「AQUOS sense2」「AQUOS R2 compact」開発の舞台裏 シャープがSIMフリー市場を攻める理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/3 ページ)

» 2019年01月28日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 シャープが、スマートフォン市場で急速にシェアを伸ばしている。調査会社MM総研が2018年11月に発表した同年度上半期のデータでは、前年同期比9.7%増で2位の座を確保。SIMロックフリースマートフォンでも、Huawei、ASUS、Appleに次ぐ4位となった。AQUOS Rでキャリアごとに分かれていたブランドを統一し、認知度が上がった成果だが、販売台数の面では「AQUOS sense」シリーズの成功も大きい。

 AQUOS senseは、docomo withに採用されるなど、大手キャリアの主力製品になった他、MVNOにもほぼ同スペックの「AQUOS sense lite」を展開。シリーズ累計で販売台数は200万台を突破している。成熟期を迎え、販売台数が伸び悩むスマートフォン市場では異例の存在といえる。そんなAQUOS senseに、待望の後継機が登場した。

 それが「AQUOS sense2」だ。同製品はAQUOS senseのスペックを底上げしつつ、18:9のIGZO液晶を採用したディスプレイを搭載。ボディーにアルミを使い、デザインも洗練させた。大手キャリアとSIMロックフリーで名称を分けずに展開しているのもこのモデルの特徴だ。同時にシャープは、ソフトバンク向けに発売している「AQUOS R2 compact」も、SIMロックフリーでの販売を検討している。

AQUOS sense2 ミッドレンジの「AQUOS sense2」

 では、シャープはSIMフリー市場にどんな戦略で臨んでいるのか。同社の通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏と、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 担当部長の林孝之氏にお話をうかがった。

AQUOS sense2はディスプレイの進化が大きい

林孝之 林孝之氏

―― 最初に、AQUOS sense2の特徴を改めて教えてください。

林氏 AQUOS sense2の前モデルにあたるAQUOS senseは、おかげさまで非常に好評でした。企画は、そこをブラッシュアップする形でスタートしています。そのため、基本コンセプト自体は特に変わっていません。お客さまに必要十分な機能を、商品に落とし込むことをポイントにしています。前のAQUOS senseに対し、後継モデルをどう作るかも考えました。

 その意味で一番大きいのは、やはりディスプレイです。AQUOSブランドを使っていることもあり、今回のディスプレイは縦長の18:9で、IGZO液晶も使っています。IGZOは基幹となるパーツです。ディスプレイは見るだけでなく、操作にも使いますし、消費電力にも影響しますからね。ここでのメリットをしっかりお客さまに感じていただきたいということで、今回はこのディスプレイを採用しています。

 逆に、操作性の部分ではAQUOS senseを受け継いでいます。画面の占有率を上げるために、いわゆるノッチを作って、指紋センサーを背面に搭載する端末も増えていますが、AQUOS sense2ではあえてそれをしませんでした。置いた状態ですぐ指紋センサーにアクセスでき、通常の操作にも使っていただきたかったからです。これに関しては上位モデルでもそうですが、操作感を統一しています。

AQUOS sense2 ディスプレイの下に指紋センサーを搭載

 あとはカメラですね。昨今の流行はデュアルカメラですが、(AQUOS sense2はシングルカメラではあるものの)ポートレートにこだわってデバイス選定をしています。なぜシングルカメラかというと、1つのカメラでしっかり性能を出したいという思いがあり、明るいレンズと明るいセンサーを使っています。これによって、前のAQUOS sense比で最大50%程度、明るさが上がっています。結果としてポートレートでも被写界深度を狭めることができ、2つのカメラを使わなくてもボケ感を出せるようになりました。

 カメラに関しては簡単にパッと撮れるのも特徴で、そういうところは狙って開発しています。これは開発ポリシーですが、お客さまに説明しないと分かっていただけない機能は、基本的に載せるつもりはありません。買っていただき、手に取ってすぐに使えるというアプローチを取っているつもりです。

 他もいろいろあって、AQUOS senseに対していただいたお声を反映させました。例えば、スマートフォンは毎日使うものなので、やはり5GHz帯のWi-Fiに対応してほしいということで、このモデルでは対応させることにして、接続性が上がっています。

―― ただ、全ての声を反映させるとコストに跳ね返ってしまいます。さすがに最近では対応していないモデルも減りましたが、この価格帯だと、2.4GHz帯だけということもありました。

林氏 どこを抜くか(抜いてコストを落とすか)というときに、5GHz帯のWi-Fiは抜かれがちなので、あえて搭載しています。後はスピーカーの音圧ですね。AQUOS senseのときは音が若干聞こえづらいという声があったので、このモデルでは音圧を上げています。浴室で音楽を聞いたり、YouTubeを連続して流したりということが非常に多くなっているので、そこに対応しました。

コストを意識しつつも金属を採用

―― 販売価格は変わっていませんが、AQUOS sense2はアルミ素材を使って質感も上がっています。

林氏 前のAQUOS senseはバスタブ構造の筐体(きょうたい)で、樹脂を使っていましたが、今回はアルミのバスタブ構造を採用しています。

小林氏 パッと見でいかにも金属という感じにはしていませんが、触ると金属であることが分かります。

林氏 天然素材は、質感が表現できたり、キレイさを出したりできるのが大きなメリットです。ただ、われわれはその部分ではなく、強度や端末の設計に金属筐体を生かしています。強度が高いため、設計するために余計なものがいらなくなるのも大きいですね。結果としてどういうメリットがあるかというと、本体を小さくすることができます。確かに樹脂を使うよりコストは上がってしまいますが、上がる覚悟を決め、設計の終盤で採用を決めました。

 パッと見で金属っぽく見えないのは、金属の上に塗装をしているからですが、これだとカラーバリエーションを作りやすいのがメリットです。

AQUOS sense2 背面には金属を採用し、シルバーやブラックといった定番色以外のカラーも採用した

小林氏 アルマイト処理は酸化膜を作って表面に金属が露出するような仕上がりになりますが、AQUOS sense2ではそれを使わず、塗装にしています。金属特有のキラキラした質感は出ませんが、色のバリエーションは出しやすい。AQUOS senseも長く使える安心感があったので、それをある意味で踏襲しています。

林氏 AQUOS senseは200万台以上販売され、それによって年齢の低い方からベテランの方まで、幅広い層に使われています。商品カテゴリーでいうと、スタンダードゾーンのものです。価格的にもエントリーに近いので、お買い求めやすい。フィーチャーフォンから乗り換える方も多いということが見えてきました。

 そういう方々のために、(デザインだけでなく)「かんたんホーム」も追加しています。これにすることで、よく使う機能を前面に置いたり、簡単に電話がかけられたりするようになります。よく「フィーチャーフォンから乗り換える方が、スマホを使いこなせない」と言われますが、そういうところを解決するモノ作りも怠らないようにしました。

AQUOS sense2 フィーチャーフォンからの乗り換えユーザーに向けて作った「かんたんホーム」
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