既報の通り、インターネットイニシアティブ(IIJ)が7月18日、eSIMを使った個人向けのデータ通信サービス「IIJmioモバイルサービス ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」を開始しました。
名前の通り“β版”ではありますが、個人が国内で使える事実上初めてのeSIMを使った通信サービスです。
以前、eSIMの利便性を体感した筆者としては、使ってみないわけには行きません。そこで、IIJから協力を得て、手持ちの「iPhone XS」で試してみることにしました。
IIJmioのeSIMを利用するには、SIMロックのかかっていないeSIM対応端末が必要です。最初からSIMロックフリーのものはもちろん、SIMロックを解除したeSIM対応端末でも大丈夫です。
IIJでは、以下の機種で動作を確認しています(8月16日現在)。
いずれの確認済み機種も、eSIMをサポートするOSでの稼働が条件となります。iPhoneやiPadなら「iOS 12.1」以降、Surface Pro LTE Advancedなら「Windows 10 Version 1803(April 2018 Update)」以降のOSになっているかどうか確認しましょう。
先述の通り、今回は筆者のiPhone XSでIIJmioのeSIMを試用します。iPhone XSはNTTドコモ経由で購入したもので、同社のSIMロックがかかっていましたが、すでに解除してあります。
IIJmioのeSIMでは、書き込みに必要な「アクティベーションコード」(QRコード)は「会員専用ページ」で確認するようになっています。Webサイトで契約した後、しばらくすると確認できるようになります(そのタイミングで連絡先のメールアドレス宛に通知も来ます)。
アクティベーションコードが確認できるようになったら、以下の手順でeSIM情報を書き込みます。書き込み時には、端末側で有効なインターネット回線への接続が必要です。
以前使ったプリペイドeSIMとほぼ同じ手順……なのですが、5番目の手順以降のどこかのタイミングで「保証されていないモバイル通信プラン」というポップアップ表示が出ることには注意が必要です。iPhoneを正式販売していないキャリアのeSIMゆえの警告だと思われますが、気にすることなく「OK」をタップしましょう。
eSIMを含め、IIJが直接発行する「フルMVNO」のSIMカードは現在のところデータ通信専用です。そのためか、割り当てられる電話番号はM2M(機械間通信)を始めとするデータ通信専用端末専用の「020」で始まるものとなっています。
ご多分に漏れず、IIJmioのeSIMにも「020」で始まる電話番号が割り当てられます。以前試用したフルMVNO版の「JAPAN TRAVEL SIM」と同様に、この番号宛てに電話を掛けようとすると「この番号への接続は現在お取り扱いしていません」と言われてしまいます。
電話ができないということは、SMS(ショートメッセージ)の送受信にも対応しません。SMSを認証に用いるWebサービスやアプリでは、メインのSIMカードの電話番号を使うようにしましょう。
eSIMのセットアップが完了すると、eSIMでのデータ通信ができるようになります。データ通信をeSIM側で行いたい場合は、端末設定で「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」と進み、eSIMに名付けた回線名にチェックを入れましょう。
iPhoneやiPadでIIJmioのeSIMを使う場合、「APN自動選択機能」が有効なので、通常はAPN(データ通信の接続先)の設定は不要です。Wi-Fi(無線LAN)を切って、データ通信ができるかどうか確認してみてください。
これでうまくデータ通信ができない場合、あるいはインターネット共有(テザリング)を使う場合はAPNを別途設定する必要があります。端末の設定画面から「モバイル通信」→(eSIMの回線名)→「モバイルデータ通信ネットワーク」と進むとAPNの入力画面になります。
APNの入力欄は複数ありますが、iPhone単体でのデータ通信用は「モバイルデータ通信」、インターネット共有用は「インターネット共有」にそれぞれ以下の値を入力しましょう。どちらも同じ値で大丈夫です。
これで、IIJmioのeSIMを使って通信する準備が整いました。次回の「実用編」では、実際に使ってどうなのかをレポートする予定です。
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