台風への備えは? Foldは? NTTドコモ吉澤社長一問一答(2019〜2020冬春編)(2/2 ページ)

» 2019年10月11日 20時20分 公開
[井上翔ITmedia]
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災害への備え 台風19号対策は?

―― 以前、中ゾーン基地局(参考記事)のうち、災害発生時の拠点となる場所の近辺における電源喪失時の稼働時間を「24時間以上」から「72時間以上」に増強するという話があったと思うが、現状でどこまで整備が進んでいるのか教えてください。

吉澤社長 災害拠点病院や市役所や町村役場などをカバーする基地局については、既に(非常用電源の)72時間稼働化は完了していると思ってくださって良いです。

 (その他の)ほとんどの基地局も24時間稼働化をしていますが、備え付けるバッテリー装置が割と大がかりになることもあり、“全て”で対応できているわけではありません。(電力会社から供給される)商用電源自体が断たれる確率は把握できていて、多くの場合は6〜12時間が普通です(6〜12時間あれば復旧される)。24時間化と重要拠点における72時間化は、これからも考えていきます。

 基地局だけではなく、ネットワークのコア(中核)装置の入っている施設には発電機を導入して、燃料を補充すればずっと稼働できる体制を構築しています。幾つかに分けて、(電源喪失時の)対策は行っています。

―― 先月(9月)の台風15号における災害対応の振り返りと、間もなく(関東地方や東海地方などに)上陸しそうな台風19号への対応状況を教えてください。

吉澤社長 台風15号の際には、千葉県にある約2600の基地局のうち1200以上で中断(サービスの停止)が発生しました。そのほとんどは商用電源の喪失(停電)による電源断が原因でした。数十台の移動発電機を稼働しましたが、全てに対応できたわけではありません。重要な基地局の中断も発生したため、東海や東北(の支社)からも移動無線車や移動衛星車を約20台かき集めてどうにか復旧させました。

 今回、非常に大きな台風19号が近づいているわけですが、東海、関東、関西においては既に体制を整えてあります。自治体には既に配備しているものに追加する形で衛星電話を貸し出していますし、私たちとしても災害連絡室を設け、(本社や支社の配下にある)支店なども全てスタンバイしています。

「Galaxy Fold」が“ない”理由は? 今後の端末は「5G」中心?

―― Galaxy A20はとても安価で良い端末だと思うのですが、(同じGalaxyシリーズで)なぜ「Galaxy Fold」を採用しなかったのか知りたいです。

吉澤社長 Galaxy Foldについては私たちも関心を持って見ています。2月に発表された後、折り曲げ部(ヒンジ周辺)の補強などで少し時間がたってしまいましたが、3つのアプリを同時に起動する機能など、非常に(使い勝手において)長けている端末だと思っています。

 今回、私たちのラインアップには(Galaxy Foldは)ありませんが、引き続き状況は注視したいと思います。5Gとの親和性が高い端末だと考えているので、その辺も含めて検討したいです。

Galaxy Fold 日本ではau(KDDIと沖縄セルラー電話)専売となった「Galaxy Fold」。吉澤社長の話ぶりからすると、投入の可能性は検討されていたと思われる

―― 社長は今回の端末ラインアップを「4G(LTE)の集大成」と表現しましたが、今後はLTEオンリーの端末をリリースすることはないのでしょうか。

吉澤社長 そんなことはありません。5Gとはいえ、まだノンスタンドアローン(※2)ですし、しばらくは全エリアのほとんどがLTE(のみ)です。

 (通信的な意味では)LTEの機能も必要としないお客さまもいらっしゃいます。スタンダードモデルのことも考慮すると、「(通信的には3Gで十分でも)端末的にはLTEが載っている」というものも出していくことになると思います。「LTEオンリー」のモデルがすぐに無くなるというものではありません。

※2 NSA:加入者管理など、コアネットワーク機能においてLTEのシステムを利用する5G。それに対し、LTEから独立したシステムで構築される5Gは「スタンドアローン(SA)」と呼ばれており、実用化はこれからとなる

「P30 Pro」は買っても大丈夫?

―― ファーウェイ製の端末について、米中の貿易摩擦の影響で「HUAWEI P30 Pro HW-02L」の発売が遅れてしまいました。「買っても大丈夫か?」「継続したサポートを受けられるのか?」といった声も寄せられていると思うのですが、このことについて、ドコモとしてどうお考えでしょうか。

吉澤社長 以前も話したことですが、P30 Pro自体は(米商務省産業安全局による「エンティティリスト」上では)「既存端末」という扱いです。Android OSや部品の供給については(事実上の禁輸措置の)発効が延期されているので、機能バージョンアップや何かあったときの対応は、この(延期された)期間内に対応できると判断しています。(筆者注:輸出一時許可の延長期間内に必要な対応を取れると判断してHW-02Lの発売に踏み切った、という意味と思われる)

 しかし、(延長された)90日の後がどういう状況になるのかという問題は残っています。さらに延長されるのかどうなのか、状況を見ながらいろいろと判断していくことになると思います。ただ、機能的な問題という点では、現時点では安心して使っていただけるので、お客さまが今購入していただくことに、何も支障はないと思っています。

HW-02L Huaweiのエンティティリスト入りの影響を受け、9月にようやく発売できた「HUAWEI P30 Pro HW-02L」
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