インタビュー
» 2018年06月29日 18時30分 公開

日本のRCSは「世界最先端」――GSMA事務局長に聞く日本と世界の携帯電話市場(4/4 ページ)

[井上翔,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

ZTE問題は「2つ」に分けて考えるべき

―― 少し話は変わりますが、米商務省が中国ZTEに対して制裁を科しました。この点について率直にどう思われますか(筆者注:インタビューは制裁解除への合意がなされる前に行った)。

グランリド氏 この問題は2つに分けて考えないといけません。

 まず、ZTEが米国の(北朝鮮やイランへの)禁輸措置に違反したことに対する懲罰は、元々の合意に違反したのですから当然です。

 ただし、ZTEは端末で3〜4%ほどの世界シェアを持っていますが、インフラ事業になるとそれが13〜14%に達します。私としては、今回の制裁によるインフラ面での影響に懸念を持っています。

 キャリアは通信インフラを運用し続けなくてはいけません。そのためには(故障した際に備えて)スペアパーツを用意しなくてはなりませんし、(不具合があった際に)ソフトウェアの更新も必要ですし、場合によっては(ZTEと)保守サービスを契約しているかもしれません。これらを何らかの形で継続できる方策を決めておかないと、通信が止まってしまう可能性があります。これは良くないことです。

 先ほどのインフラの話で「3.5社」と示しましたが、半端な「0.5社」がZTEのことを示していたのです。ここは米中で何とか合意点を見いだす必要があるとあると思いますし、GSMAとしても米商務省に「これだけの影響(問題)が生じる」と示しつつ、問題解決に向けた働きかけをしている所です。

 インフラの世界シェアでは13〜14%ですが、アフリカではZTEが(インフラ面で)圧倒的なシェアを持っている国もいくつかあります。米商務省には、世界的な影響の大きさを良く分かっていただきたいと思います。

ZTEの声明 4月16日(米国東部夏時間)に米商務省から受けた制裁措置を受けてZTEが出した声明文。6月7日(同)に解除への同意が示されたが、米国議会で制裁措置を検討する動きがあるなど予断を許さない状況は続いている

5Gは最後の「ジェネレーション」になるかもしれない

―― モバイル通信において、第2世代(2G)は「GSM」「cdmaOne」や「PDC」、第3世代は「W-CDMA」や「CDMA2000」、第4世代(4G)は「LTE-Advanced」といった具合に規格名が付いていたと思います。

 5Gは「5G」のまま(規格名を別途定めずに)サービスインするのでしょうか。

グランリド氏 「LTE」では、3Gと4Gの“橋渡し”をするという目的と、LTEは3Gまでバラバラだった通信規格を統一するという目的から、「長期間の革新」を意味する「Long Term Evolution」と(規格名を)名付けました。

 5Gは「ジェネレーション(G)」を使う最後(の通信規格)になると思っています。今後は「6G(第6世代)」とか「7G(第7世代)」とかではなく、5Gを進化し続ける方向になるのではないかと。

 日本の人が5Gに素晴らしくカッコ良いニックネームを付けるのであれば、それはそれで良いですが、私個人としては「5G」で良いと思っています。

 5Gにおいて重要なのは、卓越したサービスや、先ほど話したRCS、IoT、インテリジェントコネクティビティといったキラーテクノロジー的なものと組み合わせて(通信面での)真価を発揮することだと思う。

―― 無線技術における画期的な進歩がない限り、5Gから「G」が進むことはないということですか。

グランリド氏 私は、新しい「G」が出てくることに対する“熱狂”はもう要らないのではないかと思っています。

 消費者にとっては、世代をアップグレードすることよりも、高い品質のサービスをどうやったら得られるかということの方が重要です。例えば+メッセージが「4G」なのか「5G」なのかは、快適にサービスを使えている限りは関係ありません。

 そのような観点に立つと、5Gはキャリアにとって大きなチャンスです。4Gはプラットフォームエコノミーを実現しましたが、5Gは社会をさらに改善する技術になると思います。

2Gや3Gの「終わり」はいつ?

―― LTEが普及した地域でも、未だに2G(GSM)や3G(W-CDMAやCDMA2000)が残っていることがあります。2Gや3Gはいつ「なくなる」のでしょうか。

グランリド氏 現状を見ると、世界の多くの国では「2G」「3G」「4G」が併存しています。ここにこれから「5G」が入るわけですが、4つの技術(通信規格)を並行して持続させることはさすがに困難です。

 この先の対応はキャリアに次第になります。例えばあるキャリアでは、2Gを停波して「3G・4G」に絞りました。一方で、あえて3Gを停波して「2G・4G」としたキャリアもあります。

 データ通信を考えると3GはLTEよりもコストがかかります。またGSMは古い規格ということもあり電波の利用効率が良くありません。それでも主にM2M(機械間通信)モジュールを世代移行するコストとの兼ね合いを考えて、あるキャリアはGSMを廃止して3Gを残し、また別のキャリアは3Gを廃止して2Gを残す、という判断をしているのです。

 どの規格を優先するかはキャリアの環境次第ですが、何らかの形で規格の集約は進むと思います。


 GSMAは、RCSと5Gの普及に注力している。その観点からすると、大手キャリアを始めとする日本企業との連携は非常に重要なものであるようだ。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう