いまだ販売ランキング1位 「iPhone 8」がXSやXRよりも売れている理由(1/2 ページ)

» 2018年11月28日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 「iPhone 8」がいまだに売れている。

 ITmedia Mobileでも掲載しているGfK Japanの販売ランキングでは、2018年11月時点でドコモ、au、ソフトバンクの「iPhone 8(64GB)」が、いまだにトップ3を独占している。iPhone 8は、2017年9月に発売されたモデル。1年後の2018年9月には新モデルの「iPhone XS」、同年10月には「iPhone XR」が発売されたにもかかわらず、GfKのランキングでは一度もXSやXRにトップの座を明け渡していない。

 近年、iPhoneは新モデルが発売される度にトップをとり続けてきたが、2018年はその傾向が崩れている。なぜ、1年以上前の旧機種が、ここまで売れ続けているのか。※記事内の価格は全て税込。

iPhone 8 「iPhone 8」(左)と「iPhone 8 Plus」(右)

キャリア価格も安く、キャッシュバックを行う店舗も

 まず明確な理由として挙げたいのが「価格」だ。3キャリアのオンラインショップでiPhone 8(64GB)の価格を見ると、一括は8万円台〜9万円台だが、月々サポート、毎月割、月月割といった毎月の割引を24回適用すると、実質価格は1万円台〜2万円台にまで下がる。

 またドコモの場合、MNPでiPhone 8を購入すると「端末購入サポート」として7万8408円が適用され、一括価格が1万368円にまで割り引かれる。端末購入サポート適用でiPhone 8を購入後、12カ月以内に機種変更や解約をすると3万9204円の解除料がかかるが、割引をフルに受けるには24カ月間使わないといけない月々サポートよりも、拘束期間が12カ月短いのはメリットだ。

 iPhone XS(64GB)の実質価格は5万円台〜6万円台で、iPhone 8よりも4万円〜5万円高い。iPhone XR(64GB)の実質価格は2万円台〜3万円台なのでXSほどではないが、8よりは高い。

iPhone 8 オンラインショップでの一括価格
iPhone 8 オンラインショップでの割引額(月々サポート、毎月割、月月割)
iPhone 8 オンラインショップでの実質価格

 もう1つ大きいと思われるのが、ショップが個別に実施している多額のキャッシュバックだ。キャリアショップの前を通り過ぎると、「iPhone 8、8 Plusに他社から乗り換えで●万円キャッシュバック」という告知を見たことがないだろうか。今は少し落ち着いた感もあるが、特に2018年9月〜10月に多く見かけた。

 筆者は10月に「7万円キャッシュバック」という告知を見たが、7万円が還元されるなら、MNPの月月割24回分に相当する額が、1回で割り引かれるというわけだ。その是非はさておき、ここまで安ければ、いくら新機種が発売されたからといえiPhone 8を選ぶ人が多いのもうなずける。ネットで「iPhone 8 キャッシュバック」「iPhone 8 MNP」などと検索すると、ショップが投稿している各種施策の告知が多数ヒットする。

【訂正:2018年11月29日14時36分 初出時に「7万円が還元されるなら、月々サポートなどの割引も合わせれば、実質価格は0円を下回る」と記述していましたが、確認した店舗ではキャッシュバックは2年契約が条件で月月割が受けられないため、「7万円が還元されるなら、MNPの月月割24回分に相当する額が、1回で割り引かれる」に訂正しました。】

iPhone 8 街中で見かけたiPhone 8/8 Plusキャッシュバックの告知。「7万円」を「7.0万円」とあえて表示しているところにスゴ味を感じる

安いだけでなく完成度も高い

 iPhone 8が「スペックの低い、単なる型落ちモデル」だったら、ここまで長くは売れないだろう。ショップが多額のインセンティブを積んでまで売りたいのは、iPhone 8の製品自体の魅力がいまだ色あせないと判断したからではないだろうか。「そろそろiPhoneにしたい」「新しいスマホを買いたい」「iPhone 5〜6から新iPhoneに変更したい」というユーザーに対して、iPhone 8はお勧めしやすい。

 まず大きいのがホームボタンの存在。これを押せばいつでもホーム画面に戻れるという安心感があるし、Androidから乗り換える人もなじみやすいだろう。Androidでも物理キーとしてホームボタンを備える機種は減っているが、画面下部のナビゲーションバーにはホームに戻れるショートカットが用意されている。そしてホームボタンには指紋センサーとして「Touch ID」も搭載されているが、iPhone X以降は、これが顔認証の「Face ID」に置き換わっている。Face IDはマスクを着けた状態だと認証できないなどのデメリットもあり、Touch IDを好む人も多いだろう。

 iPhone 8の幅は67.3mm、画面サイズは4.7型で、現行スマホの中では「小型」の部類に入る。「iPhone SE」ほどの小ささではないが、大きすぎず、小さすぎない絶妙なサイズ感ともいえ、片手で操作をしたい人からも好まれそうだ。

 スペックも決して低くない。ディスプレイの解像度は1334×750ピクセルで、326ppiという画素密度はiPhone XRと同じだ。アウトカメラはシングルレンズだが、F値はXSやXRと同じ1.8で、光学式手ブレ補正にも対応。一方、人物の背景をぼかす「ポートレートモード」や、望遠カメラを使った画質劣化を抑えたズームは使えない。インカメラは奥行きを読み取れる「TrueDepth」カメラではないが、XSやXRと同じ700万画素。光学2倍相当のズームや背景ボカシが要らなければ、iPhone 8のカメラでも大きな不満はなさそうだ(参考:荻窪圭氏のレビュー記事)。

 他に、iPhone 8はApple Payや防水・防塵(じん)、ワイヤレス充電に対応し、ステレオスピーカーも備える。プロセッサはXSやXRの「A12 Bionic」よりも1世代前の「A11 Bionic」だが、これは「iPhone X」も搭載している。よほど高い負荷のかかる動作をしなければ、体感で差を感じることは少ないだろう。iPhone 8は(現時点で)ホームボタンを搭載した最後のiPhoneということもあり、完成度の高さは折り紙付きだ(参考:石野純也氏のレビュー)。

 キャッシュバックが横行しているのは何ともいびつな状況ではあるが、「安くて品質がいいものが売れる」のは当たり前。ただ、総務省は販売代理店を届出制とし、過度な端末購入補助等について業務改善命令を出せるよう要請している。店舗独自施策によるキャッシュバックという荒技は今後規制されそうだが、それまではiPhone 8の天下が続きそうだ。

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