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» 2019年09月12日 23時10分 公開

ソフトバンクとauの“新端末購入プログラム”は改正法の趣旨に反する? 問題点は2つ

ソフトバンクの「半額サポート+」とauの「アップグレードプログラムDX」は、改正電気通信事業法の趣旨に反するのでは? という声が挙がっている。いずれも48回払いで指定機種を購入し、25カ月目以降に返却して端末を購入すると、最大で半額の支払いが免除される。しかし結局のところ「囲い込みになる」という見方もある。

[田中聡,ITmedia]

 10月1日から施行される改正電気通信事業法では、通信契約を前提とした端末割引は2万円までに制限される。今後、特に高額な端末は買いにくくなることが懸念されていたが、ソフトバンクとKDDIが、改正法も守りつつ、今まで通りの割引を可能とする施策を発表した。ソフトバンクの「半額サポート+」とauの「アップグレードプログラムDX」がそれだ。

 いずれも仕組みは同じ。48回払いで指定機種を購入し、25カ月目以降に返却して端末を購入すると、最大で半額の支払いが免除される。これまでも同様の施策は実施していたが、新施策では自社以外のユーザーにも対象を広げることで、「通信契約にひも付かない」→「改正法には反しない」ようにした。

半額サポート+ ソフトバンクの「半額サポート+」
アップグレードプログラムDX auの「アップグレードプログラムDX」

実質的な“端末による囲い込み”では?

 しかし、こうした施策は「改正法の趣旨に反するのでは?」という声が挙がっている。総務省が9月11日に開催した「モバイル市場の競争環境に関する研究会(第17回)」で、野村総合研究所パートナーの北俊一氏が「半額サポート+は(改正法の)趣旨に反していると思う」と意見した(※auのアップグレードプログラムDXは、この時点では未発表だった)。

 改正法の趣旨の1つに「行きすぎた囲い込みの防止」があるが、新たな端末購入プログラムは、結局のところ囲い込みになるのでは? というのが北氏の考えだ。半額サポート+とアップグレードプログラムDXは、ともに最大半額を免除する条件として「端末の購入」を設けている。つまり、最大半額の割引を受け続けるには、同じキャリアから端末を購入し続けなければならなくなる。「回線による縛りがなくなったと思ったら、端末による縛りを始めた。実質的な“端末による囲い込み”だ」と同氏は苦言を呈する。

 改正法の穴を付いた格好だが、北氏は「ソフトバンクは自分から穴に落ちてくれた。皆で埋めてあげないといけない」と独特の言い回しで議論の必要性を説いた。

半額サポート+ 「モバイル市場の競争環境に関する研究会」では、本題とはややそれる形で、半額サポート+についての議論がヒートアップした

 ちなみに、NTTドコモも分割払い+端末返却を前提とした「スマホおかえしプログラム」を提供しているが、こちらは支払い免除を受ける条件に「端末の購入」は入れておらず、ソフトバンクとauに比べると拘束性は低い。

半額サポート+ ドコモの「スマホおかえしプログラム」は、端末を返却するだけで支払い免除の特典を受けられる

SIMロック解除の「100日ルール」も障壁に

 もう1つの問題が「SIMロック」だ。半額サポート+とアップグレードプログラムDXともに、分割払いが前提のため、SIMロックを解除するには、100日間待たないといけない。つまり他キャリアのユーザーがこれらの施策を適用して端末を購入しても、100日間は同キャリア回線のMVNOか、Wi-Fiでしか通信できなくなる。この100日ルールは、端末代金の踏み倒しを防ぐために設けたものだが、ユーザーの利便性を損なう面があるのは確かだ。

 北氏も「100日ルールの目的は、割賦の踏み倒しを防止するためだが、お客さまをロックインする、100日間出られないようにすることが目的ではない」と問題視する。

 総務省料金サービス課の大村真一氏は、半額サポート+について「自社ユーザーに限らず端末を販売する方向は、改正法の趣旨を理解いただいている」と評価。「分離して競争が働くのは望ましいので、思い切り割引の競争をしていただきたい」と話す。一方、北氏が指摘した課題にも理解は示し、「SIMロック自体が(通信と端末が)分離される前のビジネスを前提にしている。本来の目的である、割賦不払いの観点でどういう手法がいいのかを検討しなければいけない」とした。

 大村氏は「100日ルールは、一律で適用する必要はないかもしれない」との見方も示した。例えば、あるキャリアで初めて端末を購入したユーザーの場合、代金不払いのリスクは相対的に高いといえるが、そのユーザーが買い替える際は、(代金を最後まで払ったという実績があるのだから)不払いに陥るリスクは相対的に低いのでは――というのが同氏の見立てだ。

 「SIMロックの原点に立ち返って再検討することが必要。大きな問題を提起いただいたので、時間をかけずに早急に検討したい」(大村氏)とのことから、SIMロック解除のルールが緩和される可能性は高い。

 9月12日にKDDIが「アップグレードプログラムDX」を発表した際も、会見では改正法との整合性を問う声が多くの記者から挙がった。KDDI 取締役執行役員専務 コンシューマ事業本部長の東海林崇氏は「通信とひも付いていないので、法令違反とは思わない」とコメント。SIMロック解除の100日ルールについては「端末詐取や不正防止の観点から、現在のルールに従っている。指針の見直しがあれば、適切に応じていきたい」と話した。


 「端末購入」の条件は適切なのか? 「SIMロック解除の100日ルール」は改正されるのか? 今後の議論の行方を注目したい。

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