世界的な「デュアルカメラ化」の潮流に乗り遅れていた日本のスマートフォンたちであるが、とうとうシャープがそのブームに乗っかった。「AQUOS R2」である。
じゃあ、どうデュアル化するのか。2つのカメラの役割をどうするのか。
いやあ、まさかこの手でくるのか、って感じですよ。
メインカメラは従来通りの「単眼(一眼)カメラ」。もう1つは「動画専用カメラ」なのである。
シャープが目を付けたのは“動画”。
日常を動画で記録しシェアするには、臨場感のある広角カメラが向いている。「GoPro」を代表とするアクションカメラは、多少周辺がゆがんでも「固定フォーカスかつ超広角で広範囲を撮影」するのが普通だが、AQUOS R2のカメラも狙いはおおむね同じ。
超広角で動画を撮り、高画素のカメラで静止画を撮る――そんな使い分けだ。
で、それだけだと「単に動画用の広角カメラを積みました」となるだけなのだが、それで終わりってわけじゃない。だってシャープだし。
ここに「AI(人工知能)」が絡んでくるのである。
具体的に何をやっているのかは良く分からないのだが(何しろAIだし)、動画時に「ワイドカメラでの動画」を選択し、「AIライブシャッター」をオンにすると自動的に写真を撮ってくれるのだ。
もう1つ、標準カメラでの静止画撮影時にも「AIオート」モードが付いた。
「デュアルカメラ」と「AI」という2つのトレンドをシャープらしくキャッチアップしたスマホが、AQUOS R2なのである。
このデュアルカメラを生かす機能が、「AIライブシャッター」。
カメラを動画モードにする。このとき、左端のアイコンが「WIDE」と「AI」になっていること。これが大事。
この状態で動画を撮ると、広角カメラで動画を記録しつつ、その様子をAIがリアルタイムにチェック。「ここだ!」っていうところで静止画も撮ってくれる。
このためのデュアルカメラだったのだ。
動画撮影中に静止画を撮れること自体は珍しくない。
今までのスマホのそれは「シャッターボタンを押した所が静止画として記録される」というもの。例えばフルHDで撮ってたら「1920×1080ピクセル(200万画素相当)」静止画が記録されるのだ。
しかしAQUOS R2は違う。全然違う。
広角カメラで動画を撮りつつ、「ここぞ」というときに“2000万画素の静止画用カメラ”で写真を撮るのだ。
撮影中の画面はこんな感じ。
途中でAIが自動的にシャッターを切ると、それが画面上部にサムネイルで表示される。赤い矢印で示した所。白いシャッターボタンをタップすると、自分で撮ることもできる。
そして録画中にAIが勝手に撮った写真がこちらだ。
基本的にメインの被写体がいて、それが動くタイミング見ているようで、人じゃなくても反応してくれた。例えば猫とか。
室内だが、ISO感度を上げて動きがブレないよう撮ってくれた。
先ほどの動画はデフォルトサイズ(18:9の画面に合わせて1920×960ピクセル)で撮ってしまったが、設定を変えればフルHDや4K(3840×2160ピクセル)でも撮れる。
動画カメラで撮影した動画は、メインカメラで撮ったものよりもクオリティ的には劣る。その代わり、超広角で固定フォーカスなので、その場の雰囲気を記録するのにちょうど良い。
無理に4Kで撮るよりはフルHDの方が向いているかな、という気はする。画質を優先するなら、メインカメラで動画を撮った方が良い。
ちなみに撮影済みの動画から一部を切り出したり一瞬を静止画として切り出したりできる「あとからキャプチャ」機能もある。この機能で切り出した静止画は「動画の中の1コマ」を静止画として切り出すだけなので、画質的には「AIライブシャッター」とは別モノと思ってください。
解像度も動画と同じになるので、あとからキャプチャを多用したい人は最初から4Kで撮るべきかも。
さて動画撮影時は「手ブレ補正」や「レンズ補正」のオン・オフを切り替えられる。手ブレ補正をオンにすると動きながら撮ってもブレないが、オフにするとより広角になる。レンズ補正はオフだと周辺部がちょっと丸くゆがむ。オンだと周辺部もまっすぐに補正される。
広角感を優先するなら、両方オフでも良い。ちなみに上の動画は手ブレ補正は「オン」、レンズ補正は「オフ」で撮影している。
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