店舗を変えるモバイル決済

乱立する○○ペイに風穴を開ける? 「メルペイ」が目指す、決済の“エコシステム”(2/2 ページ)

» 2019年02月22日 12時22分 公開
[田中聡ITmedia]
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メルペイ提供後も、メルカリの利用は伸びている

 2018年2月のスタートになった理由について、青柳氏は「セキュリティ、コンプライアンス、リスク管理でしっかりと体制を固めて臨みたかったから」と話す。

メルペイ メルペイの青柳氏

 2月13日のiOS向けの提供から1週間がたった。反響について青柳氏は「サービスの稼働を安定させるために、まだ全てのお客さまにアプリの切り替え(アップデート)ができておらず、段階的にやっている。足元は手応えを感じている」と話す。

 一方、メルカリの売上金をメルペイで使ってしまうと、メルカリでの取引が減ることも懸念されるが、現状はメルカリの利用が落ち込んでいることはなく、メルカリもメルペイも伸びているという。これは「うれしいサプライズだった」と青柳氏。

 iDを活用した決済では、MasterCardのプリペイドカードを用いるが、NFCを活用し、スマホをかざすだけで決済ができる「MasterCardコンタクトレス」には現時点では対応していない。ただ青柳氏によると、「タイミングはいえないが、対応は検討している」とのことだった。

 クレジットカードを使ったチャージ、売上金を使った個人間送金も、現時点では対応は未定とのこと。

一次流通と二次流通、ユーザーと加盟店を結ぶエコシステムが強み

 現在のモバイル決済ブームについては、認知が広がったことで、導入を前向きに考える店舗が増えた点は好意的に捉えているが、「このままでは、ユーザーや加盟店を取り残してしまう」との危機感も募らせる。特に最近は、各社が盛んにキャンペーンを行い、ユーザーを取り合っている状況だが、これがずっと続くとは考えにくい。「ポイントのばらまきだけで終わってしまうのは、日本のキャッシュレスのワーストシナリオ」(青柳氏)

 メルペイで新品を買ってメルカリで売る、メルカリで売れたお金で新品をメルペイで買う――という循環ができれば、他社のように大規模なキャンペーンを実施せずとも、メルペイを積極的に使ってもらえることが期待される。

 店舗はオープンな姿勢で開拓し、他社とも積極的に協業する。単純な加盟店数を追求するのではなく、メルカリユーザーのデータを提供して店舗運営にも役立ててもらえれば、店舗がさらに繁盛するのはもちろん、口コミ等でさらなる加盟店増にもつながる。

 このように、一次流通と二次流通、ユーザーと加盟店を結ぶ“エコシステム”はメルカリならではの強み。メルカリのオープンな姿勢に賛同する事業者が増えれば、加盟店開拓が一気に進む可能性もある。メルペイが、乱立するモバイル決済サービスの中で台風の目になりそうだ。

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