「CES 2019」を取材すべく、約1週間ほど出張していた筆者。見どころが多すぎて1週間では取材しきれないというのは前回の「ふぉーんなハナシ」も言った通りです。
どうしても時間が限られてしまうため、去年(2018年)と同様、モバイルよりも話題の多いPC関連の記者会見・発表会を中心に取材しました(1月7日から11日までの筆者の記事一覧を見れば一目瞭然です)。
ただ、スマートフォンを含むモバイル関連の話題が全くなかったわけではありません。5Gに関するより実用的な展示も増えましたし、「FlexPai」のようなフォルダブル(折りたたみ可能)スマートフォンも大きな注目を集めました。
実は、CES 2019でもう1つ、モバイル関連で話題になっていたのが、本体の両面にディスプレイを搭載するスマートフォン。個人的に気になった、CESで見かけた両画面スマホ2機種を簡単に振り返ってみます。
Hisense(ハイセンス)は中国の総合家電メーカー。日本では手頃な価格でそこそこハイスペックなテレビを販売するブランドとして知られていますが、中国ではスマホも販売しています。
そんなHisenseブースにおいて、スマホの“目玉”として展示されていたのが「Hisense A6」というミドルレンジ機種です。中国では現在セールをやっているようで、3499元(約5万7000円)で販売されています。
上の写真を見て「何かおかしい……」と思った人、正解です。A6は本体裏面にHD+(720×1440ピクセル)の5.61型電子ペーパーを搭載する2画面スマホなのです。表面にはフルHD+(1080×2160ピクセル)の6.01型有機ELディスプレイを搭載しています。
A6の展示は全て、裏面を“正面”に据えていました。電子ペーパー推しです。
電子ペーパーは文章やマンガをじっくり読む用途を想定していますが、端末の基本操作も一部を除いて可能です。Webブラウジングもできます。
ただ、電子ペーパーは電子ペーパーなので、メイン画面と比べると頻繁な画面更新には向きません。動画や動画を含むWebサイトをするときは、素直にメイン画面を使うべきです。
中国Nubia(ヌビア)は、中国ZTEからスピンアウトして生まれたスマホメーカーです。CES 2019では、2018年10月31日(中国標準時)に発表されたハイスペックスマホ「Nubia X」をブース展示していました。
Nubia Xはメイン画面を“ほぼ全画面”にすべく、裏面にHD+(720×1520ピクセル)の約5.1型有機ELディスプレイを搭載しました。メイン画面は、フルHD+(1080×2280ピクセル)の6.26型液晶ディスプレイです。
この狙いは効果てきめんで、メイン画面側をスッキリとさせつつ、サブ画面を使ってインカメラなしの自撮り(セルフィー)を実現しています。
メイン画面でできることは、サブ画面でも同様にできます。考えようによっては、ちょっと小さいサブ画面は片手操作しやすいので、普段はむしろサブ画面で使って、動画を見る時、あるいは外側をカメラで撮る時だけメイン画面を使う、といった使用法もアリです。
サブ画面はいわゆる「Always On Display」に対応しているので、時計などを常時表示することもできます。さらに、対応しているゲームアプリなら、サブ画面をゲームボタンとして使うこともできるそうですが、CESの展示機では試せませんでした……。
日本では2018年、2画面スマホ「M Z-01K」が発売されました。今回紹介した2機種は、Z-01Kとは異なるアプローチの2画面スマホです。
Hisense A6のような電子ペーパーを搭載する2画面スマホは、ロシアYota Devicesが「YotaPhone」「YotaPhone 2」「YotaPhone 3」と継続的に出していますが、そこまで大きく広がっている訳ではありません。
一方で、Nubia Xのようなカラー画面の2画面スマホは、2018年12月に中国Vivoも投入しましたが、広がりを見せるかどうかはまだ読めません。
2019年は「折り曲げスマホ元年」にはなりそうですが、それと同時に「2画面スマホ元年」となるかどうかも、注目したいところです。
(取材協力:Consumer Electronics Association)
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