九州でシェアを伸ばすMVNOサービス「QTmobile」の戦略を聞く 他社にない特徴とは?MVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2019年07月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 相互接続の仕組みが義務化されてから、MVNOの参入が相次いだが、その全てが全国区でサービスを提供しているとは限らない。十分な市場規模を見込める地域では、“地元密着”で着実に支持を集めている会社もある。「QTmobile」を運営する九州電力傘下のQTnetも、そんなMVNOの1つだ。

QTmobile QTnetがMVNOとして提供する「QTmobile」

 QTnetはいわゆる電力系通信会社で、「BBIQ」という光回線を提供しているが、QTmobileは、そのオプションサービスとして始まった。その後、ブランド変更を経て現在に至るが、九州内では川口春奈さんを起用したテレビCMを放映したり、対面契約が可能な実店舗を構えたりと、大手顔負けの施策で注目を集めている。

 ドコモ、au、ソフトバンク3社の回線をいち早くそろえ、mineoに先んじて「マルチキャリアMVNO」としてのサービスを打ち出したのも、QTmobileだ。今ではmineoに加え、LINEモバイルやソニーネットワークコミュニケーションズが同様のマルチキャリアMVNOを打ち出しているが、ここにいち早く着目した点は評価できるポイントといえる。

 失礼を承知でいえば、QTmobileがモバイルやITに関連したメディアで報じられることは非常に少ない。ネットを中心にした専門メディアが東京に偏っていたり、QTmobile自身があまり全国区を志向していなかったりするのが、その理由だ。一方で、取り組みが積極的なだけに、MVNO市場を見渡す上で、同社の戦略や動向は押さえておきたいところだ。そんな問題意識や筆者自身の反省も踏まえ、QTnetを訪問。同社のMVNO事業を率いる営業本部 モバイルプロジェクトリーダーの藤野雄三氏に、お話をうかがった。

QTmobile QTnet 営業本部 モバイルプロジェクトリーダーの藤野雄三氏

2017年3月に「QTmobile」にリブランド

―― QTnetはもともと、光回線を提供していた会社です。なぜ、MVNOとしてモバイルサービスを始めたのでしょうか。

藤野氏 もともと、MVNOのサービスは「BBIQスマホ」という名前で、光回線のオプションとして始めました。2017年3月には、その名称をQTmobileにリブランドして、光回線のユーザーだけでなく、幅広くご契約できる形に変えています。新たな柱の構築や、事業領域の拡大、既存サービスとのシナジー効果を拡大するため、MVNOを強化しようとしてのリブランドになります。

―― もともとは、光回線のユーザーに限定したサービスだったんですね。

藤野氏 はい。最初はそうで、あくまでオプションという扱いでした。リブランドしてからは、(QTnetの光回線のない)全国で契約できるようになっています。

―― 全国で契約できますが、実際の打ち出し方は、かなり九州に特化している印象もあります。割合はどの程度になるのでしょうか。

藤野氏 MVNOのサービスなので基本的に全国で販売できますが、リブランドした時点で後発だったこともあり、全国に打って出るというより、プロモーションを強化し、もともとの地盤である九州で足場を固めています。もちろん、ネットを通じたアフィリエイトなどは全国でやっていますが、リアル店舗などは九州に特化しています。比率は9割ぐらいが九州で、残り1割が関東や関西などのその他の地域になります。

「6GB、990円」は全国に刺さる特徴、サポートにも注力

―― 逆に、全国区のMVNOを九州で契約することもできますが、そういったところと比べたときに、売りになるのはどの部分だとお考えですか。

藤野氏 今、ちょうど6GBで990円(1年間、13カ月目以降は2250円)(税別、以下同)という料金を打ち出しています。もともとは3GBで990円のシンプルさを前面に出してプロモーションしていましたが、川口春奈さんのCMもあり、九州内ではかなり認知度が上がりました。結果として3GB、990円の料金がかなり浸透したこともあり、6GB、990円でお得感を感じていただけています。音声通話付きのプランで、6GB、990円は業界最安の部類です。MVNOは800社以上あり、どうしても埋もれてしまいますが、この料金は全国に刺さる特徴としてやっています。

QTmobile QTmobileの料金プラン。ドコモ回線とau回線は同額で、ソフトバンク回線がやや高い(画像はドコモ回線とau回線のプラン)

 ここが最大の魅力ですが、時間無制限のかけ放題をやっていたり、法人契約もできる10分のかけ放題があったりと、MVNOではレアなサービスもそろえています。

 また、サポートも力を入れているところです。電力系通信事業者の安心感や、15年やってきた光回線で培った細やかなサポートを武器にしていて、そちらは全国の皆さまに訴求できると自負しています。九州限定になりますが、ショップも展開しています。こちらについては高い応対品質で、端末を購入されるお客さまには、無料でデータ移行をお手伝いしています。他のMVNOはもちろん、MNOでもやっていないサービスですが、こちらも無料で提供しています。

 ショップについては九州内に6店舗ありますが、大分県と佐賀県に出店できていません。各県庁所在地には、早急に1店舗以上設置することを検討しています。九州都市圏についても、もう少し出していきたいと考えています。

QTmobile
QTmobile ショップも九州内に6店舗構える

 ショップを補完するサービスとして、「自宅deお手続き」も3月に開始しました。これは、自宅でお申し込みから開通までを行えるサービスですが、専任のスタッフがご自宅まで伺って手続きします。ショップが遠いお客さまや、小さなお子さんがいて家を離れるのが大変な方からお申し込みいただいている状況です。

―― 1年間限定ではありますが、確かにこの料金は安いですね。先ほど九州が9割というお話がありましたが、もっとその他の地域の比率を上げていくお考えはありますか。

藤野氏 全国でプロモーション展開しようとなると、コストもかかります。現状ではまず、九州の足場を固めたいと考えています。

―― 限定ということで、2年目以降、料金プランを3GBに下げてしまうことはあるのでしょうか。

藤野氏 12カ月目以降にどうなるかというのはありますが、お客さまは恐らく、6GBあれば十分MNOから移行できると考えていると思います。このぐらいの容量が、普通の感覚ではないでしょうか。3GBにはあまり戻らないと想定しています。

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