決済や送金のサービスを手掛けるKyashが4月25日、決済プラットフォーム「Kyash Direct」を発表。2019年初夏に提供する。
Kyashが提供しているスマートフォン向けウォレットアプリ「Kyash」では、Visaプリペイドカードを発行し、このカードにチャージした金額で決済したり、他のユーザーに送金したりできる。Kyashを提供するにあたり、同社は電子マネーのチャージ、カード発行業務、カードを利用した決済の処理業務(プロセシング)を行っているが、これらをワンストップで提供可能にする技術をAPIとして外部に開放する。
Kyash代表取締役の鷹取真一氏は「決済処理の全てを弊社でさばく。プロセシングからプログラム設計まで、上流から下流まで一気通貫でサポートするのが特徴だ」と語る。
通常、Visaカードを発行するには、Visaの発行ライセンスを持つ銀行やカード会社と提携し、決済処理を行うベンダーとの契約が必要になり、相応の時間や高いコストが発生する。Kyash Directを活用すれば、低コストかつ迅速に自社のVisaカードを発行でき、国内外5390万のVisa加盟店で決済可能なサービスを提供できるようになる。
カードはオンライン決済用のバーチャルカードと、実店舗での決済に使うリアルカードのどちらも発行可能。スマートフォンアプリと連携させ、おサイフケータイ対応のAndroidなら、QUICPayを使った非接触決済も行える。
Kyash Directの利用事例として、同社は「スタートアップ企業向けの法人カード」「利用制限を設けたコーポレートカード」「仮想通貨やポイントを日本円に転換して利用できるカード」「サービスの売上金や報酬で即座に決済できるカード」などを想定している。
実際、海外ではスタートアップ向けの銀行口座直結カード、売上金を即座に使えるデビットカード、仮想通貨を法定通貨に転換して使えるカード、Uberの配車サービスを終えたドライバーに即日報酬を支払って利用可能にするカードなどが提供されている。
Kyash Directでは、売上金、ポイント、銀行預金、仮想通貨など、企業が持つ資金源(ファンディングソース)からチャージや支払いができる。最高技術責任者(CTO)の椎野孝弘氏は「現金化しないと利用できない、サービス内でしか使えない資金源を、KyashのAPIを使うことで、Visa加盟店で利用できるようになる」とメリットを話す。これら資金源から後払いでチャージしたり、銀行口座から即時決済したりすることで、クレジットカードやデビットカードのように振る舞えるようにもなるという。
Kyashアプリでは、残高が不足していると、登録しているカードや銀行口座から即時に充当する仕組みを用いている。また、残高に充足する資金源を用途に応じて切り替えることもできる。Kyashが特許出願済みという、この「ダイレクトファンディング」を適用できるのも特徴としている。
他に、カスタマーサポート、リアルカード発行、不正利用のモニタリング、本人確認の代行サービスなどもKyashが担当する。今後は、パートナー企業のユーザーによる送金も可能にする予定。
Kyash Directのビジネスモデルは、パートナー企業のサービスで決済をした際に発生する手数料だが、「決済が増えればレベニューをシェアする場合もある」(鷹取氏)とのこと。
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