーカー、日本ならシャープ、京セラや富士通(コネクテッドテクノロジーズ)がそれに当たりますが、キャリアとは「異なる」業界にあります。インフラメーカーは事業統合など8〜9社あったものが4社、あるいは3.5社に集約が進んでいますが、今後端末メーカーも同じようなことになる(さらなる集約が進む)かもしれません。

 技術革新に向けた投資ができるかどうかという規模の問題や、(事業を展開する国・地域の)規制当局の状況も関係してきます。トレンドにあった端末をタイムリーに出せるかどうかは「運」次第の面もあるのです。

 例えばソニーモバイルコミュニケーションズの製品(Xperia)は素晴らしい製品で、私の生まれたスウェーデンでは高いシェアを持っています。日本の端末は(海外でも)よくやっている面もあると思います(筆者注:ソニーモバイルコミュニケーションズは以前、エリクソンとの合弁企業「ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ」だった)。

 ただ、端末市場を取り巻く環境は変わってきています。ハンドセット(スマホなど)に加えてIoTデバイスも現れて、生活の全ての側面を通信でつなげる動きが出てきています。そうなるとIoTの面での存在感も必要です。データの分析も重要な要素になります。

 IoTデバイス、ハンドセットからデータの流れまでをつないでいく技術の重要性が増していくでしょう。

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