インタビュー
» 2019年07月23日 06時00分 公開

“全部入り”スマホ「ZenFone 6」開発ストーリー 「万人向けの電話機を作りたいわけではない」 (2/3)

[房野麻子,ITmedia]

あえてハイエンドに振り切った理由

―― ZenFone 5には「Back to 5」というスローガンがあり、原点回帰というメッセージだと思いますが、今回のZenFone 6はZenFone 5の進化になるのでしょうか。カメラが代表的ですが、AIはあまり強調されておらず、路線がかなり違う製品に仕上がっている印象ですが。

Kung氏 そうですね。

―― これはZenFone 5を否定するものなのですか? どういうプロセスで生まれてきたのでしょうか。

Kung氏 過去のZenFoneシリーズは5世代ありますが、どれも違うものです。ユーザー調査で、ユーザーの満足度は「ZenFone 5Z」に対して非常に高くなりました。ZenFone 5とZenFone 5Zを比べると、5Zに対する満足度が高かった。われわれのファンは、コアユーザーということがそこで分かりました。特に高速なCPUによるスムーズなUIに対する評価が高かったです。

 ZenFone 5のときは「Back to 5」ということでZenFoneの原点に戻るという感じだったのですが、ZenFone 6はASUSの原点に生まれ変わるという感じです。

 私は必ずしも、全ての人たちのための電話機を作りたいわけではありません。もしあなたがベーシックな端末を望んでいるなら、1000ドル払ってSamsungやApple、Huaweiの素晴らしい端末を購入できます。それらは非常に素晴らしい端末ですが、どれも同じような機能です。

 長時間バッテリーと高いパフォーマンスを求めるなら、ハイエンドのCPUで5000mAhのバッテリーが必要ですが、一般的にそういう端末は存在しません。だから違いを出していきたいと思いました。

 フリップカメラは、「All-screen NanoEdge Display」と5000mAhのバッテリー、Snapdragon 855を入れたゆえの結果です。インカメラも諦めたくありませんでした。それらの組み合わせです。異なるデザインをたくさん検討してきましたが、他のデザインを選んでいたら、このうちの何かを諦めなくてはいけなかった。ZenFone 6はわれわれが望んだもの全てを実現した形になります。

ZenFone 6 ZenFone 6ではオールスクリーン、バッテリーの持ち、パフォーマンス、カメラという4つのポイントに注力した

 カメラは最も難しかった部分です。スライダー(スライド式カメラ)だったら5000mAhのバッテリーは搭載できなかったでしょうし、インカメラがポップアップカメラだったら、いいセンサーを載せることはできなかったでしょう。

ZenFone 6 くるりと起き上がるフリップ式になったことで、アウトカメラをインカメラとしても利用できる

 フリップカメラはアウトカメラとインカメラであるだけでなく、独自のモーターを開発することで、フリーアングルで撮影できるものになりました。そういうさまざまな段階を踏んで、ZenFone 6は最終的にこの形になりました。

 オールスクリーンや2〜3日使える電池持ち、3.5mmのイヤフォンジャック、デュアルSIMとmicroSDスロット、これら全てを提供したかった。さらに(高品質の)インカメラもアウトカメラも提供するにはどうしたらいいかを考えて、このような形になりました。

 このコンビネーションは非常に難しく、ZenFone 6をユニークなものにしています。フリップカメラ、Snapdragon 855、トリプルスロット、3.5mmのイヤフォンジャック、5000mAhのバッテリー。フリップカメラはただでさえ難しいのに、加えてそれらの要素を全て入れるのが課題でした。

―― ZenFone 6は全ての要素を入れることを目指して作ったものなのですね。プロトタイプのデザイン画がたくさんありましたが、別の製品として登場する可能性はありますか?

ZenFone 6 説明会ではデザインコンセプトのイラストなども展示された

Kung氏 そうすね、重要なのは、いつも研究していくことです。最終的に何を選ぶかということです。何が正しく、間違っているとかではありません。全部がいいのです。将来的に、もしかしたらどれかを選ぶかもしれませんし、選ばないかもしれない。そのときに私たちが何を提供したいか、どれだけのコストをかけられるか、ターゲットをどこにするかにもよります。そのときベストな選択肢として何があるかということです。

 いろいろなデザインが過去にもありました。3、4年くらい前、光学3倍のペリスコープ(潜望鏡)レンズを搭載した「ZenFone Zoom」がありました。ASUS以外でそういたカメラを搭載したところはありませんでした。しかし2019年は、ペリスコープレンズが再注目されています。今の私たちのコンセプトが、もしかしたら3年後、再び注目されるかもしれません。

 誰のためのプロダクトなのか、何がベネフィットなのか、常に研究しています。考えて、そのときそれを選ぶ感じです。

 ZenFone 6をデザインすることは、1日で「はい、これにする」と決めたものではなくて、これを採用して、どうだろうか、うまくいかなかったら、こっちにしてみようという形で徐々に解決策を探していった形です。

 ASUSとは何か、私たちはどんな会社なのか、ASUSらしい製品はどんなものかということを考えてきました。ロゴがなくても、まさにASUSの製品だと思ってもらえる製品にしたいと思っています。

ZenFone 6
ZenFone 6 ZenFone 6はASUSらしい製品とは何かを追求して生まれた

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