このような課題に対し、主要な中古端末業者は「リユースモバイルジャパン(RMJ)」という団体を結成。中古端末の認知向上に向けた活動をしてきた。また、RMJ加盟各社も認知向上に向けた活動を行い、品質チェックやデータ消去など、買い取った端末の管理体制を改善してきた。
しかし、中古端末市場をさらに広げるためには、さらに踏み込んで業界全体で“標準的な基準”を定める必要がある。そこでRMJと「携帯端末登録修理協議会(MRR)」は2018年7月、共同でガイドライン検討会を結成。総務省とMM総研をオブザーバーとして迎え、今回のガイドライン策定に取り組んだ。
冒頭で述べた通り、今回発表されたガイドラインの初版では、「買い取り」「検査・格付け」「販売」の3ステージにおいて「必須事項」「要求事項」「推奨事項」を設定している。
買い取りと検査・格付けの段階では「安心安全」「外装」「機能」の大きく3点を評価することになる。これらの評価の概要を簡単に解説する。携帯電話を売却する際に、より高値で売却する「ヒント」にもなる部分もあるので、ぜひ参考にしてほしい。
買い取り時は、古物営業法に基づく各種確認を行う。買い取り希望者の本人(身元)確認はもちろんだが、「ネットワーク利用制限」「遠隔端末ロック」など何らかの利用制限がかかった端末(≒盗品や不正取得品)でないかどうか、利用者情報の残存がないかどうか(≒端末の初期化が済んでいるかどうか)も合わせて確認する。買い取り後の検査でも、利用制限や利用者情報の残存を重ねてチェックする。
利用者情報(データ)消去については、買い取りと検査段階で1回ずつ端末の初期化(オールリセット)を行った上で、検査時には専用ソフトウェアによる上書き消去(ダミーデータを書き込んだ後にデータを消す処理)も実施する。データ消去後は、作業担当者“以外”の第三者によるチェックも行う。
ただし、端末によっては上書き消去に対応しないこともある。その場合は、初期化と同時に上書き処理も行う機種を除き上書き消去を行えない旨を買い取り依頼者に伝達する。
「おサイフケータイ(FeliCa)のデータ」や「端末とアカウントのひも付け」など、ユーザーでないと初期化・解除できない事項については、買い取り依頼者に注意喚起したり対応を求めたりする。
安心安全評価において何らかの「NG」が出た場合は端末を販売品として流通させない措置を講じる。ただし、利用者情報を消去できた場合は、評価がNGな部分を明記した上で「ジャンク品」あるいは「現状渡し品」として販売することは妨げない。
中古端末で一番気にされる部分の1つである外装。買い取り時には目に見える全ての面において傷や割れ・欠けの有無を調べる。評価は「S」「A」「B」「C」「J(ジャンク)」の5段階で、簡単に書くと以下のような状態を指す。
拭いても取れない汚れは傷や塗装剥がれとみなされる。また、以下の状況が見られる場合は「C」または「J」ランクになる。
Jランク品については、基本的に再資源化やパーツ取りに使うことが望ましいとされるが、「ジャンク品」「現状渡し品」として販売することは妨げない。
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