インタビュー
» 2019年04月23日 06時00分 公開

通話とSMSに特化 シンプルケータイ「un.mode phone01」が生まれた理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]
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もともとの市場規模が大きいので、1%でも3万〜4万台に

―― un.mode phone01以外にも、音声やSMSに特化したシンプルケータイが出ています。今、こういった端末のニーズは大きくなっているのでしょうか。

渡辺氏 携帯電話業界全体から見ると、大きなニーズではないと思います。ただ、仮に全体の15%だとしても、携帯電話は500万台ぐらいの数字になり、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などより市場規模が大きい。コンシューマー向けのPCで、ようやく年間500万台ぐらいですからね。もともとの市場規模が大きいので、1%でも3万台、4万台という数字になります。確かに3500万台全体を見ている人からするとたった1%に見えるかもしれませんが、他の分野からすると結構な数といえます。

 MVNOが台頭し、MNOがやっていないビジネスも出てきて、脇道もだいぶキレイに整備されてきました。ですが、通話やSMSだけでいいというニーズには、まだ対応しきれていません。先ほど申し上げたように、経済活動の根本を無視しなければいけないからで、大きな会社にはなかなか厳しいのではないでしょうか。

―― 販路はどうするご予定ですか。

渡辺氏 直販とAmazonにもダイレクトサイトがあります。実店舗は、今のところヨドバシカメラとビックカメラの話が決まっています。ただ、今は商品があまりない。今の注文に全て応えつつ、在庫も持っていただく必要があるので、もしかすると(発売日が)少しずれてしまうかもしれません。

―― MVNOの取り扱いはいかがですか。

渡辺氏 お話をいただけて、お眼鏡にかなえばご案内することはできます。MVNOも慎重なので、技適が取れた実機があった上で、自ら検証して導入を決めるところが多いので、今回のようなスケジュールだとちょっと……というのはあったと思います。

 MVNOにとっては(un.mode phone01を使うユーザーが集まっても)あまりもうからないかもしれませんが、私は、FOMAのユーザーも取りに行けばいいと思っています。冷静に見ると、まだFOMAを使っているユーザーも2200万人程度いますからね。それが年々減っているというのが今の状況です。あれはあれでものすごく大きな市場で、意外なことに、他のMNOはサブブランドも含めて、そこをターゲットにしていません。

 そこをスマートフォンで取ろうとすると、安くても1万5000円から2万円ぐらいはしますが、un.mode phone01であれば、1台あたり、1人あたりにご加入いただくためのコストもすごく安くしていくことができます。

―― 販売目標は何か開示できるものはありますか。

渡辺氏 何十万台というようなことは考えていません。必要だけど買う商品がないという方に行き渡ればいい。ただ、商品なので、2000台、3000台だと作ってもらえません。最低でも5000台はいかなければなりません。現状を見ていると、1万台は確実にいけそうです。

後継機はVoLTE対応も視野に

―― 現状は3Gですが、後継機としてLTE対応モデルは検討しているのでしょうか。

渡辺氏 商品としてどんどん新しくするようなものではありませんが、今の端末を支持していただければ、早い段階でソフトバンクの900MHz帯に対応したマイナーチェンジ版も出そうと考えています。それと同時並行で、VoLTE対応モデルも考えていきます

―― 今後作られるのも、やはりシンプルケータイなのでしょうか。

渡辺氏 これから5Gの時代になり、今のスマートフォンがどんどん別のものになってくれば、他の切り口も考えられます。例ええば、「新しいiPhone SEが発売される」「いや、されない」というウワサ話がたくさん出ていますが、仮に出なければ、4型台のスマートフォンも(市場が空いているという意味で)いい状態になります。

 他にも、電話型のBluetooth子機のような製品も必要になってくるかもしれません。端末が大型化していくので、そちらはバッグの中に突っ込んでおいて、電話はBluetoothの子機でするということが普通になってくるかもしれません。イヤフォンで取るのではなく、着信はディスプレイで見てから取りたいですからね。

 以前もそういう商品はありましたが、どこも、電話帳の開発をきちんとしていませんでした。海外のものをそのまま持ってきて、50音順に並ばないなどの問題もありました。単に電話帳がきちんと並ぶだけでいいので、そこは目指していければと思います。

取材を終えて:ぜひVoLTE対応モデルを出してほしい

 今の携帯電話市場を熟知している渡辺氏が企画した端末なだけに、un.mode phone01は、ピンポイントでユーザーのニーズを突いている感がある。クラウドファンディングに大成功したのは、その証拠といえる。確かに、携帯電話市場は母数が大きく、全体の1%でもベンチャー企業にとっては大きな台数になる。調査によって差は出るが、いまだに20〜30%近くが3Gケータイに残っていることを考えると、チャンスは大きいといえそうだ。

 ただ、3Gは徐々に帯域が絞られており、auは2022年3月末に停波をする予定。2020年半ばにはドコモもLTEと5Gにリソースを集約させる方針を打ち出しており、寿命はあと数年だ。通話品質もVoLTEに比べると低くなる。開発のハードルは上がるが、今後の事情を踏まえると、ぜひVoLTE対応版は出してほしいと感じた。IIJが通話専用のケータイプランを開始したが、あのようなサービスが増えれば、シンプルケータイの需要はさらに高まるかもしれない。

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