AQUOS R2では、静止画用のカメラに切り替えて動画を撮ることもできる。これは至近距離からピントを合わせて動画を撮りたいというニーズに応えたため。一方、動画用カメラに切り替えて静止画を撮ることはできない。超ワイドな静止画を撮りたいというニーズもあるかと思うが、「操作が複雑になる」(小林氏)という理由で見送った。
「映像の安定感を求めたので、遠景も近景もピントを合わせるのは光学的には不可能です。近いところで動画を撮っているときは、被写体は大きく動かないので、AFを使った方がいいだろうと考え、そこだけ標準カメラを使えるようにしました。(静止画撮影でも)固定焦点とAFを切り替えられるのが理想ですが、被写体をどう認識して、被写体との測距を考えながら切り替える必要があります。将来的にはそういうことをやりたいですね」(小野氏)
動画を撮る際に気になるのが「ゴォ〜」という風切り音。AQUOS R2ではこの風切り音を低減する仕組みも入れている。具体的には、風切り音の周波数帯域を検知し、パラメーターの成分を低減させているという。男性の低い声が、風切り音の周波数帯とかぶるところがあるため、男性の声を消すことがないようバランスを見ているという。また、風切り音が全くない映像は逆に臨場感がないので、ある程度音を残して、声も聞こえるようにしている。
静止画撮影では、シャープの画像処理エンジン「ProPix」を採用している。フィーチャーフォンではおなじみだったが、AQUOS R2で久々の復活となった。特に効果的なのが、暗所でのノイズ低減だという。「AQUOS Rでは暗いシーンが弱かったので、そこを改善させました」(小林氏)
新たに「AIオート」にも対応し、人、犬、猫、料理、花、夕景、花火、QRコード、白板という9つの被写体を自動で検知して撮影してくれる。ただ、シャープは以前から「オート」という撮影モードを搭載していたが、これとは何が違うのか。小林氏は「被写体に応じた調整ができること」だと言う。これまで、暗いものは全て夜景と見なすなど、色成分から判定していたが、AIオートでは被写体を見ているので、夜景と花火を個別に認識する。ちなみにAIオートが作動しない場合(画面に各被写体のアイコンが出ない場合)は、通常のオートと同じモードになり、全ての被写体をAIで認識できるわけではない。
「料理」は従来のオートでもAIオートでも認識できるが、何が違うのか。小野氏によると、これまで料理を撮ると、周囲の光源に引きずられてしまい、おいしそうに見えないことがあったそうだが、AQUOS R2では光源に関係なく、お皿は白く、料理はシズル感があっておいしそうに見えるよう画質を調整するとのこと。被写体を認識して自然に写せるのはAIならではといえる。
後編ではディスプレイやパフォーマンスの秘密を聞きます。
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