海外メーカーの携帯電話を1500台以上所有する筆者のコレクションから、過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。今回は「コンデジケータイ」と呼びたくなるデザインが特徴の、Samsung Electronics製「SPH-S2300」をご紹介します。
Samsungがグローバルの携帯電話市場で頭角を現したのは2003年ごろですが、韓国国内では実験的な端末を数多く輩出していました。このころは携帯電話のカメラ画素数が年々上がっており、日本のデジカメや携帯電話のメーカーが画質競争を始めたころでもありました。そんな中で2004年にSamsungが韓国市場に投入した「SPH-S2300」は、高画質なカメラを内蔵した携帯電話です。しかしその外観は携帯電話というよりもコンパクトデジカメそのものでした。
ストレート形状の携帯電話の背面には沈胴式の光学3倍ズームレンズを内蔵しています。カメラを起動するとレンズカバーが開き、レンズがモーターで前にせり出す様は、デジカメと同じ機構。そして本体の左側面(デジカメスタイルにしたときは上部)にはシャッターキーやズームキーが並びます。操作性はデジカメとほとんど変わらず、バッテリーカバーを兼ねたグリップ部分が程よいホールド感を与えてくれます。
なお、筆者所有のものは古い製品のため電源が入らず、今回はその特徴である沈胴式レンズを伸ばすことはできませんでした。
携帯電話側を見てみると、実測約2型のディスプレイの下には十字キーを中心としたショートカットキーが並びます。メニュー、音楽再生、ごみ箱、発着信など、必要最小限のキーが並んでいるのです。そしてこのキーをスライドさせるとテンキーが現れますが、その並びは携帯電話で一般的なものではなく、2段配置となっています。電話をかけるときや文字入力を行うときはかなり使いにくかったでしょう。
とはいえ、SPH-S2300はカメラ機能が売りで、デジカメの代わりに高画質なカメラを使いたいユーザーをターゲットにしていました。メッセージを多用するユーザーは他の製品を選べばよかったのです。カメラモジュールはペンタックス製で、320万画素、5.8mm〜17.4mmというスペックはペンタックスのデジカメに搭載されたものと同じだったようです。
価格は当時でも7万円程度とかなり高価でしたが、ISO感度やホワイトバランスの主導設定もできるなど、カメラ機能はデジカメと変わらないものでした。ただしディスプレイの反応や発色はいまひとつで、ダイヤルで各種操作のできるデジカメの方が使い勝手は高かったでしょう。とはいえこの製品以降、Samsungは次々と高画質カメラ端末を送り出していきますから、市場動向を探る実験機としては成功したのでしょう。
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