スターバックス コーヒー ジャパン(以下「スターバックス」)とLINEは4月8日、LINEアプリ内で「スターバックスカード」を発行できるようになったことと、スターバックスLINE公式アカウントが開設されたことを発表。また両社は全店での「LINE Pay」導入を目指すことも合わせて発表した。
「LINEスターバックスカード」は、LINEアプリ内にある「LINEウォレット」から発行できるカード。最短5ステップでカード発行が完了する簡便さが特徴で、「(本家のスターバックスアプリ利用者よりも)少しカジュアルで、ITリテラシーの低い人」(スターバックス 濱野努デジタル戦略本部長)をメインターゲットに据えている。
完全な新規登録の場合は、登録完了の時点で「My Starbucks」(スターバックスの会員プログラム)の「準会員」となる。準会員は追加の情報登録は不要で、ロイヤルティプログラム「STARBUCKS REWARDS」のStar(ポイント)は集めることができる。
ただし、Starを「eTicket(店内の商品類と交換できる電子チケット)」に交換したい場合は、My Starbucksへの会員登録をした上で「スターバックス ジャパン公式モバイルアプリ」(Android版/iOS版)を別途インストールする必要がある。
なお、My Starbucksの既存会員は、カードの登録時に会員アカウントとひも付けることもできる。ひも付けておくと、アカウントに登録済みのスターバックスカード(モバイルスターバックスカードを含む)とまとめて残高を管理可能だ。
残高のチャージは、店頭チャージ(現金、クレジットカード)に加えて「LINE Pay」を使ったオンラインチャージにも対応している。
スターバックスは従来、Twitter、Facebook、InstagramやPinterstといったSNSに公式アカウントを設置してきた。これらのアカウントはオープンにアクセスできる反面、顧客との1対1のコミュニケーションには若干不向きな面もある。
今回の提携を機に、同社は「『パーソナル』で『クローズド』な」(濱野氏)の特性を生かしたLINE公式アカウントを開設。機能を順次拡充して「1to1(ユーザー個々人に合わせた)コミュニケーション」の実現を目指す。1to1コミュニケーションの実現には、LINEスターバックスカードから取得した購買データも活用するという。
現在、スターバックスでは東京都内と福岡県内の計10店舗で「LINE Pay」によるコード決済を導入している。今後、2020年夏をめどに「原則として全店舗」(スターバックス 水口貴文CEO)においてLINE Payのコード決済への対応を進める。
「原則として」としているのは、ショッピングモールなど、テナントとして出店している店舗の一部が非対応となる可能性があるため。
テナント出店の場合、現金以外の支払いは出店先が用意した端末を用いなければならないことがある。このようなケースにおいて、端末で扱えない決済方法を利用するには出店先と交渉が必要となる。そのため、出店先によってはLINE Pay非対応となるかもしれない。
今回の提携は、両社の掲げる企業理念が似ていることが「起点となった」(スターバックス 水口貴文CEO)。スターバックスは、LINEとの提携によって従来はリーチできなかったユーザー層の開拓に努めると共に、現在「(全店で)約3分の1」(水口CEO)となっているキャッシュレス決済比率をより高めたい考えだ。
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