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» 2018年11月06日 19時30分 公開

“予備の予備”大ゾーン基地局を初運用――ドコモが災害対策の近況を報告 (2/3)

[井上翔,ITmedia]

「複合災害」に災害対策は役に立ったのか?

 ドコモでは、ほぼ同時期に発生したことから台風21号と北海道胆振東部地震を「複合災害」と見なしている。

 台風21号では関西エリアや東海エリアの広い範囲で、北海道胆振東部地震では北海道全域で停電が発生。基地局を始めとする設備にも被害が発生した。

 サービスを停止した基地局は最大で2800局に上り、2500人体制(延べ人数)で復旧対応を実施。その結果、台風21号ではサービス中断発生から約10日で「復旧報」、北海道胆振東部地震ではサービス中断は発生から約5日で「暫定復旧報」、約20日で「復旧報」を発出した。

復旧までの日数 台風21号と北海道胆振東部地震の復旧状況

 北海道胆振東部地震では、地震発生から約6時間後にある程度のエリアが復旧している。これは、障害の発生した基地局のエリアを、周辺の基地局である程度カバーできたためだ。

地震から6時間後 地震から6時間後の復旧状況。一部を除きおおむねサービスを提供

 しかし、基地局の予備電源には限りがある。そこでドコモは停電の長期化が予想された北海道釧路市において“予備の予備”である大ゾーン基地局を初運用した。

 釧路市の大ゾーン基地局は半径約7kmをカバーできるスペックを持つが、「正常に稼働していた基地局の状況を加味して」(小林室長)半径3kmに絞ってカバーした。半径3km以内にも正常稼働できる基地局は一部あったが、「電波干渉による品質低下を避けるため、あえてシャットダウン(停止)」(同)して、大ゾーン基地局によるエリア化を行った。

 台風21号の際にも、和歌山県で停電の長期化を見越した大ゾーン基地局の運用が検討されたが、停電からの復旧が予想より早く進んだことと、通信品質(周辺基地局)への影響を鑑みて運用を見送ったという。

 その反省を踏まえ、北海道胆振東部地震では札幌市、旭川市と釧路市の大ゾーン基地局の運用を早期に検討した。札幌市では運用できる基地局でエリアカバーできること、旭川市では電力復旧が早く進みそうだったことから運用を見送ったとのことだ。

初運用の大ゾーン基地局 釧路市では大ゾーン基地局が稼働。約1日にわたり半径3kmのエリアをカバーした

 今回の地震で「イレギュラー」(小林室長)だったのは、被害の少ない場所も含めて北海道のほぼ全域がブラックアウト(広域停電)してしまったことだ。建物に物的被害がなくても、停電復旧までに長くて数日かかっている。

 ドコモでは災害時対応として自社ビルやドコモショップで無料充電サービスを実施したが、最長で3時間程度の待ち時間が発生し、「1人20分まで」という時間制限を設けざるを得なかったという。訪日旅行客に対する支援の一環で、ドコモにローミングインしている海外キャリアの携帯電話に対して支援SMSを一斉配信する取り組みも行ったという。

充電サービス0000JAPANとSMS ブラックアウトの影響で、充電サービスは長蛇の列(写真=左)。公衆Wi-Fiの無料開放に加えて、訪日旅行客向けの対応も初実施(写真=右)

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