3月25日(現地時間)、アップルが本社内にあるスティーブ・ジョブズシアターにてスペシャルイベントを開催。主に新サービスの発表を行った。
なかでも注目だったのが、決済サービス「Apple Card」だ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年4月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
ゴールドマン・サックスと組み、支払状況などを管理できるアプリを配布。バーチャルのクレジットカードだけでなく、チタン製の物理カードも発行。カードには名前のみが記載され、クレジットカード番号や有効期限などは印刷されないというシンプルなデザインとなっている。これにより、店頭で決済した際、店員にクレジットカード番号を盗み見られる心配がない。もし、クレジットカード番号が必要なときには、アプリで確認する仕組みだ。
スペシャルイベントを現地で取材し、帰国後、決済サービスに携わっている業界関係者に「Apple Card、どうっすか」と聞いてみたが、いずれも「日本でそのまま展開するのは不可能だろう」という見解であった。
当然のことながら、アメリカは銀行がクレジットカードを発行するのに対し、日本はほとんどの場合、クレジットカード会社がカードを発行している。日本が毎月、返済するのに対し、アメリカでは自分で支払うタイミングを決めたりする。クレジットカードに関する使われ方が異なるため、Apple Cardがそのままのスキームで入ってくることは考えにくい。
しかし、業界関係者のなかには「日本の企業で、どこかアップルからの厳しい条件を飲むところが出てきてもおかしくはない」とささやく。
アップルとしては、世界の中でも日本は重要なマーケットだ。過去を振り返っても、なんだかんだでアメリカ向けのサービスは日本でも展開されている。アップルとしては、今回のスペシャルイベントはハードを新たに普及させるのは厳しくなっているからこそ、サービス面を強化するとのメッセージでもある。
アメリカだけでサービスを展開しても、成長には限界があるわけで、世界中で、iPhone上で自社サービスを広げなくてはいけないはずだ。
アップルは日本のニーズを捉えようと、iPhoneでFeliCaを対応させてしまう会社だ。そう考えても、Apple Cardの日本上陸は、すぐとはいかないまでも、数年中にはありえる話なのではないか。
果たして、その時、アップルはどの会社と組んでサービスを提供するのか。アップルから条件を飲める会社が存在するのか、興味深いところだ。
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