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» 2019年01月19日 06時00分 公開

石野純也のMobile Eye:3キャリアが「解約金なし」期間を3カ月に その背景と業界に与える影響は? (1/3)

ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、いわゆる“2年縛り”で解約金の必要なく解約できる期間を、従来の2カ月から3カ月に変更する。なぜ各社がそろって2年縛りの無料解除期間を2カ月から3カ月に延長したのか。背景には、総務省の方針がある。

[石野純也,ITmedia]

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、いわゆる“2年縛り”で解約金の必要なく解約できる期間を、従来の2カ月から3カ月に変更する。3社とも内容はほぼ同じで、2019年3月に契約満了を迎えるユーザーから対象になる。これまでは、2年経過後の1カ月目と2カ月目が無料で解約できたが、これを1カ月前に拡大。24カ月目も無料の対象になる。

 解約だけでなく、ドコモは「フリーコース」への変更も可能。フリーコースを選択すると、契約自体は続くが、2年契約をする必要がなくなり、いつでも無料で解約できる。ただし、「ずっとドコモ割コース」で受けられる、契約年数に応じた割引やdポイントはなくなる。

2年縛り ドコモは、2年契約の最終月にあたる24カ月目も、無料解約やフリーコースへの変更を可能にする(プレスリリースから引用)

 au、ソフトバンクにはずっとドコモ割に相当する仕組みはないが、両社には自動更新がない2年契約が用意されており、こちらを選ぶと、自動更新ありの場合と比べて、基本料の割引が300円低くなる。逆に言えば、料金が300円高くなるということだ。3社とも、無料期間以外で解約すると“違約金”とも呼ばれる「解除料」が9500円(税別)かかる。2年縛りと呼ばれるのはそのためだ。

2年縛り
2年縛り au(上)、ソフトバンク(下)も、24カ月目での無料解約可能にする(いずれもプレスリリースから引用)

2年契約の無料解除期間が徐々に延びている理由

 では、なぜ各社がそろって2年縛りの無料解除期間を2カ月から3カ月に延長したのか。背景には、総務省の方針がある。総務省の有識者会議では、2年契約そのものについてや、違約金のかからない期間と端末の割賦が終わる期間にずれが生じていること、2年契約のないプランとあるプランの料金差が適正なのかといったことが、たびたび疑問視されてきた。

2年縛り 2017年12月から開催されていた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の様子。ここで議論、無料解約可能な期間の延長につながった

 実際、こうした指摘を受け、2016年にはそれまで1カ月だった無料解約可能な期間を2カ月に延長。同時に、2年契約の終了をメールやSMSでお知らせする仕組みも導入している。また同年には、ドコモが上記のフリーコースとずっとドコモ割コースを選択制にして、最初の2年契約が終了した時点で、縛りをなくせるような緩和措置が取られている。形は異なるが、KDDIやソフトバンクの自動更新なしのコースも、同様の理由で生まれた。

2年縛り ドコモは、2016年にフリーコースとずっとドコモ割コースを新設。この年には、無料解約可能な月が2カ月に延びた

 過去に2年契約が問題視されてきた際には、「消費者保護」と「競争の促進」という2つの観点があった。前者はシンプルで、うっかり契約を忘れてしまったときに契約解除料がかかるのはけしからんということだ。後者は、2年契約が新規参入組にユーザーが移行する際のハードルになっているという視点だ。こうした声は、有識者会議で意見を述べたMVNOから挙がることもあった。実際、大手3キャリアとも2年契約導入後の解約率は低水準で推移している。

 ただし、定期契約を結んでそのぶん料金を下げるというビジネスモデルは、他の業界でも存在するため、有識者会議でも意見が分かれることが多かった。有識者会議を傍聴したり、結果として取りまとめられた文章を読んだりする限り、総務省も2年契約そのものの廃止には消極的だった印象がある。各社が2カ月、3カ月と徐々に無料期間を延ばしている背景には、こうした事情がある。

 無料解除可能な期間の延長は、2018年、ドコモの吉澤和弘社長が8月の決算説明会で、「総務省には、24カ月目を(解約無料期間にすることを)検討しますと(6月末に)申し上げた」と述べた他、KDDIの高橋誠社長も「(総務省の指摘を)前向きに検討した結果、24カ月目を加えた3カ月間に期間を拡大したい」と語っていた。「3社で対応が違うと、同じことを繰り返し言われる」(吉澤氏)ため、これについては足並みをそろえた格好だ。

2年縛り ドコモの吉澤社長は、2018年8月の決算説明会で、2年契約の改善案を語っていた
2年縛り KDDIの高橋社長も、無料解約できる期間を3カ月する方針を8月に明かしていた

 この時期に各社が一斉に同じ対応を表明したのは、総務省で2017年12月から開催されていた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」で、「2年契約満了時点又はそれまでに、違約金及び25か月目の通信 料金のいずれも支払わずに解約することができるよう措置を講ずることを求めることが必要と考えられる」との報告書が出たためだ。同時に、解約月の料金を日割りにすることも提案されていた。

2年縛り 2年契約満了時に、違約金と通信料のどちらもかからない形で解約できるようにすることが求められた

 ただ、日割りに関しては定額プランの場合、1カ月間使うことが前提の料金設計になっているため、月の途中で解約した人が大幅に有利になってしまう。2日目に解約した人が、1日で全データ容量を使い切ったら料金が30分の1になるのはかえって不公平感を招く。こうした点を考慮した結果、2カ月から3カ月へと無料期間を延長することで3社が足並みをそろえた格好だ。

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