先述のCSOTと並ぶ中国トップのディスプレイメーカーがBOE(京東方科技)。HuaweiのMate Xで採用された折りたたみディスプレイは、同社製と言われている。そしてGalaxy Foldを送り出したSamsungも、ディスプレイメーカーとして世界の大手企業。
このようにディスプレイメーカー各社がこぞって折りたたみディスプレイの製造・開発を始めていることから、今後他のスマホメーカーも折りたたみスマートフォンを手掛けることは間違いないだろう。
Samsungと並ぶディスプレイメーカーでもあるLGは、残念ながら今回のMWCでは折りたたみディスプレイを採用したスマホを発表しなかった。その代わり、外付けディスプレイケースを取り付けてデュアルディスプレイ化できる「V50 ThinQ 5G」を発表している。
このV50 ThinQ 5Gは、韓国のキャリア「LG U+」が4月からサービスを開始する5G向けマルチビューストリーミング放送に対応している。
このマルチビューストリーミング放送では、ディスプレイの2枚に別々の映像を流す。例えば野球の試合中継では片方の画面は「バッター」、もう片方の画面は「グラウンド全体」を映すといった形で、異なる2つのアングルを同時に見ながら試合を楽しめる。
あるいはK-POPアイドルの放送ならメンバー全員のダンスシーンを片側に、そしてもう片側では自分の好きなメンバーだけを映すことができる。映像を指先でピンチして拡大することもできる。
このマルチビューストリーミング放送は、5Gの高速通信環境を利用するからこそ実現できるサービスである。
このサービスはGalaxy Foldのディスプレイを開いたときにも、1枚の画面を2つに分割表示する形で利用することもできるだろう。
5G通信環境下であれば、折りたたみスマホを開いて大きい画面にして高精細なストリーミング動画を楽しむことはもちろん、先ほどのLG U+のサービスのように2枚の画面を組み合わせた新しい放送サービスも楽しめるのである。恐らく、LGも2019年内に折りたたみスマホを投入し、LG U+と共にこのサービスの利用者拡大を図るだろう。
5Gサービスと折りたたみスマートフォンは相性がいいのである。
このように大手メーカーの動きが目立っている折りたたみスマホだが、MWCではマイナーメーカーも市場参入を表明している。
乾電池メーカーとして知られるEnergizer(エナジャイザー)は、5G対応折りたたみスマホのモックアップを展示していた。Energizerのスマートフォンは中国のODMメーカー製のものもあり、この折りたたみスマホも恐らくどこかのODMメーカーが製造するものだと思われる。
つまり、中国のODMメーカーの一部はすでに相手先ブランドで折りたたみスマホの製造開始準備を進めており、その1社がEnergizerということなのだろう。
すなわち折りたたみスマホは一部のトップメーカーからだけではなく、2番手や3番手などのマイナーメーカーからも登場する可能性があるわけだ。2019年後半以降、折りたたみスマホは各社のフラッグシップモデルとしてメジャーな製品になっているかもしれない。
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